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第二章 水の都市の大罪
過去のカケラ
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「これじゃ駄目だな…………」
聖女に《量産型》のカードデバイスを預けてから、工房に戻った俺は、メンテナンスポッドに入っている魔道具へと視線を向けた
それは《量産型ヴァルキリー》と共に眠っていた魔道具。
本当なら、《ヴァルキリー》の正式装備となる筈だったもの。
元々、《ヴァルキリー》とは、ある男の夢を形にしようと、俺達が共同開発したものだった。
だが、ある事件で、その男は永遠の眠りにつき……………………俺は失意の中、その装備を工房の倉庫へと封印し、今までの研究成果を基に、独自に《ヴァルキリー》の開発を行った。
だが、あの男の技術には到底及ばず、俺が作った《ヴァルキリー》は惨敗を期し、大破してしまった。
もし、あいつの技術があれば、あのグーラを倒せたのに…………!
「と…………。
今はそれどころじゃない」
俺は被りを振ると、メンテナンスポッドのデータを見ていく。
俺の組んだプログラムなんかでは、到底太刀打ち出来ない。
繊細で、かつ大胆なプログラム。
それでいて、無駄がない。
ほんと、あいつこそ天才だと、今でも思う。
『俺は勇者達と共に魔王を倒し、世界を救うんだ!』
それがあいつの口癖だった。
なのに、あの馬鹿は…………!!
おっと…………何、感傷に浸っているんだ。
今はこいつに集中しろ。
こいつさえ、完成すれば、こっちの手札が増える。
今こそ、俺があいつの夢を現実に叶えてやるんだ!
何度も、何度も、データを入力し、失敗してを繰り返していく。
だが、その魔道具は一向に動く気配すらない。
何度も、何度も、試してみてもだ。
「くそっ…………!!」
やっぱり、こっちの分野じゃ、あいつには敵わなねぇ…………。
いや、そもそも、あいつと俺とじゃ、コンセプトも違ったしな…………。
いや、よく思い出せ…………。
元々、《ヴァルキリー計画》のコンセプトは何だったのか?
何故、性能の劣る事を前提とした《量産型》の制作に着目したのか?
いや…………待てよ…………。
そもそも、あの《量産型》の数は確か…………。
それなら、あれは…………あいつの性格からして、もしかしたら…………。
試しに、端末を取り出して、そのデータをコンソールに繋げて、入力してみる。
すると、メンテナンスポッド内で起動音を上げて…………その魔道具が淡い光を放つ。
「…………なるほど…………。
そういう事か…………」
ほんと、天才だよ。
頭は空っぽで、重度の大馬鹿野郎のくせして…………。
こんな、大それた事、考える奴は…………やっぱ、お前しかいねぇよな…………。
その光を見て、頬に一筋の光が流れた。
やっぱり、お前がいないと、俺は駄目なんだな…………。
メンテナンスポッド内で光を放つ魔道具を前に、俺は視線を外す事なく、しばらく立ち尽くしていた。
聖女に《量産型》のカードデバイスを預けてから、工房に戻った俺は、メンテナンスポッドに入っている魔道具へと視線を向けた
それは《量産型ヴァルキリー》と共に眠っていた魔道具。
本当なら、《ヴァルキリー》の正式装備となる筈だったもの。
元々、《ヴァルキリー》とは、ある男の夢を形にしようと、俺達が共同開発したものだった。
だが、ある事件で、その男は永遠の眠りにつき……………………俺は失意の中、その装備を工房の倉庫へと封印し、今までの研究成果を基に、独自に《ヴァルキリー》の開発を行った。
だが、あの男の技術には到底及ばず、俺が作った《ヴァルキリー》は惨敗を期し、大破してしまった。
もし、あいつの技術があれば、あのグーラを倒せたのに…………!
「と…………。
今はそれどころじゃない」
俺は被りを振ると、メンテナンスポッドのデータを見ていく。
俺の組んだプログラムなんかでは、到底太刀打ち出来ない。
繊細で、かつ大胆なプログラム。
それでいて、無駄がない。
ほんと、あいつこそ天才だと、今でも思う。
『俺は勇者達と共に魔王を倒し、世界を救うんだ!』
それがあいつの口癖だった。
なのに、あの馬鹿は…………!!
おっと…………何、感傷に浸っているんだ。
今はこいつに集中しろ。
こいつさえ、完成すれば、こっちの手札が増える。
今こそ、俺があいつの夢を現実に叶えてやるんだ!
何度も、何度も、データを入力し、失敗してを繰り返していく。
だが、その魔道具は一向に動く気配すらない。
何度も、何度も、試してみてもだ。
「くそっ…………!!」
やっぱり、こっちの分野じゃ、あいつには敵わなねぇ…………。
いや、そもそも、あいつと俺とじゃ、コンセプトも違ったしな…………。
いや、よく思い出せ…………。
元々、《ヴァルキリー計画》のコンセプトは何だったのか?
何故、性能の劣る事を前提とした《量産型》の制作に着目したのか?
いや…………待てよ…………。
そもそも、あの《量産型》の数は確か…………。
それなら、あれは…………あいつの性格からして、もしかしたら…………。
試しに、端末を取り出して、そのデータをコンソールに繋げて、入力してみる。
すると、メンテナンスポッド内で起動音を上げて…………その魔道具が淡い光を放つ。
「…………なるほど…………。
そういう事か…………」
ほんと、天才だよ。
頭は空っぽで、重度の大馬鹿野郎のくせして…………。
こんな、大それた事、考える奴は…………やっぱ、お前しかいねぇよな…………。
その光を見て、頬に一筋の光が流れた。
やっぱり、お前がいないと、俺は駄目なんだな…………。
メンテナンスポッド内で光を放つ魔道具を前に、俺は視線を外す事なく、しばらく立ち尽くしていた。
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