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第三章 際限なき悪意

紅と海の双曲

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「り、理不尽だ…………」

 俺は聖女にこってりと絞られて、項垂れる。


 何か、最近、こういう事ばかりな気がするんだが…………。


 気のせいか……?


『自業自得だからよ♡』


 出たな、疫病神!!

 今度は何しに来やがった!?


『酷いわ♡

 こうして、お見舞いに来てあげたのに…………』


 嘘くさ…………。


『もう! 

 そんな意地悪なライハちゃんには、これをお見舞いよ♡』

 何処から、取り出したのか。

 デリヘラはハリセンを片手に俺を叩く。


「漫才かなんかか!?」


『ライハちゃん♡

 良い反応だわ♡』


 おい!

 ゾクゾクしながら、恍惚の笑みを向けるな…………!?


 こっちは悪寒しかしねぇよ!!


「お二人とも、おふざけはその辺に…………」


 ああっ!!

 救世主現る!!

 流石、聖女様だ!!!


「彼も反省していらっしゃるようですので、じっくりとお話をお聞きしましょう」


「……………………」


 あれ……?


 何か、怒ってらっしゃる……?


 何で……?


『こんなのが創造主なのかよ…………。

 ほんと、呆れるぜ…………』


『同意ですわ。

 別の創造主にお作られになったが羨ましく思いますわ』


「え……?

 誰ですか……?」


 姿無き、声に勇者達が周りを見渡す。

 勇者や剣聖に至っては、気配を探るべき、意識を集中させているようだ。


『何処を見えいるんだよ。

 俺はここだよ。

 ここ、このお馬鹿の服の中だよ』


『こんな鈍い方がわたくし達の所有者になるかと思うと、先が心配ですわ』


 皆の視線が俺に集まる。


 仕方ないな、と俺は懐からを取り出して、皆の前に見せる。


 その『赤いカードデバイス』と『青いカードデバイス』の二つは光を放って、剣聖と大賢者の前へと浮かび上がる。

 剣聖は赤いカードデバイスを…………。

 大賢者は青いカードデバイスを…………。


 その手に取ると、カードデバイスは光の粒子として霧散して、二人の左手の中指へと集まり----------------聖女が身につけている《サキネ》同様の指輪の形へと変化した。


「おいおい。

 これって…………」


「もしかしなくても、そうなのですか…………!?」


 剣聖は突然の事で、驚きのあまりに固まり。

 大賢者はそれに考えが至って、物凄い勢いで、俺に詰め寄って来る。


「待て待て!

 話す!

 話すから落ち着け!!」


 何とか、聖女の助けを借りて、大賢者を引き剥がした俺は観念したように、頭をかきながら口を開いた。


「ご察しの通り。

 そいつらは、お前らのパワードスーツだよ。


 剣聖のが『グレン』で、大賢者の方が『シズク』だ。


 仲良くしてやってくれ…………」

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