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プロローグ

クソ女神

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『あなた、一体何をしたの……?』

「……………………」

 俺は夢だと思い、布団を深く被る。

 目の前で浮遊していた十代後半くらいの少女は、明らかに体が透けていた。

 なら、答えは一つ…………あれは見ちゃいけないものだ。

『幽霊と一緒にしないで…………』

「ぐえっ…………!!」

 腹部に入る強い衝撃に、海老反りになる俺。

 どうやら、目の前の少女に殴られたらしい。

 乱暴だなぁ…………。

『……………………』

 腹を抱えながら、何とか起き上がると、至近距離で少女が俺をジーッと凝視していた。

「何にかな……?」

『一体、何をしたの……? 教えなさい』

 はあ……?

 色々、教えて欲しいのはこっちなんだけど……?

 というか、君は誰なの?

『私は真実と正義の女神アイビス。名乗ったんだから、教えなさい』

 まさかの心を読んで来た。

 前世で言えば、エスパーか何かなのかね?

 というか、アイビス……?

 それって、確か…………。

『あなたが考えている通りの人物よ。分かったら、さっさと教えなさい』

 お、横暴だ…………。

 こんなのが女神で、ほんとに大丈夫か?

 初めて、女神に会ったが、幻滅だな…………。

「いだっ!?」

 こいつ、鼻殴りやがったよ!?

 痛ぇな…………おい…………。

『あなたがふざけた事を考えているのが悪い。いいから、教えろ』

 おい!

 段々と話し方が砕けた感じになって来てないか!?

 というか、これ脅迫じゃねえ!?

『違う。これは命令。教えろ、この木偶の坊』

 いや、それ俺の悪口でしょ!!

 大体、何を教えろと……?

『あなたがどうやって、私の方を破ったのか。それを知りたい。だから、教えろ』

「断ったら……?」

 俺が鼻頭を押さえて、涙目ながら尋ねると…………。

『消す』

 何とも物騒な返答が帰って来た。

 だが、俺は------------

「やるなら、どうぞご勝手に…………?」

 そう投げやりに言い返して、再び布団を被ったのだった。
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