最下級冒険者は英雄である事をひた隠す 〜生産スキルで、メカチート生産?〜

水先 冬菜

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第二章 水の都市の大罪

数ヶ月前に…………

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「隕石ですか……?」

 スメワール王国の南東に位置する水の都市スイレンにて、聞き込み調査を行なっていた俺は何件か尋ねて、漸く耳売りな情報をとある漁師達から聞き出せた。

「そうそう、あれは数ヶ月前だったか……?」

「あぁ、大体それくらいだな…………。

 あの日、朝早くに仕掛けを引き上げようとした時だったな…………」

 漁師達の話をまとめると…………。

 数ヶ月前--------

 まだ日が昇る前の朝方に、数日前に仕掛けた罠を引き上げようとしていた時、空が光ったかと思うと、その光は一直線に海の彼方へ向かって行き…………。

 何事かと、思っていたら、鼓膜を震わす程の爆発音が響き渡り、船体を大きく揺らす程の高波に襲われたのだそうだ。

 おかげで転覆しそうになったと、その漁師達は笑っていたが…………。

 恐らく、それが俺の目当てのものだと思う。

「ありがとうございました」

 俺は漁師達に礼を言って、その場を離れた。


 冒険者ギルドで集めた情報と合わせてみると----------------


 数ヶ月前に、隕石らしきものが海へと落下。

 それ以降に、不漁が続いている上、水中系の魔物の被害が少しずつだが、増えて行っているようだ。


「これはもう確定だろ…………」

 そう思うも、ちょっと困った事になった。

 十中八九、今回の件の元凶はその海に落ちた隕石だ。

 そして、その隕石というのは当然、深い深い海の底。

 息が続く訳ないし…………。

 俺には、水中で戦える武装がない。

 砲撃特化にして、飛行能力のある《ヴァルキリー》は前回の戦いで、グーラの野郎に完全に破壊され、修復の目処が立っていない。

 俺が今、所有しているカードデバイスは『新機能』の調整作業を終えていない、制限リミッターの掛かった高機動近接型の《神電》のみ。

 完全に詰んでいた。

 
 何か、良い方法はないかと、気分がてら、久々に冒険者として、仕事を受ける事にした。

 いつもながら、薬草採取という底辺の仕事だったが、その近くに丁度良いレベルの魔物の目撃情報もあったので、『新機能』のテストをするとしよう。


------------------------------------------

「んで、こうなるのね…………」

『ガアアアアアウっ!!!』


 皆さんは『水蛇』という魔物をご存知だろうか……?

 水辺に住む中型の魔物で、それほど戦闘能力はない。

 だが、その反面、その体は剣や斧などの切断系の武器や打撃を吸収する特殊な弾力性を持っていて…………。

 個体差もあるが、Aランクの冒険者が苦戦する事もしばしばある。

 そんな相手に、目的の薬草を見つけたと同時に遭遇してしまう俺。


 呪われたいるのかな……?


 まあ、いいや…………。

「とりあえず、実験台になって貰うぞ。

 来たれ! 《神電!》」

 俺はカードデバイスを取り出すと、黄金の鎧を見に纏い、刀の切っ先を水蛇に向け、構えたのだった。



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