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第二章 規格外の魔導書
粛清を…………
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ゴルザが特務の為に出立してから、大体二ヶ月程の月日が流れた。
親愛なる神の守護者たる『マホロバ』第一席の私、ミモザは召喚術式を完成させて、彼の帰還を待っていた。
だが、彼も含め部隊が帰る事はなく…………。
気になった私は駐留するメンバーを割いて、ベルマール王国の王都へ派遣した。
それから、数日が経ち、派遣した部隊が戻って来ると信じられない報告を耳にする。
「全守護者が捕縛された……?」
彼らの話では、ゴルザ達の部隊は王都に到着するなり、目標の人物の調査に入った。
目標対象は比較的早くに発見出来たので、すぐ様、行動に移って捕縛したそうなのだが、その後に全守護者が敗北。
敗因は分からなかったが、ゴルザを含めた全員が心身喪失した状態で、王国の騎士団に捕縛され、尋問を受けているという。
と言っても、皆が皆、抜け殻のような廃人になっている為、こちらの情報は漏れていないそうだが、これは非常に困った事になった。
囚われた同胞達の安否も心配だが、私達が最後の希望として命がけで死守して来た《召喚術式》の残り最後のピースが、これでは揃わない。
人員を割きたくても、もう僅か数人程になってしまった残りの戦力では、此処を死守するので限界だ。
他の町に放った諜報員からの報告を信じるのなら、次々に各国の諜報機関により、倒され、もうこの場にしか我らが同胞は残っていない。
その証拠に、それを報告した諜報員達も再び町に戻ったきり、消息を絶っている。
間違いなく、各国の同胞達と同じ末路を辿ったのだろう事は考えるに難くない。
「……………………」
致し方ない…………。
ゴルザが此処にいない以上、私達がやれるのはもうこれしか残されてはいない。
なら、私達の神であらせられる、かの者の為に、私は準ずるのみ…………。
「愚かな咎人には制裁を…………。
聖域を汚す者には死を…………」
胸元にあるロザリオを握り締め、彼女は立ち上がった。
それが例え、破滅の道だったとしても…………。
親愛なる神の守護者たる『マホロバ』第一席の私、ミモザは召喚術式を完成させて、彼の帰還を待っていた。
だが、彼も含め部隊が帰る事はなく…………。
気になった私は駐留するメンバーを割いて、ベルマール王国の王都へ派遣した。
それから、数日が経ち、派遣した部隊が戻って来ると信じられない報告を耳にする。
「全守護者が捕縛された……?」
彼らの話では、ゴルザ達の部隊は王都に到着するなり、目標の人物の調査に入った。
目標対象は比較的早くに発見出来たので、すぐ様、行動に移って捕縛したそうなのだが、その後に全守護者が敗北。
敗因は分からなかったが、ゴルザを含めた全員が心身喪失した状態で、王国の騎士団に捕縛され、尋問を受けているという。
と言っても、皆が皆、抜け殻のような廃人になっている為、こちらの情報は漏れていないそうだが、これは非常に困った事になった。
囚われた同胞達の安否も心配だが、私達が最後の希望として命がけで死守して来た《召喚術式》の残り最後のピースが、これでは揃わない。
人員を割きたくても、もう僅か数人程になってしまった残りの戦力では、此処を死守するので限界だ。
他の町に放った諜報員からの報告を信じるのなら、次々に各国の諜報機関により、倒され、もうこの場にしか我らが同胞は残っていない。
その証拠に、それを報告した諜報員達も再び町に戻ったきり、消息を絶っている。
間違いなく、各国の同胞達と同じ末路を辿ったのだろう事は考えるに難くない。
「……………………」
致し方ない…………。
ゴルザが此処にいない以上、私達がやれるのはもうこれしか残されてはいない。
なら、私達の神であらせられる、かの者の為に、私は準ずるのみ…………。
「愚かな咎人には制裁を…………。
聖域を汚す者には死を…………」
胸元にあるロザリオを握り締め、彼女は立ち上がった。
それが例え、破滅の道だったとしても…………。
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