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第二章 魔王は再び蘇る?

大賢者

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 坑道から町に帰還した俺はこの町のギルドへ向かう事にした。

 もしかしたら、クエストボードには、坑道跡地の魔物に関して、何らかの情報があるのではないかと考えたからだ。

 運良くギルドを見つけて、意気揚々とその扉を開け--------

「「「「……………………」」」」

 何も見なかった事にした。

 ギルドから出て、数歩程、足を進めて--------俺は全力で駆け出した。

「何であいつらがここに!?」

 そうギルドの扉を開けた際に、見覚えのある連中と目があった。

 皆さんも良く知っている連中だ。

「待ちなさい!!」

 その代表格たる勇者様がギルドを出て、俺を追い掛けて来た。

 その後ろには、いつも通りに、剣聖様と聖女様に…………後一人は確か…………。

「《アクアランス!!》」

「おっと…………!!」

 今ので、思い出した。

 あの子は大賢者ミルファ。

 歴代最強にして、『魔法使いの女王』と謳われる才女だ。

 齢六百歳のくせして、容姿は魔法を使って、無駄に若作りしているもんだから、勇者達と同じ十代後半に見える。

 若作りしているオバハンが躍起になってるのを見ると、何か萎えるな…………。

 どうせなら、美人のお姉さんに追われたい。

「《アクア・スラッシュ!》」

 心なしか、魔法の威力が上がっているような…………。

 とりあえず、あいつらをいつものように撒くかね。

 そう思って、いつものように、アクセサリー型の魔道具を起動。

 別の人間に変身して、人混みに紛れたのだが…………。

「見つけましたわ!!」

「嘘だろ!?」

 何故か、尽く、あの大賢者様にバレてしまい、意味を為さなかった。

 何度、違う姿に変身しても、いたちごっこのように見つかってしまう。

 何故、見つかるのか…………。

 俺なりに、逃げながら考え続け--------

「そういう事か…………!!」

 試しに思い付いた方法を試してみた。

「反応が消えましたわ…………」

 俺の居場所を見つけられなくなって、悔しそうに歯がみしている大賢者の顔を、メガネ越しに見て確信した。

 彼女が今、掛けているあのメガネ。

 あれは魔道具だ。

 恐らく、メガネを通して見た相手の居場所を探知する探索系のものだ。

 こういった魔道具は、大抵、見た相手の魔力に反応して、居場所を突き止める。

 なら、その魔力そのものを問題はないという事。

 だから、こんな時のために用意しておいた『魔力隠蔽メガネ』が役に立った。

 面白半分に生産スキルを使って作ったんだが…………。

 捨てずに、カードデバイスに残しておいて良かった。

 これから、この町を歩く時はこのメガネを掛けておいた方が良さそうだ。

 特にあの大賢者の前では…………。

 ふと、懐に入れておいたスマホ型の魔道具が振動した。

 どうやら、あいつらから逃げ惑っている間に、からの情報が届いていたみたいだな…………。

 なら、町の外に設置した転移装置の所へ戻るとするか…………。

 今回は急な依頼なもんだから、それほど、うまく隠せていないし…………。

 後々、勇者パーティーの連中に見つかっても面倒だ。

 これは気軽に工房へ転移出来る、何かを本格的に考えた方が良さそうだ。

 変身用の魔道具も改良が必要だしな…………。

 まだ、依頼も完遂してないし…………。

 はぁ…………。

「やる事がいっぱいだなぁ~」

 思わず、ため息が出てしまう程に、頭を抱えながら、その場を離れた。

 それが俺史上最大の失敗だった。

------------------------------------------

「何ですの……? ここは……?」

 工房に俺が帰還した途端、転移装置を一時回収したにも関わらず、何故か、目の前にあの大賢者様がいたのだ。

 次から次へと問題が増えていく。

「もういや…………」

 俺の嘆きが虚しく工房にこだました。

 その姿を大賢者様は不思議そうに小首を傾げていた。
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