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第三章 際限なき悪意
活動再開まで、残り三日
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「という訳だよぉ~…………」
俺はあの馬鹿を氷漬けにした後、監視を現場の騎士達に任せて、王宮へ帰還した。
そして、それを国王含め、勇者パーティーの面々に報告する。
「あの大馬鹿者は最後の最後まで…………」
国王は呆れたような、怒りを滲ませたような複雑な表情をしていた。
まあ、それも仕方ない事だろう…………。
今回、問題を起こしたのは、廃嫡したとはいえ、血を分けた息子だ。
親としても、国王の立場からしても、思うところがある筈だ。
「でも、そうなると、かなり厄介になりますわね…………。
もし本当に彼が、不死の能力を用いているのなら倒す事は容易ではありませんわ」
「まあ、そうなるよねぇ~」
大賢者の意見に素直に頷く俺。
一応、今も偵察機や探査機をあいつの周りに飛ばして、調査しているが…………。
あまり、進展はない。
唯一、分かっている事があるとすれば…………。
「とりあえず、後、三日には、氷が溶け出して、あの馬鹿が動き出す筈だよぉ~…………。
それまでに何とか、しないと…………」
「あの刀では、どうにかならないんですか……?」
聖女が恐る恐る手を挙げて、質問して来る。
「あぁ、雷電の事ぉ~……?
それなら、最初に考えたけどぉ~…………。
あれはそもそも、大罪の悪魔であるグーラの対策で作ったものだしねぇ~。
あのグーラのように、人型もしくは中型の魔物なら、効果はあるけどぉ~…………。
あれ程、大きな相手じゃねえ~」
「ごめんよぉ~」と手を合わせて、謝る俺。
でも、対策がない訳じゃない。
「だ・か・らぁ~…………今回は、勇者様と大賢者様の御力をお借りしたいんだぁ~♡」
「私の……?」
勇者が驚いたように、俺の方へと視線を向けた。
「うん、そうだよぉ~!
勇者様の機体はまだ製作途中だけどぉ~。
それを補ってあまりあるスキルがあったでしょぉ~?
ほら、私があの時…………魔王戦の前にあげたぁ~」
「ああ…………!!
《勇者の心》の事ね…………!」
「確か、勇者側に属する者の戦闘能力と魔法の性能を飛躍的に上げるスキル…………だったか……?」
おおっ!?
あの脳筋の剣聖がしっかり覚えていた。
関心関心。
「何か今…………馬鹿にされた気がしたんだが……?」
「気のせいだよぉ~…………」
あからさまに目を逸らす俺。
野生の感…………って奴か…………。
「まあ、今回は、そのスキルを使って、試してみたい事があるんだぁ~…………!
もしうまく行けば、こちらとしても、帝国に対しての力にもなるしね…………。
きっと、知識欲に飢えた大賢者様なら、喜ぶんじゃないかなぁ~?」
「それは楽しみですわねぇ…………」
冷静に微笑んではいるが…………。
指先が震えているのが、はっきりと分かる。
楽しみで仕方ないらしいな…………。
「あっ!?
そうだったぁ~!
陛下に渡すものがあったんだぁ~!!」
俺は亜空間収納から、それを手繰り寄せ、国王へと手渡した。
「これは……?」
よく分かっていない、と言った表情の国王に私は悪戯っぽい笑みを浮かべて、こう言った。
「きっと、陛下の役に立つものですよぉ~♪♪」
俺はあの馬鹿を氷漬けにした後、監視を現場の騎士達に任せて、王宮へ帰還した。
そして、それを国王含め、勇者パーティーの面々に報告する。
「あの大馬鹿者は最後の最後まで…………」
国王は呆れたような、怒りを滲ませたような複雑な表情をしていた。
まあ、それも仕方ない事だろう…………。
今回、問題を起こしたのは、廃嫡したとはいえ、血を分けた息子だ。
親としても、国王の立場からしても、思うところがある筈だ。
「でも、そうなると、かなり厄介になりますわね…………。
もし本当に彼が、不死の能力を用いているのなら倒す事は容易ではありませんわ」
「まあ、そうなるよねぇ~」
大賢者の意見に素直に頷く俺。
一応、今も偵察機や探査機をあいつの周りに飛ばして、調査しているが…………。
あまり、進展はない。
唯一、分かっている事があるとすれば…………。
「とりあえず、後、三日には、氷が溶け出して、あの馬鹿が動き出す筈だよぉ~…………。
それまでに何とか、しないと…………」
「あの刀では、どうにかならないんですか……?」
聖女が恐る恐る手を挙げて、質問して来る。
「あぁ、雷電の事ぉ~……?
それなら、最初に考えたけどぉ~…………。
あれはそもそも、大罪の悪魔であるグーラの対策で作ったものだしねぇ~。
あのグーラのように、人型もしくは中型の魔物なら、効果はあるけどぉ~…………。
あれ程、大きな相手じゃねえ~」
「ごめんよぉ~」と手を合わせて、謝る俺。
でも、対策がない訳じゃない。
「だ・か・らぁ~…………今回は、勇者様と大賢者様の御力をお借りしたいんだぁ~♡」
「私の……?」
勇者が驚いたように、俺の方へと視線を向けた。
「うん、そうだよぉ~!
勇者様の機体はまだ製作途中だけどぉ~。
それを補ってあまりあるスキルがあったでしょぉ~?
ほら、私があの時…………魔王戦の前にあげたぁ~」
「ああ…………!!
《勇者の心》の事ね…………!」
「確か、勇者側に属する者の戦闘能力と魔法の性能を飛躍的に上げるスキル…………だったか……?」
おおっ!?
あの脳筋の剣聖がしっかり覚えていた。
関心関心。
「何か今…………馬鹿にされた気がしたんだが……?」
「気のせいだよぉ~…………」
あからさまに目を逸らす俺。
野生の感…………って奴か…………。
「まあ、今回は、そのスキルを使って、試してみたい事があるんだぁ~…………!
もしうまく行けば、こちらとしても、帝国に対しての力にもなるしね…………。
きっと、知識欲に飢えた大賢者様なら、喜ぶんじゃないかなぁ~?」
「それは楽しみですわねぇ…………」
冷静に微笑んではいるが…………。
指先が震えているのが、はっきりと分かる。
楽しみで仕方ないらしいな…………。
「あっ!?
そうだったぁ~!
陛下に渡すものがあったんだぁ~!!」
俺は亜空間収納から、それを手繰り寄せ、国王へと手渡した。
「これは……?」
よく分かっていない、と言った表情の国王に私は悪戯っぽい笑みを浮かべて、こう言った。
「きっと、陛下の役に立つものですよぉ~♪♪」
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