3 / 16
生まれ変わって…………
『防人』の始祖
しおりを挟む
祭壇らしき場所に置かれていた鉄の塊が光輝いたかと思うと、光が止んだ瞬間。
目の前に、半透明の少女が宙に浮かんでいた。
その少女の容姿は、今の私と瓜二つの姿をしており、悲しげに私の方を見つめている。
『あなたを待っておりました。
選ばれし者よ。
私の名はカグツチ・ミク。
この世界では、『防人の始祖』と呼ばれている者です』
「っ!?
カグツチ・ミク…………ですって…………!!?」
思わず、驚きのあまり目を見開く私。
カグツチ・ミク。
それは学園の教科書にも乗る超有名人の名だ。
数百年前、突如として、侵略して来た侵略者《エーテル》を単独で撃退し、その生涯を掛けてこの星を守り抜いた『歴代最強』にして、『伝説の防人』と謳われる偉人だ。
まさかの人物に、固まっていると…………。
『突然、こんな事を言われると戸惑うかもしれないですが…………。
今、この世界は滅亡の危機に瀕しています』
真剣な面持ちでそんな事を語るミク様。
また、ぶっ飛んだ話が出て来ましたね…………。
「それは…………一体、どういう事でしょうか……?」
『かつて私は《エーテルの根源》とも言える首領と熾烈な戦いを繰り広げ、死闘の末、何とか勝利をもぎ取る事が出来ました』
私の問いに答えないって事は、これは記録映像…………ホログラムって奴なのね…………。
『その時、戦った首領の名は《ディスピア》--------』
ディスピアって、確か、私を罠に嵌めて、谷底へ突き落とした奴じゃ…………!?
『奴は人の姿へと完全に変身する特殊な能力を持っています。
それを見抜けるのは私の保有していたスキル《神眼》のみでした。
奴は恐らく、私の時代の時のように、味方の中に紛れて、戦線を瓦解させるために動くでしょう』
つまり、その《エーテルの首領》が味方に化けて、こちらの内部へと攻め込んで来ているのね…………。
一度、騙された身としては、何とも言えないけれど…………。
『それを見越して、私の力を宿した武器をここへ納めました。
選ばれし者よ。
どうか、私の力を受け取ってください。
そして、ディスピアから、この世界を救ってください。
どうか、お願い致します』
深々と頭を下げてくるミク様。
そこで、姿が目の前から消え去った。
「……………………」
何とも言えない静寂が辺りを包む。
私が世界を救う?
試験にも落ちて、防人になれなかった私が……?
弟達に嫉妬して、そのディスピアにしてやられて死んだ私がディスピアを倒す……?
ないないない!
絶対ありえない!!
言っちゃ悪いですけど、私はそんな大それた奴じゃないし…………!
平然と逆恨みする器の小さな男(今は女だけど)だったんですから…………!?
うん。
無理だ無理…………。
そうと決まれば、ここから脱出する方法を探して----------------
(逃しません…………)
「…………え……?」
頭の中に、また声が響いたかと思うと…………。
私は自然とその祭壇へと吸い寄せられて行き、祭壇に祀られてあった鉄の塊を手にしたのだった。
目の前に、半透明の少女が宙に浮かんでいた。
その少女の容姿は、今の私と瓜二つの姿をしており、悲しげに私の方を見つめている。
『あなたを待っておりました。
選ばれし者よ。
私の名はカグツチ・ミク。
この世界では、『防人の始祖』と呼ばれている者です』
「っ!?
カグツチ・ミク…………ですって…………!!?」
思わず、驚きのあまり目を見開く私。
カグツチ・ミク。
それは学園の教科書にも乗る超有名人の名だ。
数百年前、突如として、侵略して来た侵略者《エーテル》を単独で撃退し、その生涯を掛けてこの星を守り抜いた『歴代最強』にして、『伝説の防人』と謳われる偉人だ。
まさかの人物に、固まっていると…………。
『突然、こんな事を言われると戸惑うかもしれないですが…………。
今、この世界は滅亡の危機に瀕しています』
真剣な面持ちでそんな事を語るミク様。
また、ぶっ飛んだ話が出て来ましたね…………。
「それは…………一体、どういう事でしょうか……?」
『かつて私は《エーテルの根源》とも言える首領と熾烈な戦いを繰り広げ、死闘の末、何とか勝利をもぎ取る事が出来ました』
私の問いに答えないって事は、これは記録映像…………ホログラムって奴なのね…………。
『その時、戦った首領の名は《ディスピア》--------』
ディスピアって、確か、私を罠に嵌めて、谷底へ突き落とした奴じゃ…………!?
『奴は人の姿へと完全に変身する特殊な能力を持っています。
それを見抜けるのは私の保有していたスキル《神眼》のみでした。
奴は恐らく、私の時代の時のように、味方の中に紛れて、戦線を瓦解させるために動くでしょう』
つまり、その《エーテルの首領》が味方に化けて、こちらの内部へと攻め込んで来ているのね…………。
一度、騙された身としては、何とも言えないけれど…………。
『それを見越して、私の力を宿した武器をここへ納めました。
選ばれし者よ。
どうか、私の力を受け取ってください。
そして、ディスピアから、この世界を救ってください。
どうか、お願い致します』
深々と頭を下げてくるミク様。
そこで、姿が目の前から消え去った。
「……………………」
何とも言えない静寂が辺りを包む。
私が世界を救う?
試験にも落ちて、防人になれなかった私が……?
弟達に嫉妬して、そのディスピアにしてやられて死んだ私がディスピアを倒す……?
ないないない!
絶対ありえない!!
言っちゃ悪いですけど、私はそんな大それた奴じゃないし…………!
平然と逆恨みする器の小さな男(今は女だけど)だったんですから…………!?
うん。
無理だ無理…………。
そうと決まれば、ここから脱出する方法を探して----------------
(逃しません…………)
「…………え……?」
頭の中に、また声が響いたかと思うと…………。
私は自然とその祭壇へと吸い寄せられて行き、祭壇に祀られてあった鉄の塊を手にしたのだった。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。
112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。
愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。
実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。
アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。
「私に娼館を紹介してください」
娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

王太子に転生したけど、国王になりたくないので全力で抗ってみた
こばやん2号
ファンタジー
とある財閥の当主だった神宮寺貞光(じんぐうじさだみつ)は、急病によりこの世を去ってしまう。
気が付くと、ある国の王太子として前世の記憶を持ったまま生まれ変わってしまうのだが、前世で自由な人生に憧れを抱いていた彼は、王太子になりたくないということでいろいろと画策を開始する。
しかし、圧倒的な才能によって周囲の人からは「次期国王はこの人しかない」と思われてしまい、ますますスローライフから遠のいてしまう。
そんな彼の自由を手に入れるための戦いが今始まる……。
※この作品はアルファポリス・小説家になろう・カクヨムで同時投稿されています。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
魔拳のデイドリーマー
osho
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生した少年・ミナト。ちょっと物騒な大自然の中で、優しくて美人でエキセントリックなお母さんに育てられた彼が、我流の魔法と鍛えた肉体を武器に、常識とか色々ぶっちぎりつつもあくまで気ままに過ごしていくお話。
主人公最強系の転生ファンタジーになります。未熟者の書いた、自己満足が執筆方針の拙い文ですが、お暇な方、よろしければどうぞ見ていってください。感想などいただけると嬉しいです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる