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第四章 強欲がもたらす願い

強欲の狂気

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「うんうん。そうそう!!

 そうやって足掻いてくれなくちゃつまらないっ!!!」


「っ!?」


 アレクセイから繰り出される大爪の連撃を聖剣で受け流しながら、後退する勇者。


 片腕が使えない状態で、流石というべきか全てを見切り、攻撃を捌き切る。


「ほんと、勇者っていうのも面白い生き物だよね!!?」


「暴食と被って、何か嫌なんだけど-------------殺しがいがあるっ!!!」


「っ!?  あんた…………」


 勇者はアレクセイの表情を見て、悟った。


 こいつは、人を殺す事を楽しんでいる。


 それもただ殺すじゃなく-------------


「君も私のコレクションに入りなよっ!!!」


 人をまるで、宝石か、何かを値踏みするかのように見定めながら殺している。


 全く、理解出来ない!?


「あぁ~? もしかして、理解出来ないって思った…………?


 何で分かるんだって顔したね!


 いつもそうなんだよ!!


 私のコレクションに入った連中はいつもそんな顔しているんだ!!!


 私はそんな--------------------------絶望に染まった顔が見たい…………!!」


「…………狂ってる…………!」


 勇者はアレクセイの爪を弾き返し、距離を取って構えた。


「理解して貰おうとは思っていないよ…………。

 それが私の生きがいだしね…………」


 下卑た笑いを見せるアレクセイを鋭く睨み付ける勇者。


 だが、ふと、身体の力が抜け始め-------------


「…………な…………に…………?」


 聖剣を突き刺して、膝から崩れ落ちる。


 突き刺した聖剣を手に力を入れて立ち上がろうとするが…………。


 時既に遅く、そのまま、地面に転がった。


「漸く効いて来たみたいだね…………」


 その言葉を聞いて、勇者は確信した。


 これは毒だと…………。


 偶然にも、視界には切り裂かれた左腕の傷口が入っていた。


 その傷口は紫色に変色し始めている。


「死霊魔法にはね。


 そうやって、傷口に毒にも似た現象を起こす魔法があってね。


 今回、勇者である君に施したのは、肉体を麻痺させる付与魔法でね。


 これを喰らった者は、例えかすり傷程度でも、数分もしない内になる身体の自由が効かなくなるんだ。


 後は、聞かなくても分かるよね…………?」


 長々と説明をしながら、倒れた勇者の方へと歩みを進めるアレクセイ。


 だが、毒の影響か、段々と意識が掠れて行く勇者には、その内容の殆どが聞き取れなかった。


 ただ、おぼろげに、こちらへと大爪を構えながら来るアレクセイの姿が辛うじて見えるだけで…………。



 間違いなく、自分は此処で死ぬ事を悟り、先に旅立つ事を仲間達に、「ごめんなさい…………」と、心の中で謝りながら、ソッと眼を閉じた。


「……………………」


 だが、自分の前に辿り着いたにも関わらず、アレクセイの刃が、いつまで経っても、来ない事を不思議に思い眼を開けると-------------そこには、少女と思しき容姿をした彼がアレクセイの頬を殴り飛ばしていた。


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