スキル、弾丸生産? 〜メカチートな落第騎士は、最強である事をひた隠す〜

水先 冬菜

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生まれ変わって…………

『防人』の始祖

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 祭壇らしき場所に置かれていた鉄の塊が光輝いたかと思うと、光が止んだ瞬間。


 目の前に、半透明の少女が宙に浮かんでいた。

 その少女の容姿は、今の私と瓜二つの姿をしており、悲しげに私の方を見つめている。


『あなたを待っておりました。

 選ばれし者よ。

 私の名はカグツチ・ミク。

 この世界では、『防人の始祖』と呼ばれている者です』


「っ!? 

 カグツチ・ミク…………ですって…………!!?」

 思わず、驚きのあまり目を見開く私。

 カグツチ・ミク。

 それは学園の教科書にも乗る超有名人の名だ。


 数百年前、突如として、侵略して来た侵略者《エーテル》を単独で撃退し、その生涯を掛けてこの星を守り抜いた『歴代最強』にして、『伝説の防人』と謳われる偉人だ。


 まさかの人物に、固まっていると…………。


『突然、こんな事を言われると戸惑うかもしれないですが…………。

 今、この世界は滅亡の危機に瀕しています』

 真剣な面持ちでそんな事を語るミク様。

 また、ぶっ飛んだ話が出て来ましたね…………。

「それは…………一体、どういう事でしょうか……?」

『かつて私は《エーテルの根源》とも言える首領と熾烈な戦いを繰り広げ、死闘の末、何とか勝利をもぎ取る事が出来ました』


 私の問いに答えないって事は、これは記録映像…………ホログラムって奴なのね…………。


『その時、戦った首領の名は《ディスピア》--------』


 ディスピアって、確か、私を罠に嵌めて、谷底へ突き落とした奴じゃ…………!?


『奴は人の姿へと完全に変身する特殊な能力を持っています。

 それを見抜けるのは私の保有していたスキル《神眼》のみでした。


 奴は恐らく、私の時代の時のように、味方の中に紛れて、戦線を瓦解させるために動くでしょう』


 つまり、その《エーテルの首領》が味方に化けて、こちらの内部へと攻め込んで来ているのね…………。


 一度、騙された身としては、何とも言えないけれど…………。


『それを見越して、私の力を宿した武器をここへ納めました。

 選ばれし者よ。

 どうか、私の力を受け取ってください。

 そして、ディスピアから、この世界を救ってください。

 どうか、お願い致します』


 深々と頭を下げてくるミク様。

 そこで、姿が目の前から消え去った。

「……………………」


 何とも言えない静寂が辺りを包む。


 私が世界を救う?


 試験にも落ちて、防人になれなかった私が……?


 弟達に嫉妬して、そのディスピアにしてやられて死んだ私がディスピアを倒す……?


 ないないない!

 絶対ありえない!!


 言っちゃ悪いですけど、私はそんな大それた奴じゃないし…………!


 平然と逆恨みする器の小さな男(今は女だけど)だったんですから…………!?


 うん。


 無理だ無理…………。


 そうと決まれば、ここから脱出する方法を探して----------------

(逃しません…………)


「…………え……?」


 頭の中に、また声が響いたかと思うと…………。

 私は自然とその祭壇へと吸い寄せられて行き、祭壇に祀られてあった鉄の塊を手にしたのだった。
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