最下級冒険者は英雄である事をひた隠す 〜生産スキルで、メカチート生産?〜

水先 冬菜

文字の大きさ
上 下
106 / 144
第三章 際限なき悪意

失敗

しおりを挟む
「おうおう!

 聞いたぜぇー!

 失敗したんだってなー!?」

 嫌味たらしく、近付いて来るそいつに思わず舌打ちするアレクセイ。

「一体、何しに来た」

 不機嫌な様子を隠さず、近付いて来るグーラを睨み付ける。

「何って、おめぇーの死霊共がコテンパンにされたって聞いてなぁー。

 その主様はどんな顔をしてらっしゃるのかを拝みに…………」

「失せろっ!?」

 アレクセイはグーラに向けて、魔法を放つが、杖の先から放たれた魔法は蚊でも追い払うかのように、手で払われて霧散する。

「荒れてるねえー!

 そういうお前は嫌いじゃねえーよ!!

 お困りなら…………俺が手を貸そうか……?」


 楽しそうに、獰猛に笑うグーラ。


「うるさい…………」


 静かな怒りを立ち上がらせながら、アレクセイは強く拳を握る。

 その拳からが流れる。


「今に見ていろ…………。

 共!!

 私は彼女を手に入れ、今度こそ、を手にするんだ」


 その瞳はグーラと同じ狂気に満たされており、それに気付いたグーラは落胆したように、ため息混じりにこう呟いた。

「このバカ。

 とうとう、飲まれやがったな…………」


 相手にするのもバカらしい。

 そう言い残して、グーラはアレクセイの前から姿を消す。


 そんな些細な事にも気付く事なく、アレクセイは狂ったような叫びを上げ、帝国の王都へと飛び立った。


「私!? 私は今こそ完全に!!!??」


 まるで壊れたカセットテープのように、叫び続けるアレクセイは王都へと向かいながら、地上へ向けて、魔法を放つ。


 魔法を受けた地上では、地中から這い出るようにして、無数のゾンビの群れが目を覚まして、スメワール王国の方へと手を伸ばし、這いずるようにして、歩を進めた。


 まるで、ライハ達に救いを求めているかのように…………。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...