127 / 144
第四章 強欲がもたらす願い
液体金属
しおりを挟む
「何をしているの!?」
騎士達に引き金を引く俺に、勇者がすぐ様批判して来るが…………。
俺は構わず、撃ち続ける。
「やめなさい!!」
勇者が俺と騎士達の間に、割って入って来た。
聖剣で俺の銃弾を弾き落とすが、それが甘い。
「…………えっ…………?」
勇者の背に向けて、騎士達の剣が勇者に振り下ろされた。
「どけっ!!」
俺は《黒椿》を完全展開し、勇者を押し退けると、騎士達の剣を黒椿で受け止める。
そして、左腕のブレードシールドで、まとめて斬り倒す。
「…………一体、何が…………」
「おバカさぁ~ん…………」
俺は呆れた眼差しで、勇者を睨み付けると、勇者に騎士達を見るように、顎をしゃくる。
何か、分かっていない勇者は、そのまま騎士達の方を見て-------------固まった。
「…………何よ…………あれ…………?」
勇者の視線の先には、俺が斬り払った際に生じた風圧で吹き飛ばされた騎士達が起き上がっていた。
その皮膚は、人間のものとは思えない程、解けて崩れ落ち、まるで金属のように、銀色に輝いている。
「メタルスライム。
液体金属状のスライムの一種で、捕食した生物を模倣する魔物だ。
主に、鉱山の奥深くに出没する魔物で、遭遇率も極めて少ない。
たった一つの例外を除いてはだが…………」
その例外とは、死霊魔法を用いての強制召喚。
そんな事、やらかすのは、たった一人しかいない。
帝国の王都を滅した奴だけだ。
こうまで、悪趣味だと、俺の推測はあながち間違ってはいないのだろう。
間違いなく、ここら一帯の人間は、こいつらに食い殺されている。
その証拠とばかりに、黒椿のセンサーをフル稼働しても、人間と思しき、熱源や生体反応なんかが、綺麗なくらいにない。
それも、動植物を含めてだ。
だから-------------
「きゃああっ!?
な、何を…………!?」
何か、抗議しようと勇者が声を上げるが、先程まで、自分が尻餅を着いていた場所の光景を見て絶句する。
何せ、近くにあった雑草や草花から、天に向けて幾重もの刃が針のように伸びていて…………。
もし、数秒、俺に抱え上げられなかったら…………。
「とりあえず、逃げるよぉ~!?
アクセル!!」
俺は勇者を抱えたまま、ブースターを全開にして、その場を飛び去る。
「あ…………ぅ…………」
俺に抱え上げられた勇者は飛行中、何度か申し訳無さそうに声を掛けようとしていたが…………。
結局、王宮に戻る間、一切、口を開かずに俯いていたのだった。
騎士達に引き金を引く俺に、勇者がすぐ様批判して来るが…………。
俺は構わず、撃ち続ける。
「やめなさい!!」
勇者が俺と騎士達の間に、割って入って来た。
聖剣で俺の銃弾を弾き落とすが、それが甘い。
「…………えっ…………?」
勇者の背に向けて、騎士達の剣が勇者に振り下ろされた。
「どけっ!!」
俺は《黒椿》を完全展開し、勇者を押し退けると、騎士達の剣を黒椿で受け止める。
そして、左腕のブレードシールドで、まとめて斬り倒す。
「…………一体、何が…………」
「おバカさぁ~ん…………」
俺は呆れた眼差しで、勇者を睨み付けると、勇者に騎士達を見るように、顎をしゃくる。
何か、分かっていない勇者は、そのまま騎士達の方を見て-------------固まった。
「…………何よ…………あれ…………?」
勇者の視線の先には、俺が斬り払った際に生じた風圧で吹き飛ばされた騎士達が起き上がっていた。
その皮膚は、人間のものとは思えない程、解けて崩れ落ち、まるで金属のように、銀色に輝いている。
「メタルスライム。
液体金属状のスライムの一種で、捕食した生物を模倣する魔物だ。
主に、鉱山の奥深くに出没する魔物で、遭遇率も極めて少ない。
たった一つの例外を除いてはだが…………」
その例外とは、死霊魔法を用いての強制召喚。
そんな事、やらかすのは、たった一人しかいない。
帝国の王都を滅した奴だけだ。
こうまで、悪趣味だと、俺の推測はあながち間違ってはいないのだろう。
間違いなく、ここら一帯の人間は、こいつらに食い殺されている。
その証拠とばかりに、黒椿のセンサーをフル稼働しても、人間と思しき、熱源や生体反応なんかが、綺麗なくらいにない。
それも、動植物を含めてだ。
だから-------------
「きゃああっ!?
な、何を…………!?」
何か、抗議しようと勇者が声を上げるが、先程まで、自分が尻餅を着いていた場所の光景を見て絶句する。
何せ、近くにあった雑草や草花から、天に向けて幾重もの刃が針のように伸びていて…………。
もし、数秒、俺に抱え上げられなかったら…………。
「とりあえず、逃げるよぉ~!?
アクセル!!」
俺は勇者を抱えたまま、ブースターを全開にして、その場を飛び去る。
「あ…………ぅ…………」
俺に抱え上げられた勇者は飛行中、何度か申し訳無さそうに声を掛けようとしていたが…………。
結局、王宮に戻る間、一切、口を開かずに俯いていたのだった。
0
お気に入りに追加
1,056
あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる