ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜世界を滅ぼす闇勇者とプラモ勇者の聖戦激闘〜

闇勇者の伝承

聖戦の始まり

　かつて、古より長く続く魔族との戦争に、人類が疲弊し続けていた闇の時代-------------

　人類が滅びるしか道はない。

　そんな絶望的な状況を大きく変えた一人の男がいた。

　その者は、圧倒的な力を持つ魔族を尽く退け----------------いつしか、その男は《勇者》と称えられ、人類に対して、様々な恩恵を与えて行った。

　その中でも、彼が人類に与えた恩恵の中でも、《魔法》という奇跡の力は、世界の常識を変える者であった。

　時には、魔法で、肉体を強化して、魔族と渡り合う力を得たり-------------

　時には、魔法で、火や水などの自然の力を操り-------------

　時には、人々の傷を癒した。

　そして、彼はその魔法を駆使して、魔族の王たる《魔王》を討伐し、世界を救い、英雄になった。




　ここまでは、良くありがちな話だ。

　問題はここから-------------

　実は、この話には続きがある。

　勇者になった彼は、とある事実を知り、再び世界を守り抜くべく、新たな力を求めた。

　それは、《邪神》の存在。

　アンノウンと呼ばれる《魔王》以上の脅威が世界を狙っている事を知った勇者は、その想いに賛同した各国の魔法分野の実力者と研究者達を集めて、各国共同の研究機関《聖戦救済教会ハイファ》を設立。

　オーバーテクノロジーとも言える、半永久的な防衛兵器を数十年の時を掛けて、着々と完成させて行った。

　だが、防衛兵器が完成し終えようとした矢先に事件は起こった。

　防衛兵器開発の主要メンバーの女性が、勇者に呪いを掛ける暴挙に出たのだ。

　動機は、失恋。

　勇者に対する想いを抑え切れず、告白するも、勇者はやんわりと断られた彼女は、次第に心に変調をきたし-------------いつしか、世界なんてどうなっても良いと思うようになっていた。

　そして、彼女は勇者を我がものへと変えるべく動き出したのだ。

　彼女に呪いを受けた勇者は人が代わり、攻撃的になり、10万以上の防衛兵器を奪って、世界を滅ぼし始めた。

　当然、教会のメンバー達も迎え撃ったのだが、結果は惨敗。

　圧倒的な数の防衛兵器と戦闘能力に長けた勇者に、なす術もなく敗北した彼らは、彼から託された秘術を用いて、自らの命と引き換えに、防衛兵器を眠らせる決断をした。

　この決断により、世界は破滅を免れた。

　後に、この戦いは元凶となった《聖戦救済教会ハイファ》から一部を取り、《聖戦》として、人々に語り継がれて行く事になった。

　そして、数百年の時を経て、再び-------------呪われた勇者の復活と共に、《聖戦》の火蓋が今、切って落とされようとしていた。