55 / 144
第二章 水の都市の大罪
数ヶ月前に…………
しおりを挟む
「隕石ですか……?」
スメワール王国の南東に位置する水の都市スイレンにて、聞き込み調査を行なっていた俺は何件か尋ねて、漸く耳売りな情報をとある漁師達から聞き出せた。
「そうそう、あれは数ヶ月前だったか……?」
「あぁ、大体それくらいだな…………。
あの日、朝早くに仕掛けを引き上げようとした時だったな…………」
漁師達の話をまとめると…………。
数ヶ月前--------
まだ日が昇る前の朝方に、数日前に仕掛けた罠を引き上げようとしていた時、空が光ったかと思うと、その光は一直線に海の彼方へ向かって行き…………。
何事かと、思っていたら、鼓膜を震わす程の爆発音が響き渡り、船体を大きく揺らす程の高波に襲われたのだそうだ。
おかげで転覆しそうになったと、その漁師達は笑っていたが…………。
恐らく、それが俺の目当てのものだと思う。
「ありがとうございました」
俺は漁師達に礼を言って、その場を離れた。
冒険者ギルドで集めた情報と合わせてみると----------------
数ヶ月前に、隕石らしきものが海へと落下。
それ以降に、不漁が続いている上、水中系の魔物の被害が少しずつだが、増えて行っているようだ。
「これはもう確定だろ…………」
そう思うも、ちょっと困った事になった。
十中八九、今回の件の元凶はその海に落ちた隕石だ。
そして、その隕石というのは当然、深い深い海の底。
息が続く訳ないし…………。
俺には、水中で戦える武装がない。
砲撃特化にして、飛行能力のある《ヴァルキリー》は前回の戦いで、グーラの野郎に完全に破壊され、修復の目処が立っていない。
俺が今、所有しているカードデバイスは『新機能』の調整作業を終えていない、制限リミッターの掛かった高機動近接型の《神電》のみ。
完全に詰んでいた。
何か、良い方法はないかと、気分がてら、久々に冒険者として、仕事を受ける事にした。
いつもながら、薬草採取という底辺の仕事だったが、その近くに丁度良いレベルの魔物の目撃情報もあったので、『新機能』のテストをするとしよう。
------------------------------------------
「んで、こうなるのね…………」
『ガアアアアアウっ!!!』
皆さんは『水蛇』という魔物をご存知だろうか……?
水辺に住む中型の魔物で、それほど戦闘能力はない。
だが、その反面、その体は剣や斧などの切断系の武器や打撃を吸収する特殊な弾力性を持っていて…………。
個体差もあるが、Aランクの冒険者が苦戦する事もしばしばある。
そんな相手に、目的の薬草を見つけたと同時に遭遇してしまう俺。
呪われたいるのかな……?
まあ、いいや…………。
「とりあえず、実験台になって貰うぞ。
来たれ! 《神電!》」
俺はカードデバイスを取り出すと、黄金の鎧を見に纏い、刀の切っ先を水蛇に向け、構えたのだった。
スメワール王国の南東に位置する水の都市スイレンにて、聞き込み調査を行なっていた俺は何件か尋ねて、漸く耳売りな情報をとある漁師達から聞き出せた。
「そうそう、あれは数ヶ月前だったか……?」
「あぁ、大体それくらいだな…………。
あの日、朝早くに仕掛けを引き上げようとした時だったな…………」
漁師達の話をまとめると…………。
数ヶ月前--------
まだ日が昇る前の朝方に、数日前に仕掛けた罠を引き上げようとしていた時、空が光ったかと思うと、その光は一直線に海の彼方へ向かって行き…………。
何事かと、思っていたら、鼓膜を震わす程の爆発音が響き渡り、船体を大きく揺らす程の高波に襲われたのだそうだ。
おかげで転覆しそうになったと、その漁師達は笑っていたが…………。
恐らく、それが俺の目当てのものだと思う。
「ありがとうございました」
俺は漁師達に礼を言って、その場を離れた。
冒険者ギルドで集めた情報と合わせてみると----------------
数ヶ月前に、隕石らしきものが海へと落下。
それ以降に、不漁が続いている上、水中系の魔物の被害が少しずつだが、増えて行っているようだ。
「これはもう確定だろ…………」
そう思うも、ちょっと困った事になった。
十中八九、今回の件の元凶はその海に落ちた隕石だ。
そして、その隕石というのは当然、深い深い海の底。
息が続く訳ないし…………。
俺には、水中で戦える武装がない。
砲撃特化にして、飛行能力のある《ヴァルキリー》は前回の戦いで、グーラの野郎に完全に破壊され、修復の目処が立っていない。
俺が今、所有しているカードデバイスは『新機能』の調整作業を終えていない、制限リミッターの掛かった高機動近接型の《神電》のみ。
完全に詰んでいた。
何か、良い方法はないかと、気分がてら、久々に冒険者として、仕事を受ける事にした。
いつもながら、薬草採取という底辺の仕事だったが、その近くに丁度良いレベルの魔物の目撃情報もあったので、『新機能』のテストをするとしよう。
------------------------------------------
「んで、こうなるのね…………」
『ガアアアアアウっ!!!』
皆さんは『水蛇』という魔物をご存知だろうか……?
水辺に住む中型の魔物で、それほど戦闘能力はない。
だが、その反面、その体は剣や斧などの切断系の武器や打撃を吸収する特殊な弾力性を持っていて…………。
個体差もあるが、Aランクの冒険者が苦戦する事もしばしばある。
そんな相手に、目的の薬草を見つけたと同時に遭遇してしまう俺。
呪われたいるのかな……?
まあ、いいや…………。
「とりあえず、実験台になって貰うぞ。
来たれ! 《神電!》」
俺はカードデバイスを取り出すと、黄金の鎧を見に纏い、刀の切っ先を水蛇に向け、構えたのだった。
0
お気に入りに追加
1,056
あなたにおすすめの小説

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる