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第二章 魔王は再び蘇る?

動き出した元凶

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「何とか…………終わった…………」 

 《神電》の修復作業が完全に終了し、車椅子にもたれ掛かる俺。

 気が付けば、神聖の代償も無くなり、元の姿に戻った上、足も自由に動くようになっていた。

 試しに、近くにあった鏡で、自分の顔を覗いて見る。

 うわぁ~…………酷えな、こりゃあ…………。

 正直、目元のクマが非常に黒く、髪はボサボサ、痩せこけた頬が、事の深刻さを物語っていた。

 とりあえず、今は寝よう…………。

 話は、それ…………から、だ…………。

 俺は気を失うようにして、テーブルに突っ伏した。


 御休みなさい…………。


 誰かが耳元で、そう語り掛けてくれた気がしたが、もう意識を保てそうになかった。


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 ライハが最初の頃に立ち寄った坑道。

 その近くの森の中--------

 身体を横たえ、周囲の景色に溶け込みながら寝そべる悪魔の目が開いた。

 そして、立ち上がると、周りを見渡し…………ある一点に視線を固定する。

『グルっ…………!! ググルっ! グルっ!! グルルル? グルグっ!!』

 まるで、人が会話するように、呻き声を上げる悪魔は唐突に頷いた。

『ガウウウウウウウっ!!!!!!!』

 日が沈む夕暮れに、悪魔の雄叫びがこだまする。

 それに呼応して、各地で散り散りになっていた悪魔の分身体も雄叫びを上げて行き------------そのまま、本体へと向かって駆け出した。

『グルルルウ~っ!!』

 分身体が本体の前に到着すると、悪魔はそのまま分身体を喰らい始めた。

 日に日に集まる分身をただただ喰らい続け…………。

 悪魔の身体は肥大化していき…………。

 一定数の数を喰らい終えると、巨大な爆発を起こして弾け飛んだ。

 その爆心地の中央では、焼き焦げた悪魔の死骸が横たわり…………。

 その中から、腹を突き破って、人の手らしきものが突き出て来て…………。



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