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プロローグ
誓約書
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「冒険者ライハ!」
あれから数日が経ったある日、ギルドホームにて、勇者が鬼のような形相で俺へと迫って来ていた。
「あの…………何でしょうか……?」
「これは何ですか!? これは!!」
そう言って、彼女が俺の前に出したのは、とある誓約書のコピーだった。
『私、冒険者ライハは、男として、魔王を倒した功績もなければ、そのような力も有していない事を、真実と正義の女神アイビス様に誓います』
誓約書にはそう書かれてある。
「何って…………そのままの意味ですよ?」
「あなた、自分が何をしたのか、本当に分かっているのですか!?」
「ただ、私には勇者様のいう力はない。
そう神に誓っただけですが…………」
「そのような戯言、アイビス様にはすぐ見抜かれます!
現に何か神罰が降りておられるでしょう!?」
そう焦った様子の勇者に、何を言ってるんだ? と呆けてみる。
「…………何も起きていませんが…………」
「……………………え……?」
すると、勇者が固まった。
「何も…………起きていないのですか……?」
恐る恐る、勇者が尋ねて来るので、間も入れず、すぐに頷く。
「この通り、何ともありませんよ」
彼女の目の前で立ち上がって、何もない事をアピールする。
あれ……?
と心の声が聞こえて来そうな程、勇者である彼女は間抜けな顔をしていて、思わず笑いたくなったが、堪えろ…………俺…………。
まあ、彼女がこうなってしまうのも仕方がないだろう。
何せ、断罪の女神が、俺に魔王を倒す力がないと、合法的に証明してくれたんだから…………。
結果、彼女は力なく仲間に引き連れられ帰っていった。
うまくいったな…………。
勇者達の後ろ姿を見ながら、俺は内心ほくそ笑んでいた。
あれから数日が経ったある日、ギルドホームにて、勇者が鬼のような形相で俺へと迫って来ていた。
「あの…………何でしょうか……?」
「これは何ですか!? これは!!」
そう言って、彼女が俺の前に出したのは、とある誓約書のコピーだった。
『私、冒険者ライハは、男として、魔王を倒した功績もなければ、そのような力も有していない事を、真実と正義の女神アイビス様に誓います』
誓約書にはそう書かれてある。
「何って…………そのままの意味ですよ?」
「あなた、自分が何をしたのか、本当に分かっているのですか!?」
「ただ、私には勇者様のいう力はない。
そう神に誓っただけですが…………」
「そのような戯言、アイビス様にはすぐ見抜かれます!
現に何か神罰が降りておられるでしょう!?」
そう焦った様子の勇者に、何を言ってるんだ? と呆けてみる。
「…………何も起きていませんが…………」
「……………………え……?」
すると、勇者が固まった。
「何も…………起きていないのですか……?」
恐る恐る、勇者が尋ねて来るので、間も入れず、すぐに頷く。
「この通り、何ともありませんよ」
彼女の目の前で立ち上がって、何もない事をアピールする。
あれ……?
と心の声が聞こえて来そうな程、勇者である彼女は間抜けな顔をしていて、思わず笑いたくなったが、堪えろ…………俺…………。
まあ、彼女がこうなってしまうのも仕方がないだろう。
何せ、断罪の女神が、俺に魔王を倒す力がないと、合法的に証明してくれたんだから…………。
結果、彼女は力なく仲間に引き連れられ帰っていった。
うまくいったな…………。
勇者達の後ろ姿を見ながら、俺は内心ほくそ笑んでいた。
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