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第三章 際限なき悪意
彼の秘密
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「そんな事があったのですか…………」
ライハが訓練場から離れた後、王宮内の一室にて、聖女の元へ訪れた勇者達が先程の状況を話した。
何か、思い当たる事があるのか、話を聞き終えた聖女の表情は暗い。
「何か、知っているの……?」
聖女は勇者の問いに、言うか、しばらく悩んだ末、勇者達に真実を話す。
「実は…………彼の身体は、私達と出会う前から既に限界だったんです…………」
それは勇者達にとって、思いも寄らない話だった。
------------------------------------------
それは、彼が水の都市で治療を受けていた時の事。
彼の治療を行なっていた一人の治癒魔導師からもたらされたものだった。
「これは本当ですか?」
「間違いありません」
真剣な面持ちで、彼のカルテを手渡して来た治癒魔導師は断言した。
カルテの中身は、彼の身体機能…………特に、臓器関連の異常が挙げられていた。
そのほとんどが既に衰弱して、ろくに機能していない上、正直なところ、生きているのが不思議なくらいだった。
気になって、一つ一つ調べて行く内に、その原因はあっさりと判明した。
原因は彼が使っている鎧の魔道具。
私に与えてくれた鎧とは違い、彼の鎧は常日頃から彼の魔力を許容量を超えて、食らい続け、彼の身体を蝕んでいた。
そもそも、魔力とは、人が生きるために必要な生体エネルギー。
俗説では、自信の命を消費していると言える。
それを常日頃から許容量を超えて奪われる。
それはつまり、常時、命を食われ続けているにふさわしい状態だ。
そんな状態であるが故、彼は身体機能が低下し続けて、このまま行けば、まず間違いなく死を迎える。
それを知った時には、彼は姿を消していた。
------------------------------------------
「「「……………………」」」
聖女の話を聞いて、唖然とする勇者達三人。
聖女の話では、今も彼の身体は蝕まれ続けていて、先程、彼が苦しみ出したのは、彼の身体が限界を超えつつあるのではないかと、推論を述べる。
それを聞いた剣聖はいても経ってもいられなくなったのか。
腰掛けていた椅子を倒して、一目散に駆け出した。
向かう先はもちろん、彼が療養中の部屋だ。
「おいっ!!」
勢い良く、彼の部屋の扉を開けて押し入る剣聖。
だが、彼女が見たのは、ベットの上で悶え苦しむライハの姿だった。
ライハが訓練場から離れた後、王宮内の一室にて、聖女の元へ訪れた勇者達が先程の状況を話した。
何か、思い当たる事があるのか、話を聞き終えた聖女の表情は暗い。
「何か、知っているの……?」
聖女は勇者の問いに、言うか、しばらく悩んだ末、勇者達に真実を話す。
「実は…………彼の身体は、私達と出会う前から既に限界だったんです…………」
それは勇者達にとって、思いも寄らない話だった。
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それは、彼が水の都市で治療を受けていた時の事。
彼の治療を行なっていた一人の治癒魔導師からもたらされたものだった。
「これは本当ですか?」
「間違いありません」
真剣な面持ちで、彼のカルテを手渡して来た治癒魔導師は断言した。
カルテの中身は、彼の身体機能…………特に、臓器関連の異常が挙げられていた。
そのほとんどが既に衰弱して、ろくに機能していない上、正直なところ、生きているのが不思議なくらいだった。
気になって、一つ一つ調べて行く内に、その原因はあっさりと判明した。
原因は彼が使っている鎧の魔道具。
私に与えてくれた鎧とは違い、彼の鎧は常日頃から彼の魔力を許容量を超えて、食らい続け、彼の身体を蝕んでいた。
そもそも、魔力とは、人が生きるために必要な生体エネルギー。
俗説では、自信の命を消費していると言える。
それを常日頃から許容量を超えて奪われる。
それはつまり、常時、命を食われ続けているにふさわしい状態だ。
そんな状態であるが故、彼は身体機能が低下し続けて、このまま行けば、まず間違いなく死を迎える。
それを知った時には、彼は姿を消していた。
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「「「……………………」」」
聖女の話を聞いて、唖然とする勇者達三人。
聖女の話では、今も彼の身体は蝕まれ続けていて、先程、彼が苦しみ出したのは、彼の身体が限界を超えつつあるのではないかと、推論を述べる。
それを聞いた剣聖はいても経ってもいられなくなったのか。
腰掛けていた椅子を倒して、一目散に駆け出した。
向かう先はもちろん、彼が療養中の部屋だ。
「おいっ!!」
勢い良く、彼の部屋の扉を開けて押し入る剣聖。
だが、彼女が見たのは、ベットの上で悶え苦しむライハの姿だった。
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