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プロローグ
性能テストで尋問? あれ? 完全に悪だよこれ…………
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「も、もう…………許してくれ…………!」
ボロクソ涙で顔をグシャグシャにしながら、あの老騎士が俺に懇願して来る。
「何…………?
よく聞こえないな…………。
あぁ、なるほど、まだまだ足りないってか…………?
なら、もういっちょ付き合って貰おうかな~…………?」
わざとらしく、殆ど棒読みで受け答えする俺。
のんびりとスキルで新たに出したパーツを一つ一つ丁寧に…………尚且つ、早く組み立てように心掛ける。
もう何十回になるのか忘れたが、事スキルの性能テストの相手としては、この老騎士、案外役に立つな…………。
「さて、続きをやろうか…………?」
きっと、ゲスのようにドス黒い邪悪な笑みを浮かべている俺は新たな装備を右腕に装着させて、構えた。
「ま、待ってくれ…………」
「ダ~メ♡」
「うぎゃああああああああ!!!!!??」
老騎士は絶望に染まった顔で、悲痛な雄叫びを上げた。
そこら辺で蹲って、動く事すらままならない他の騎士達も、老騎士の姿を見ていられないのか、悔しげに…………あるいは恐怖しながら、目を逸らし続けている。
「は、話す…………!
全て話すから、もうやめてくれっ!!」
「おいおい、さっきまでの威勢はどうしたよ……?
まだまだ、俺は暴れたりないんだぜ…………?」
完全な悪役だな…………これは…………。
まあ、元はと言えば、先に襲い掛かって来た上、何も話そうとしないこいつらが悪い。
最初は紳士的に尋ねたのにな…………。
こうなったのも、あんたが素直で、優しく答えなかったからだ。
だから、俺が正義で、お前が悪。
これテストに出るので、覚えて置くように…………。
「あ、悪魔め…………。
あああああああっ!!!!
う、腕がああああああっ!!!!!!」
「あ、ごめん。
手が滑った。
ついでに、やたらと癇に障ったんで----------------死んでくれる…………?」
「ま、待て…………!」
「がっ!?」
チュンと放たれた一筋の閃光が一人の騎士の頭に風穴を開けた。
そのまま、前のめりに頭を地面に打ち付けた騎士の周りに、じんわりと赤い水たまりが広がっていく。
ほんと、人を殺す事を躊躇しなくなったな…………。
人は大きな力を手にした時、その力に酔い易いなんて事も聞くが…………。
まさに、俺がその典型的な例だよな…………。
だって、こんなにスキルを使うのが楽しくてしょうがない訳だし…………。
「さてさて、次はどれにしようかな…………?
それとも、誰が良い…………?」
にこやかに老騎士の方へと問い掛ける。
最初と違って、老騎士の目には怯えしかない。
あんだけ威勢がいい奴でも、心が折れればこの程度か。
でも、まだやめないよ?
これから、たっぷりと可愛がって、あ・げ・る。
『そこまでだ!!』
「ん…………?」
何か、聞き覚えのある声だと思って、声のする方を見上げてみたら-------------
何時ぞやの、戦女神だった。
「お、おりう゛ぃえさ、ま…………」
『傷は浅い…………。
後は我に任し、しばし休むのだ…………』
「あ…………ありがとう…………ござぃ…………」
あのクソ女神が視界から消えたかと思うと、老騎士の隣へと瞬時に降り立ち、優しげに微笑み掛けた。
老騎士はその微笑みを目にして、安心し切った表情で意識を手放し、地に伏せたのだった。
一方、俺はと言うと、正直、まだ物足りなさを感じてはいた。
いたが、このクソ女神が現れてくれたおかげで、何となく察した。
こいつが、今回の元凶なのだという事を-------------
ボロクソ涙で顔をグシャグシャにしながら、あの老騎士が俺に懇願して来る。
「何…………?
よく聞こえないな…………。
あぁ、なるほど、まだまだ足りないってか…………?
なら、もういっちょ付き合って貰おうかな~…………?」
わざとらしく、殆ど棒読みで受け答えする俺。
のんびりとスキルで新たに出したパーツを一つ一つ丁寧に…………尚且つ、早く組み立てように心掛ける。
もう何十回になるのか忘れたが、事スキルの性能テストの相手としては、この老騎士、案外役に立つな…………。
「さて、続きをやろうか…………?」
きっと、ゲスのようにドス黒い邪悪な笑みを浮かべている俺は新たな装備を右腕に装着させて、構えた。
「ま、待ってくれ…………」
「ダ~メ♡」
「うぎゃああああああああ!!!!!??」
老騎士は絶望に染まった顔で、悲痛な雄叫びを上げた。
そこら辺で蹲って、動く事すらままならない他の騎士達も、老騎士の姿を見ていられないのか、悔しげに…………あるいは恐怖しながら、目を逸らし続けている。
「は、話す…………!
全て話すから、もうやめてくれっ!!」
「おいおい、さっきまでの威勢はどうしたよ……?
まだまだ、俺は暴れたりないんだぜ…………?」
完全な悪役だな…………これは…………。
まあ、元はと言えば、先に襲い掛かって来た上、何も話そうとしないこいつらが悪い。
最初は紳士的に尋ねたのにな…………。
こうなったのも、あんたが素直で、優しく答えなかったからだ。
だから、俺が正義で、お前が悪。
これテストに出るので、覚えて置くように…………。
「あ、悪魔め…………。
あああああああっ!!!!
う、腕がああああああっ!!!!!!」
「あ、ごめん。
手が滑った。
ついでに、やたらと癇に障ったんで----------------死んでくれる…………?」
「ま、待て…………!」
「がっ!?」
チュンと放たれた一筋の閃光が一人の騎士の頭に風穴を開けた。
そのまま、前のめりに頭を地面に打ち付けた騎士の周りに、じんわりと赤い水たまりが広がっていく。
ほんと、人を殺す事を躊躇しなくなったな…………。
人は大きな力を手にした時、その力に酔い易いなんて事も聞くが…………。
まさに、俺がその典型的な例だよな…………。
だって、こんなにスキルを使うのが楽しくてしょうがない訳だし…………。
「さてさて、次はどれにしようかな…………?
それとも、誰が良い…………?」
にこやかに老騎士の方へと問い掛ける。
最初と違って、老騎士の目には怯えしかない。
あんだけ威勢がいい奴でも、心が折れればこの程度か。
でも、まだやめないよ?
これから、たっぷりと可愛がって、あ・げ・る。
『そこまでだ!!』
「ん…………?」
何か、聞き覚えのある声だと思って、声のする方を見上げてみたら-------------
何時ぞやの、戦女神だった。
「お、おりう゛ぃえさ、ま…………」
『傷は浅い…………。
後は我に任し、しばし休むのだ…………』
「あ…………ありがとう…………ござぃ…………」
あのクソ女神が視界から消えたかと思うと、老騎士の隣へと瞬時に降り立ち、優しげに微笑み掛けた。
老騎士はその微笑みを目にして、安心し切った表情で意識を手放し、地に伏せたのだった。
一方、俺はと言うと、正直、まだ物足りなさを感じてはいた。
いたが、このクソ女神が現れてくれたおかげで、何となく察した。
こいつが、今回の元凶なのだという事を-------------
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