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プロローグ

更なる面倒事

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「冒険者ライハ! 貴殿に決闘を申し込む!」

 あの面倒な女神の相手を終え、せっかく気持ちの良い朝を迎えたというのに…………。

 朝起きたら、あの女神の姿は消えていたのだが…………。

 何か、また面倒なのが来た。

 多分、俺の目は死んだ魚の目みたいに死んでいる筈だ。

「返答はいかに!!」

「すいません。仕事がありますので…………」

 そう言って、何か面倒そうな女の横を通り過ぎる。

 遠回しに断ったのだが、その女は尚も食い下がり、俺の肩をがっしりと掴んだかと思うと------------

「貴様!! 男なら二つ返事で頷く所だろうが!! 一体何を考えている!!?」

 それはこっちが言いたいよ。

 何で、俺があの勇者の従者。

 しかも、聖騎士の称号を持っている剣聖のシルヴィア・ドールと決闘しないとならんのやら…………。

 一応、俺はEランク冒険者で、SSSランク級の騎士に勝てる訳ありませんよぉ~。

(棒読み)

「もう一度言う!! 貴殿に決闘を--------」

「勝てる訳ないで、遠慮します」

 最後まで言い切らせず、俺はクエストボードへ歩いていく。

 しばらく、彼女は呆然としていたが…………。

 やがて、再起動すると、慌てて俺を追い掛けて来て…………。

「ふざけるなああああっ!!!!」

 いや、ふざけてるのはどっちだよ。

 何か、怒ってるみたいだけど、何のようなんだか…………。

「貴様、何を言っているのか分かっているのか!! 私は剣聖だぞ!!? その申し出を断るとはなんたる事か!!!」

 いや、知らないよ。

 あぁ、なるほど…………。

 こいつ、脳筋か…………。

「いや、そんなの知りませんて…………。

 第一、俺は薬草採取専門ですし、戦闘能力は皆無。

 そんな俺が至高の剣たる剣聖のあなたにどうやったら、戦えると言うんです?

 もし決闘を受けたとしても、ただ一方的にボロ雑巾にされるだけじゃないですか?

 それとも、何ですか?

 至高の剣聖たるあなた様は、権力を振りかざして、弱い者いじめをする最低な騎士だったんですか?」

「う、うむ…………」

 俺の反論に、何も言い返せなくなった彼女が言い淀んでいる内にクエストを選ぶ俺。

「と、ともかく、明日の正午闘技場で決闘だ!! 

 良いな!!

 絶対に来いよ!!」

 何か、あの女神は子供っぽいと思ったが…………。

 剣聖様はガキ大将って、感じだな…………。

 歌も音痴だったりしてな…………。
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