魔法聖戦の女神 〜変幻自在の魔導書は規格外過ぎた〜

水先 冬菜

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第二章 規格外の魔導書

神器の調査

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 あれからまた数日が過ぎた。

 何か、神器を手に入れてから、随分と月日が流れるのが早くなった気がする。

 これもそれも、記憶を奪われた所為なのかね。

 ともかく、俺はあの模擬戦で倒れた後、再び記憶を失った。


 

 当然ながら、一美は酷く心配して慌てふためて大変だっだが、しばらくすると、俺の神器の調査に乗り出した。

 一美の見解では、俺の神器は、所有者の人格を乗っ取り、肉体を長期の戦闘や魔法に適した形で作り替える、というもの。

 そのため、俺の体が魔法を使った際の負荷に耐え切れず、許容量を超えてしまうと、その影響で、一時的な後遺症が残り、記憶に障害が起こっているのではないか。

 そう思い、王宮の研究機関が俺の神器を解析している最中だ。

 まあ、あながち

 女の姿に変身した状態で魔法を使わないと肉体に負荷が掛かる事も…………。

 許容量を超えてしまうと、記憶に障害が残るのも…………。

 見方を変えればそうを見える。

 だが、事実はもっとシンプルだ。

 それを理解するには、あの神器の根本的なを知らなければならない。

 だが、まず間違いなく、王宮の連中はその秘密に気付く事はない。

 知ったら知ったで、どういう反応をするのか見てみたくもないが…………。

 それよりも、俺にはやらなければならない事がある。

 あるんだが…………。

「あの~…………一美さん……?」

「……………………」

 俺は我が愛しの婚約者様に捕まっていた。

「お~い…………。一美さ~ん…………」

「ふん…………」

 いつにも増して、不機嫌な一美さんの尻に敷かれている俺は動けずにいた。

 それは数分前--------

 俺がこっそりと窓から病室を抜け出すと、それを予想してか、木の上から一美が落ちて来て、俺は下敷きになりました。

 そして、不機嫌な一美さんは地面で這いつくばる俺の上から一向に降りてくれません。

 あぁ、神よ…………。

 何故、あなたは私にこのような仕打ちをなさるのでしょうか……?

「いたっ!?」

「変な事考えた罰よ…………」

 一美さんのエスパーは健在のようで…………。

 とほほ…………。

「だはははっ!! 仲良き事は良い事だ!!」

「うむ…………。そういうものなのか……?」

「そういうもんだっ!!」

 何か、聞き覚えのあるような声が…………。

 って、こいつは--------

「よおっ!! 久しぶりだなっ!!?」

「お久しぶりです」

 俺が声のする方に視線を向けると、向こうからとある二人の男が俺達の方へと手を振って歩いて来た。

 最初に挨拶して来たのは、先日、俺と模擬戦をしたあのチンピラみたいな手甲型神器の使い手である格闘騎士--------ランギルス。

 後から挨拶した方はその相方、大楯型神器の使い手で研究者気質の白衣騎士--------アルミリアだ。

 どちらも、一美と同じ第一騎士団の所属だ。

 これは豆知識だが、一美は姫騎士と呼ばれている。

 どちらかと言うと、じゃじゃ馬騎士だと思うが…………。

「いてええっ!!」

「次、変な事考えたら、頭かち割るわよ……?」

 ひでえ、女…………。

 ガツっと、一撃重いの入りました。

「ほんと、仲良いな!! お前ら!!」

「どうやったら、今のこの状況で、そんな事が言えるんだ!?」

「何だ!? 違うのか!?」

「違うわ!!」

「まあまあ、二人とも落ち着いて…………。神童さんも、まだ彼は病み上がりなんだから、そろそろ降りてあげよう」

「……………………」

 一美は納得いってないようだが、同僚の言っている事も一理あるので、渋々ながら退いてくれた。

 た、助かった…………。

「それで、二人はどうしてここに……?」

 俺から降りた一美は気を取り直したように、二人に問い掛けた。

 すると、一美の問いにアルミリアが答える。

「それはね。彼の神器の解析が終わったって、ラボから連絡があってね。二人を呼びに来たんだ」

 
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