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第三章 際限なき悪意

調査開始

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「全部隊展開完了しました!」

「了解…………。

 それじゃあ、大賢者様…………お願いします」


「分かりましたわ!」


 騎士達があの馬鹿を取り囲むようにして、周りで待機すると、大賢者がシズクを纏って飛び立つ。

「シズク!

 お願い致します」


『了解致しましたわ。

 魔導レーザー照射!!』


 大賢者の両肩から円状に光が放たれる。


 そのまま、大賢者があの馬鹿の周りを何度もぐるりと飛行する。


 その情報が逐一、俺の端末に届けられていく。


「続いて、勇者様、お願いします…………」


「了解です。

 解き放て!

 勇者の心ブレイブ・ハート!!」


 勇者の能力で、より大賢者から送られて来る情報がより詳細なものへと変わって来る。


 それに目を通しながら、大賢者に何処を飛んで貰うのか指示を出し…………ある部分に差し掛かった時、止まるように言い放った。


「大賢者。

 あんたの位置から見て、何か不自然なものは見えるか……?」


『変なものですの……?

 ちょっと、お待ち下さいまし…………』


 耳に装着したインカムから大賢者の声が響く。


 大賢者が今いるのは、あの馬鹿が取り込まれていた鼻の辺りから、胸の辺りの中間ぐらいか……?


 人間で言えば、首の付け根辺りだ。


 そこに微かだが、微弱な魔力反応がある。


「あぁ、そこら辺にかなり弱まっているが、魔力の反応が出ている。


 エネルギーの規模からして…………宝石か、水晶のような鉱物…………。


 大体、掌サイズにも満たない物の筈だ…………」


「そんな事も分かるの……?」


 スキルを発動させるために必要な聖剣を片手に、勇者が横から端末を覗き込んで来る。


「以前説明した通り、『シズク』は魔法探索型っていう、調査解析を専門とする機体だ。


 あの大賢者が手にしている攻撃装備の魔法可変型のロッド以外は特に攻撃力がない分、装甲が従来の機体よりも厚くて、防御力が極めて高い。


 それに合わせた精密機器…………今、大賢者が使っている魔導レーザーサーチなどの魔物や探査装置が数多く搭載されている。


 正直、剣聖の攻撃特化装備型である『グレン』の方を調整するのが一番簡単だったな…………。


 あれはあれで、《ヴァルキリー》や《神電》の戦闘データをトレースして、良い部分を組み合わせたからな……………………って、どうした……?」


 何か、妙に勇者が優しげに微笑んでいる。


「いや、あの鎧の時の話を語っている時のあなたは、何だか、生き生きとしているな…………って、思って…………」


「…………そうか……?」


 そんなつもりは無いんだがな…………。


「そうよ…………」


「……………………」


 よく分からん…………。


『ちょっと、良い雰囲気なところで申し訳ありませんが…………。

 何か、見つけましたわよ』


「おっと、すまんすまん…………」


 シズクから応答が入り、我に返った俺は再び端末に視線を向けると…………。


 大賢者のバイザーから送られて来た映像を見た途端に、言葉を失った。



 おいおい!?


 こいつはっ!!!??
 

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