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第二章 水の都市の大罪
悪魔の心臓
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グーラを倒して、クラーケンの方へ向かい、流星の如く飛行していく。
聖女様がある程度、触手を片付けてくれたおかげで、スムーズに進んでいけるのは助かる。
助かるのだが、どうも、様子がおかしい。
俺がグーラの奴と戦っていた時間は長くて、四十分以上はあった筈だ。
それだけの時間があれば、とっくにあれを見つけてもおかしくはない筈なのに…………。
一体、何を手こずっているんだ……?
バイザーからの情報では、通信魔法が届く距離に入ったな…………。
「こちら、ライハぁ~。
聖女様ぁ~!
聞こえるぅ~?」
『こちら、サキネ。
申し訳ありませんが、聖女様は現在、戦闘中のため、私の方が対応致します』
通信は繋がったが、何故か、聖女様ではなく、聖女様のパートナーである《人工知能》のサキネが応答に出る。
「状況はどうなってるのぉ~?」
『それが、ライハ様の言う目標を探知出来ず、現在も捜索中です』
はあ……?
あれがない……?
そんな訳あるか。
海底探査機で調べた時、確かにあれは…………。
いや、まさか…………!?
ある考えが浮かんで、探してみると、予想が当たった。
バイザーで聖女の位置情報を確認して、再び通信する。
「サキネぇ~!!
今すぐ、聖女に北西側の触手、その先端に向かってぇ~!!!
位置情報は送るぅ~!!」
急いで、聖女に情報を送る。
完全に失念していた。
最初の頃、情報を収集していた際の漁師達の話を…………。
彼らはこう言っていた。
数ヶ月前に、隕石が海に落ちてから、魚が取れず、不漁続きだと…………。
もし、この考えが正しければ、この悪魔に逃げられる!!
「ブーストっ!!!」
何処だ!?
何処だ!! 何処だ何処だ何処だ!!?
俺は触手に添うようにして、飛行しながら、必死にそれを探していく。
その熱源を探知すると、それが物凄いスピードで触手の中で移動していた。
それは、この悪魔の心臓というべき、『生体コア』だ。
極たまにだが、魔物の中には、この『生体コア』を持つ個体がいる。
この『生体コア』を持つ魔物は、コアが存在する限り、例え、肉体の一部が欠損したとしても、時間を掛ければ再生する。
恐らく、この悪魔はその魔物と同じ特製を有している。
これを破壊すれば、この悪魔は肉体もろとも死滅する筈だ。
だが、俺が焦っているのは、それが理由ではない。
『生体コア』に関しては、海底探査機で確認した時に分かっていたし、『生体コア』を破壊する武装を聖女に渡してある。
俺が焦っているのは、漁師達の話で出た隕石の話に関しての事が原因だ。
俺の予想が正しければ、その隕石とは、この悪魔の『生体コア』が、弾道ミサイルによって飛んで来たものだ。
俺の考えでは、その弾道ミサイルで、隕石のように飛んで来たであろう、『生体コア』は周辺の生物を取り込んで、急激に成長。
肉体を数ヶ月掛けて、作り上げていき、今の形になった。
もしここで、その『生体コア』が弾道ミサイルに乗って飛んで行ったとしよう。
そうすれば、また、この悪魔は多くの命を糧にして、蘇り、今回のような事態を必ず起こすだろう。
そうさせないためには、俺がここで『生体コア』の移動を足止めし、聖女が持っている武装で止めを刺すしかない。
しかし、その生体コアの移動スピードは《神電》のスピードを上回りつつある。
あまり賭け事は好きではないが…………。
仕方ない。
まだ調整も終えてないが、ここで使わないと、例え都が助かっても、また同じ悲劇を起こしかねない。
なら、やるしかない!
「オーバーブースト…………!」
高機動ユニットの限界を超えて、スピードを数十倍に上げるシステム。
これを使ったら最後、開発中のシステムなため、許容量以上の出力に耐え切れずに、機体が確実に大破する。
でも、迷っている場合じゃない!
システムを起動させ、一気に加速。
コアに追い付くと、《雷電》の切っ先を突き立て、両足で静止を掛ける。
更に、ブースターを反転させ、移動速度を下げる。
出力に耐え切れず、爆破したユニットは即座にパージして、高速で引きずられながら、装甲が徐々に剥がされていく。
「ライハさん!」
しばらく、それに尽力していると、何とか追い付いた聖女がこちらへ向かって飛行しているのが見える。
「撃ってっ!!!」
俺は通信魔法を発動させ、聖女に向かって叫んだ。
「ですがっ!?」
聖女は明らかな動揺を示して、撃つ事を躊躇うが--------
「早くしてっ!! このままじゃ間に合わない!!!」
「っ!? …………!!」
聖女は意を決したように、サキネのサポートを受けつつ、背負っていた『生体コア』用の切り札----------------対戦車ミサイルの照準をこちらに向ける。
『今です!』
そして、照準が合わせ終わった聖女はそのトリガーを引いた。
「《アブソーブシールド!!》」
ミサイルは綺麗な軌道を描いて、コアに見事に命中。
爆発のダメージを軽減させるため、咄嗟に左腕のシールドを展開して、吹き飛ばされた俺はそのまま地面へと叩き付けられたのだった。
聖女様がある程度、触手を片付けてくれたおかげで、スムーズに進んでいけるのは助かる。
助かるのだが、どうも、様子がおかしい。
俺がグーラの奴と戦っていた時間は長くて、四十分以上はあった筈だ。
それだけの時間があれば、とっくにあれを見つけてもおかしくはない筈なのに…………。
一体、何を手こずっているんだ……?
