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第二章 魔王は再び蘇る?
暴食の悪魔
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「頑張ってるな~♡
ライハちゃんは♡」
隣町の上空で、『街道の悪魔』を討伐するべく町を駆け回る黄金のパワードスーツを身に纏う少女の姿を見下ろしている人物がいた。
その者の名はデリヘラ。
死と狂気を司る女神その人である。
『なるほどね♪』
『あれはお前の仕業だったのか…………!』
その隣で、面白そうにライハの姿を見ている者達の姿が現れる。
調和と愛の女神アフロディアと友情と美の女神シムズである。
『遅かったわね♡』
デリヘラは同属である二人の登場に挑発的な嘲笑を浮かべ、二柱は思わず額に青筋を浮かべ、静かな怒りを露わにする。
『どう? 私がライハちゃんに与えた“神聖"の力は♡』
『お前なあーっ!
女神の権能を気安く人間に渡すって、どういうつもりだよ!』
『あれれぇ~♡
その神聖をあなたの大事な親友…………アイビスちゃんも、あの子にあげてなかったかな~♡』
『……………………』
デリヘラの答えに言い返せず、シムズは口を閉じた。
確かに、前回、魔王を倒す報酬として、アイビスは自身の神聖《無限回廊》をライハに渡していた。
《無限回廊》は魔力を無限に増幅する力を持った神聖だ。
微量な魔力を与えるだけで、魔力を数倍にまで増幅する事が出来る。
ライハはその神聖を現在、パワードスーツの動力源に組み込み。
今まで、パワードスーツの問題点であった魔力消費の悪さを大幅に解消する事に成功。
そのおかげで、現在、パワードスーツの稼働時間は飛躍的に伸び、長時間の稼働が可能になっていた。
そして、今回、デリヘラが渡した神聖は《死への誘い》--------
魔力や魔法そのものを無効化する神聖で、ライハが今奮っている刀状の兵装に付与されていた。
それにより、あの悪魔達がその身を覆っていた《不死の魔法》を消し去る事により、その命を絶っていた。
今回の悪魔共の出現だけでも、頭を悩ませていた女神達だったが…………。
同属がしでかした事態に、再び頭を悩ませるとは思っても見なかった。
いつもニコニコとしている調和と愛の女神でさえも、今回ばかりは憂い顔だ。
だが、同時にデリヘラの気持ちも分かってしまう。
今回の事件は、元を正せば、女神の不始末。
我々、女神が見逃してしまったがために、起きた悲劇であった。
そのおかげで、罪もない多くの人々の命が奪われてしまったのだ。
だからこそ、彼女は禁を犯しても、彼にその力を授けた。
『ふふっ…………♡
やっぱり、ライハちゃんは良いな♡』
否、もしかしたら、あの子の事を考えてかもしれない。
そう思うと、やるせない気持ちになるアフロディアは、思わずデリヘラから視線を外し、町の中で今も刀を振るうライハに目を向けた。
電光石火の如く、次々と悪魔を斬り伏せるその姿は、聞きしに勝る戦いぶりだ。
悪魔の爪を軽々と交わし、逆にカウンターをお見舞いする。
それを繰り返し、切り刻んでいく少女の姿をした彼に…………。
もしかしたら、あの子も救えるのではと期待してしまう自分がいて、アフロディアは慌てて首を振った。
もし救えたとしても、これは我々女神達の問題。
人である彼の力を借りる訳にはいかない。
だから、彼を見守るしかない。
あの子が放ってしまった女神の大いなる罪。
その象徴たる七柱の悪魔。
その内の一つである“暴食の悪魔"を屠る彼の姿を…………。
その戦いが終わるまで、アフロディアは悲痛な面持ちで彼を見つめ続けるのであった。
ライハちゃんは♡」
隣町の上空で、『街道の悪魔』を討伐するべく町を駆け回る黄金のパワードスーツを身に纏う少女の姿を見下ろしている人物がいた。
その者の名はデリヘラ。
死と狂気を司る女神その人である。
『なるほどね♪』
『あれはお前の仕業だったのか…………!』
その隣で、面白そうにライハの姿を見ている者達の姿が現れる。
調和と愛の女神アフロディアと友情と美の女神シムズである。
『遅かったわね♡』
デリヘラは同属である二人の登場に挑発的な嘲笑を浮かべ、二柱は思わず額に青筋を浮かべ、静かな怒りを露わにする。
『どう? 私がライハちゃんに与えた“神聖"の力は♡』
『お前なあーっ!
女神の権能を気安く人間に渡すって、どういうつもりだよ!』
『あれれぇ~♡
その神聖をあなたの大事な親友…………アイビスちゃんも、あの子にあげてなかったかな~♡』
『……………………』
デリヘラの答えに言い返せず、シムズは口を閉じた。
確かに、前回、魔王を倒す報酬として、アイビスは自身の神聖《無限回廊》をライハに渡していた。
《無限回廊》は魔力を無限に増幅する力を持った神聖だ。
微量な魔力を与えるだけで、魔力を数倍にまで増幅する事が出来る。
ライハはその神聖を現在、パワードスーツの動力源に組み込み。
今まで、パワードスーツの問題点であった魔力消費の悪さを大幅に解消する事に成功。
そのおかげで、現在、パワードスーツの稼働時間は飛躍的に伸び、長時間の稼働が可能になっていた。
そして、今回、デリヘラが渡した神聖は《死への誘い》--------
魔力や魔法そのものを無効化する神聖で、ライハが今奮っている刀状の兵装に付与されていた。
それにより、あの悪魔達がその身を覆っていた《不死の魔法》を消し去る事により、その命を絶っていた。
今回の悪魔共の出現だけでも、頭を悩ませていた女神達だったが…………。
同属がしでかした事態に、再び頭を悩ませるとは思っても見なかった。
いつもニコニコとしている調和と愛の女神でさえも、今回ばかりは憂い顔だ。
だが、同時にデリヘラの気持ちも分かってしまう。
今回の事件は、元を正せば、女神の不始末。
我々、女神が見逃してしまったがために、起きた悲劇であった。
そのおかげで、罪もない多くの人々の命が奪われてしまったのだ。
だからこそ、彼女は禁を犯しても、彼にその力を授けた。
『ふふっ…………♡
やっぱり、ライハちゃんは良いな♡』
否、もしかしたら、あの子の事を考えてかもしれない。
そう思うと、やるせない気持ちになるアフロディアは、思わずデリヘラから視線を外し、町の中で今も刀を振るうライハに目を向けた。
電光石火の如く、次々と悪魔を斬り伏せるその姿は、聞きしに勝る戦いぶりだ。
悪魔の爪を軽々と交わし、逆にカウンターをお見舞いする。
それを繰り返し、切り刻んでいく少女の姿をした彼に…………。
もしかしたら、あの子も救えるのではと期待してしまう自分がいて、アフロディアは慌てて首を振った。
もし救えたとしても、これは我々女神達の問題。
人である彼の力を借りる訳にはいかない。
だから、彼を見守るしかない。
あの子が放ってしまった女神の大いなる罪。
その象徴たる七柱の悪魔。
その内の一つである“暴食の悪魔"を屠る彼の姿を…………。
その戦いが終わるまで、アフロディアは悲痛な面持ちで彼を見つめ続けるのであった。
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