最下級冒険者は英雄である事をひた隠す 〜生産スキルで、メカチート生産?〜

水先 冬菜

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第四章 強欲がもたらす願い

液体金属

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「何をしているの!?」


 騎士達に引き金を引く俺に、勇者がすぐ様批判して来るが…………。


 俺は構わず、撃ち続ける。


「やめなさい!!」


 勇者が俺と騎士達の間に、割って入って来た。


 聖剣で俺の銃弾を弾き落とすが、それが甘い。


「…………えっ…………?」


 勇者の背に向けて、騎士達の剣が勇者に振り下ろされた。


「どけっ!!」


 俺は《黒椿》を完全展開し、勇者を押し退けると、騎士達の剣を黒椿で受け止める。


 そして、左腕のブレードシールドで、まとめて斬り倒す。


「…………一体、何が…………」


「おバカさぁ~ん…………」


 俺は呆れた眼差しで、勇者を睨み付けると、勇者に騎士達を見るように、顎をしゃくる。


 何か、分かっていない勇者は、そのまま騎士達の方を見て-------------固まった。


「…………何よ…………あれ…………?」


 勇者の視線の先には、俺が斬り払った際に生じた風圧で吹き飛ばされた騎士達が起き上がっていた。


 その皮膚は、人間のものとは思えない程、解けて崩れ落ち、まるで金属のように、銀色に輝いている。


「メタルスライム。

 液体金属状のスライムの一種で、捕食した生物を模倣する魔物だ。

 主に、鉱山の奥深くに出没する魔物で、遭遇率も極めて少ない。


 を除いてはだが…………」


 その例外とは、死霊魔法を用いての強制召喚。


 そんな事、やらかすのは、たった一人しかいない。


 帝国の王都を滅したアレクセイだけだ。


 こうまで、悪趣味だと、俺の推測はあながち間違ってはいないのだろう。



 間違いなく、ここら一帯の人間は、こいつらに


 その証拠とばかりに、黒椿のセンサーをフル稼働しても、人間と思しき、熱源や生体反応なんかが、綺麗なくらいにない。


 それも、動植物を含めてだ。


 だから-------------

「きゃああっ!? 

 な、何を…………!?」



 何か、抗議しようと勇者が声を上げるが、先程まで、自分が尻餅を着いていた場所の光景を見て絶句する。


 何せ、近くにあった雑草や草花から、天に向けて幾重もの刃が針のように伸びていて…………。


 もし、数秒、俺に抱え上げられなかったら…………。


「とりあえず、逃げるよぉ~!?

 アクセル!!」


 俺は勇者を抱えたまま、ブースターを全開にして、その場を飛び去る。


「あ…………ぅ…………」


 俺に抱え上げられた勇者は飛行中、何度か申し訳無さそうに声を掛けようとしていたが…………。


 結局、王宮に戻る間、一切、口を開かずに俯いていたのだった。


 
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