バイザーからの情報では、通信魔法が届く距離に入ったな…………。
「こちら、ライハぁ~。
聖女様ぁ~!
聞こえるぅ~?」
『こちら、サキネ。
申し訳ありませんが、聖女様は現在、戦闘中のため、私の方が対応致します』
通信は繋がったが、何故か、聖女様ではなく、聖女様のパートナーである《人工知能》のサキネが応答に出る。
「状況はどうなってるのぉ~?」
『それが、ライハ様の言う目標を探知出来ず、現在も捜索中です』
はあ……?
あれがない……?
そんな訳あるか。
海底探査機で調べた時、確かにあれは…………。
いや、まさか…………!?
ある考えが浮かんで、探してみると、予想が当たった。
バイザーで聖女の位置情報を確認して、再び通信する。
「サキネぇ~!!
今すぐ、聖女に北西側の触手、その先端に向かってぇ~!!!
位置情報は送るぅ~!!」
急いで、聖女に情報を送る。
完全に失念していた。
最初の頃、情報を収集していた際の漁師達の話を…………。
彼らはこう言っていた。
数ヶ月前に、隕石が海に落ちてから、魚が取れず、不漁続きだと…………。
もし、この考えが正しければ、この悪魔に逃げられる!!
「ブーストっ!!!」
何処だ!?
何処だ!! 何処だ何処だ何処だ!!?
俺は触手に添うようにして、飛行しながら、必死にそれを探していく。
その熱源を探知すると、それが物凄いスピードで触手の中で移動していた。
それは、この悪魔の心臓というべき、『生体コア』だ。
極たまにだが、魔物の中には、この『生体コア』を持つ個体がいる。
この『生体コア』を持つ魔物は、コアが存在する限り、例え、肉体の一部が欠損したとしても、時間を掛ければ再生する。
恐らく、この悪魔はその魔物と同じ特製を有している。
これを破壊すれば、この悪魔は肉体もろとも死滅する筈だ。
だが、俺が焦っているのは、それが理由ではない。
『生体コア』に関しては、海底探査機で確認した時に分かっていたし、『生体コア』を破壊する武装を聖女に渡してある。
俺が焦っているのは、漁師達の話で出た隕石の話に関しての事が原因だ。
俺の予想が正しければ、その隕石とは、この悪魔の『生体コア』が、弾道ミサイルによって飛んで来たものだ。
俺の考えでは、その弾道ミサイルで、隕石のように飛んで来たであろう、『生体コア』は周辺の生物を取り込んで、急激に成長。
肉体を数ヶ月掛けて、作り上げていき、今の形になった。
もしここで、その『生体コア』が弾道ミサイルに乗って飛んで行ったとしよう。
そうすれば、また、この悪魔は多くの命を糧にして、蘇り、今回のような事態を必ず起こすだろう。
そうさせないためには、俺がここで『生体コア』の移動を足止めし、聖女が持っている武装で止めを刺すしかない。
しかし、その生体コアの移動スピードは《神電》のスピードを上回りつつある。
あまり賭け事は好きではないが…………。
仕方ない。
まだ調整も終えてないが、ここで使わないと、例え都が助かっても、また同じ悲劇を起こしかねない。
なら、やるしかない!
「オーバーブースト…………!」
高機動ユニットの限界を超えて、スピードを数十倍に上げるシステム。
これを使ったら最後、開発中のシステムなため、許容量以上の出力に耐え切れずに、機体が確実に大破する。
でも、迷っている場合じゃない!
システムを起動させ、一気に加速。
コアに追い付くと、《雷電》の切っ先を突き立て、両足で静止を掛ける。
更に、ブースターを反転させ、移動速度を下げる。
出力に耐え切れず、爆破したユニットは即座にパージして、高速で引きずられながら、装甲が徐々に剥がされていく。
「ライハさん!」
しばらく、それに尽力していると、何とか追い付いた聖女がこちらへ向かって飛行しているのが見える。
「撃ってっ!!!」
俺は通信魔法を発動させ、聖女に向かって叫んだ。
「ですがっ!?」
聖女は明らかな動揺を示して、撃つ事を躊躇うが--------
「早くしてっ!! このままじゃ間に合わない!!!」
「っ!? …………!!」
聖女は意を決したように、サキネのサポートを受けつつ、背負っていた『生体コア』用の切り札----------------対戦車ミサイルの照準をこちらに向ける。
『今です!』
そして、照準が合わせ終わった聖女はそのトリガーを引いた。
「《アブソーブシールド!!》」
ミサイルは綺麗な軌道を描いて、コアに見事に命中。
爆発のダメージを軽減させるため、咄嗟に左腕のシールドを展開して、吹き飛ばされた俺はそのまま地面へと叩き付けられたのだった。
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