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第三章 際限なき悪意

鬱陶しい大賢者

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「すごいです! すごいです!!

 すごいすごいっ!!!!!」

「…………うるさい…………」


 大賢者がゾンビの軍勢を退けてから数日--------


 帰って来るなり、俺の療養している部屋に訪れ、まるで子供のようにはしゃいでいる大賢者。


 原因は、大賢者の手にある魔道具だ。

「ね、ねえっ!!?

 これを譲ってくださらないっ!!!!??

 代金なら幾らでも支払いますわ!!!!」


「…………駄目に決まってるだろ……?」

 ロッド状の形をしたそれを大事に抱えて、目をキラキラと輝かせながら詰め寄る大賢者に、俺は首を振る。

 
「何でですの!?」


 見るからに、絶望し切った大賢者。

 目から光が無くなっている。


「当たり前だ!

 大体、そいつは出力を落としてあるとはいえ、本来ならで使うものじゃない!

 本当だったら、使わせたくはない代物なんだよ!!

 今回は非常時だったから、貸し出したが…………。


 普通の人間が使ったら、間違いなく死ぬ魔道具だからな…………!


 それ…………!!」


「ぶぅー…………けちっ…………」


 涙目になりながら、渋々、返却する大賢者。


 何か、日に日に、こいつら(勇者パーティーの連中)が遠慮しなくなって来たような気が…………。

 
 聖女と大賢者辺りがその傾向が多い。


 特に、大賢者はあいつと似たところがあるから、相手しづらいんだけどな…………。


「ふぅーん…………思ったよりも、良いデータが取れたな…………」


 俺は大賢者から受け取った魔道具をパソコン型の魔道具に接続して、データを確認する。


 そのデータを工房へと転送して、魔道具自体を亜空間に収納して、ベット横にある車椅子へと動こうとする。

「手伝いますわ」


 俺の考えを察して、大賢者が車椅子をこちらの方へと移動されてくれた。


 お言葉に甘えて、車椅子に乗り込むと、部屋を出て行く……………………のだが…………。


「何で、付いてくるんだ……?」


 俺はメイド共に、背後から後をついてくる大賢者にジッと目を向ける。


「案内は必要でしょう……?」


 しれっと、さも当然に答える大賢者だったが、その目は肉食獣のような獲物を狙う目をしていた。


 大方、俺の側にいれば、自分の知らない知識を得られるだろうという魂胆だろう。


 分かり易過ぎる…………。

 でも、これは好都合かもしれない。

「そうか…………。

 なら、俺をある場所へ連れて行ってくれ…………」

 俺は邪悪に微笑むと、大賢者からある人物の場所を聞き出したのだった。
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