魔法聖戦の女神 〜変幻自在の魔導書は規格外過ぎた〜

水先 冬菜

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プロローグ

見知らぬ世界

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「…………はぁ……?」

 光が止み、目を開けた瞬間--------俺は見知らぬ町に佇んでいた。

 何処だ、ここ……?

 心で疑問符を浮かべながらも、冷静に俺はこれまでの事を思い返した。

『あなたは聖戦への参加資格を手にしました』

 何か訳分からん少女がいきなり夕飯を食おうとしてた時に現れたかと思ったら、変なもん投げてきて、それから何処からともなく周りが光に包まれて、気がつけばここに…………。


 って、余計分からん!!


 大体、こりゃ何だ?

 本? みたいだが…………。

 辞書みたいに分厚いわりに白紙じゃねぇか…………。

 
 そんな事を心の中で呟いた時だった。

「っ!! 何だ!?」


 突然、地震のように地面が振動したかと思えば、その直後にものすごい風圧と共に爆発音が鳴り響く。

 どうやら、近くで何かが爆発したようだ。

 それに呼応するかのように、爆発が聞こえた方から何かが聞こえる。

 俺は思わず、近場の建物の中へと身を隠すと、窓際からジッと息を殺しながら外の様子をうかがってみた。

「おいおい、逃げんなよ。これじゃあ、退屈過ぎて欠伸が出ちまう」

「うるせぇんだよ!! このくそったれ!!」

 声の内容からして、仲の良い関係ではないようだ。

 追われているのは男……? で、追っているのは女…………男……? まあ、どっちか分からんが、女のよりの奴が何か一方的に追われている男を痛め付けている?


 で良いのか……?

「くそっ! くそくそくそっ!!」

 男が手に持った機関銃らしきもので発砲。

 弾丸は追手の奴へと向かい------------奴の肉を貫く前に突如として現れた""に阻まれて燃え尽きた。

「これで終わりか? なら、もう死んどけ…………」

「ちく--------」

 最後まで言葉にする事は出来ず、男は追手の奴が腕から放った火球らしきもので一瞬にして焼き尽くされた。

 俺は思わず息を呑んだ。

 それはもちろん、人を殺したあいつもそうなのだが…………問題はあいつがだ。

 俺はその方法を見た瞬間、ある言葉が脳裏を過った。

 最初は信じられなかった。

 否、信じたくなかった。

 だが、現実は非常で--------


「あ~あ、つまんねぇな…………。《》っていっても、この程度か…………」

 っ!?

 聖戦…………。

 今、聖戦って言ったか……?

「とりあえず、もうちょいマシな奴探すか…………」

 そいつはグチグチと小言を垂れ流しながら、気を取り直してその場を立ち去った。


 それを確認した俺は恐る恐る外へ出ると、再び大地が揺れ、爆発音が鳴り響いた。

 どうやら、さっきのあいつが相手を見つけて、戦闘を始めたようだ。

「ほんと、ついてねぇな…………」

 俺はそうぼやきながらも、とりあえず、巻き込まれないようにと、爆発音が聞こえた反対方向へと走った。

 とあるものを探して…………。
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