魔法聖戦の女神 〜変幻自在の魔導書は規格外過ぎた〜

水先 冬菜

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第一章 キリエ争奪戦

ヤバかった

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 マホロバの連中と戦ってから一時間が過ぎた。

 制限時間は後二時間程。


 そんな中、俺は見晴らしいの良い草原から離れ、仮面の能力で透明化すると、何処か周りを見渡せる高い場所はないか探した。

 そして、しばらく走っていた後、ちょうどいい感じの大木がポツンっと生えている。


 大体、高さは六メートルそこら…………と言った感じだ。

 その大木の枝を駆使して、上へ上へと跳躍し、ようやく今回の聖戦における戦闘フィールドの全貌が分かった。

 俺は懐から神託を取り出して、神託の機能の中にあるマップ機能を起動した。

 ちなみにマップ機能とは、読んで字の如く、地図を出す機能だ。


 ディスプレイ上には、周辺の地図が表示され、方角や自分の現在地などが一目で分かる。


 地図を見る限り、どうやらここは草原エリアと呼ばれているらしい。


 見渡す限りの広大な緑の絨毯が広がり、ドラゴンなどの大型の魔物が生息する危険地帯なようだ。

 現にゴマ粒くらいの黒い点がいくつか遠目でも見え、赤い火柱が立っている。

 まず、間違いなく、あそこにドラゴンがいるのだろう。

 こっちに向かって来ても面倒なだけだし…………。

 とりあえず、この森が生い茂っている森林エリアに行くべきだろう。


 隠れ場所はここよりも断然多いだろうし、距離もそう遠くない。

 そうと決まれば善は急げ、だ。


------------------------------------------


 数分後--------


 難なく森林エリアに到着したのは良いが…………。


 森林エリアを木々から木々へと飛び移りながら移動中、可笑しな事に気付いた。

 あまりにも、森が静か過ぎるのだ。


 基本、聖戦内の戦闘フィールドは現実世界と同じような生態系があり、当然の事ながら、鳥や魚などと言った生き物もいる。


 それなのに、森に入ってからというもの…………。

 生き物という生き物の姿を見かけない。


 それこそ、虫の一匹すらいなかった。


「何が起こっているの……?」


 思わず呟くが、返事が返ってくる訳もなく。

 とりあえずは、何処か身を隠せて、休める場所はないか探し続けた。


 そうして、手頃な洞窟があり、周囲を警戒しながら恐る恐る入っていった。


 今思えば、ここで体を休めようと思ったのが間違いだった。


 何故なら、洞窟へ入った先で待っていたのは…………血だらけで横たわる一美の姿だったからだ。
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