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第三章 際限なき悪意
魔導兵装『シズク』
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「リリースですわ!」
大賢者が俺の目の前で、『シズク』を展開する。
海のように青い装甲に身を包んだ彼女は、『決まった!』と言いたげなドヤ顔で、こちらを向いている。
『素晴らしいですわ!
流石は我が主人!
やはり、見栄えが良いと品があって美しいですわ!』
「そうですわね!」
「……………………」
ここぞとばかりにパートナーの大賢者を褒め称えるシズク。
サキネをベースに構築した筈なのに、こうも大賢者に似るとは…………。
まだまだ、人工知能は、分からない事だらけだ。
兎にも角にも、今は現実をどうにかしないといけない。
『さあ、行きますわよ!
マスター、全力全開ですわ!』
「分かっておりますわ!」
「……………………」
というのに、緊張感のない二人? を見て気が重くなる俺。
とりあえず、止めよう…………。
------------------------------------------
「それじゃあ、話を始めるが…………。
良いかね……?
お二人さん…………」
「『はい…………』」
大きなタンコブを作って、涙目ながら項垂れる大賢者。
それがツボに入ったのか、笑いを堪えるようにして、口元を覆う勇者。
それを見て、呆れながらも俺は説明を始める事にした。
「まず、初めに氷漬けにしたあの馬鹿の状態なんだが…………。
調べた結果、微弱だがまだ生命反応があった」
「つまり、まだ生きているのね…………」
勇者の顔付きが真剣なものへと戻った。
「その通りだ。
しかも、厄介な事に、あいつはあのグーラと同じか…………。
もしくはそれ以上の不死の魔法を発動している可能性がある。
なら、それを知らなくちゃいけないわな…………」
「大体、話が読めましたわ。
それで、わたくしと勇者なんですのね?」
「流石は大賢者様。
俺の考えが分かって御られるご様子で…………」
「…………茶化さないでくださいな…………」
心なしか、大賢者の頬が赤くなっている気がするが…………。
気のせいだろう。
「まあ、そんなこんなで、まだ理解出来ていないであろう勇者様に、詳しく説明致します」
「理解出来ていなくて悪かったわね…………」
こっちもこっちで面倒くせぇー…………。
「おっほん!
とりあえず、現状俺達は、あの不死の化け物を倒さなければならない。
でも、あの巨体だと、俺の力でも到底倒せない。
そこで、俺達はあの化け物を詳しく調査してみようと思うんだ」
「あの化け物を調査…………ですか……?」
まだ、よく分かってらっしゃらない勇者様が可愛らしく小首を傾げる。
「そうだ。
具体的な方法としては、勇者様には大賢者のパートナーであるシズクのサポートを務めて貰いたいんだ」
「私がミルファのパートナーのサポートを……?」
「ああ…………。
実は大賢者のパワードスーツには、他の機体にはない特殊な機能があってな…………。
大賢者の機体は遠距離探索型。
言うなれば、調べものが得意な機体でな…………。
もしその能力で、あの不死の魔法の秘密が解き明かせれば…………」
「あのグーラに対抗する手段が手に入るかもしれない…………」
どうやら、勇者も理解したようだ。
そうだ。
もし、大賢者の機体の機能で、不死の魔法の秘密が解き明かされば、必然的にグーラを倒す術が手に入ると同意義だ。
幸いな事に、今、その不死の魔法を持った化け物は最低でも後三日は氷の中。
その間、俺達はじっくりと調査が出来る訳で…………。
その機能をより高めるためには、当然、装着者である大賢者の魔法の能力を上げる必要がある。
そこで、俺は勇者様のスキルで、魔法能力を向上させ、より正確で、詳細なデータを取ってしまおうと考えた。
結構は明日、丸一日掛けて行う。
とりあえず、御二方。
今日は寝かさないから覚悟しておけよ!?
大賢者が俺の目の前で、『シズク』を展開する。
海のように青い装甲に身を包んだ彼女は、『決まった!』と言いたげなドヤ顔で、こちらを向いている。
『素晴らしいですわ!
流石は我が主人!
やはり、見栄えが良いと品があって美しいですわ!』
「そうですわね!」
「……………………」
ここぞとばかりにパートナーの大賢者を褒め称えるシズク。
サキネをベースに構築した筈なのに、こうも大賢者に似るとは…………。
まだまだ、人工知能は、分からない事だらけだ。
兎にも角にも、今は現実をどうにかしないといけない。
『さあ、行きますわよ!
マスター、全力全開ですわ!』
「分かっておりますわ!」
「……………………」
というのに、緊張感のない二人? を見て気が重くなる俺。
とりあえず、止めよう…………。
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「それじゃあ、話を始めるが…………。
良いかね……?
お二人さん…………」
「『はい…………』」
大きなタンコブを作って、涙目ながら項垂れる大賢者。
それがツボに入ったのか、笑いを堪えるようにして、口元を覆う勇者。
それを見て、呆れながらも俺は説明を始める事にした。
「まず、初めに氷漬けにしたあの馬鹿の状態なんだが…………。
調べた結果、微弱だがまだ生命反応があった」
「つまり、まだ生きているのね…………」
勇者の顔付きが真剣なものへと戻った。
「その通りだ。
しかも、厄介な事に、あいつはあのグーラと同じか…………。
もしくはそれ以上の不死の魔法を発動している可能性がある。
なら、それを知らなくちゃいけないわな…………」
「大体、話が読めましたわ。
それで、わたくしと勇者なんですのね?」
「流石は大賢者様。
俺の考えが分かって御られるご様子で…………」
「…………茶化さないでくださいな…………」
心なしか、大賢者の頬が赤くなっている気がするが…………。
気のせいだろう。
「まあ、そんなこんなで、まだ理解出来ていないであろう勇者様に、詳しく説明致します」
「理解出来ていなくて悪かったわね…………」
こっちもこっちで面倒くせぇー…………。
「おっほん!
とりあえず、現状俺達は、あの不死の化け物を倒さなければならない。
でも、あの巨体だと、俺の力でも到底倒せない。
そこで、俺達はあの化け物を詳しく調査してみようと思うんだ」
「あの化け物を調査…………ですか……?」
まだ、よく分かってらっしゃらない勇者様が可愛らしく小首を傾げる。
「そうだ。
具体的な方法としては、勇者様には大賢者のパートナーであるシズクのサポートを務めて貰いたいんだ」
「私がミルファのパートナーのサポートを……?」
「ああ…………。
実は大賢者のパワードスーツには、他の機体にはない特殊な機能があってな…………。
大賢者の機体は遠距離探索型。
言うなれば、調べものが得意な機体でな…………。
もしその能力で、あの不死の魔法の秘密が解き明かせれば…………」
「あのグーラに対抗する手段が手に入るかもしれない…………」
どうやら、勇者も理解したようだ。
そうだ。
もし、大賢者の機体の機能で、不死の魔法の秘密が解き明かされば、必然的にグーラを倒す術が手に入ると同意義だ。
幸いな事に、今、その不死の魔法を持った化け物は最低でも後三日は氷の中。
その間、俺達はじっくりと調査が出来る訳で…………。
その機能をより高めるためには、当然、装着者である大賢者の魔法の能力を上げる必要がある。
そこで、俺は勇者様のスキルで、魔法能力を向上させ、より正確で、詳細なデータを取ってしまおうと考えた。
結構は明日、丸一日掛けて行う。
とりあえず、御二方。
今日は寝かさないから覚悟しておけよ!?
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