【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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闇の息吹

何だかんだで、気にしてる

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「……………………」

 格納庫の入り口付近で、身を隠しながら、俺は剣聖様と聖女様の様子を遠目から観察していた。

 側から見ると、顔を隠して、サングラスを掛けている俺は、完全に不審者なのだが-------------まぁ、仕方がない。

 許可を出しておいてなんだが…………やはり、剣聖様には、パワード・スーツのような高度な技術で作られた兵器は作れないようだ。

 遠目から見ても、あんなガラクタでは、進展する事は一向にないだろう。

「手伝ってはどうでしょうか?」

「っ!?」

 突然の事に驚くと、俺の隣で、同じように剣聖様の様子を観察している例のガキ王子がいた。

「…………お前、いつから…………?」

「さっきから、一緒におりましたよ?」

 さも当然とばかりに答えて来るガキ王子。

 油断ならん。

「それにしても、湊様は辛辣な事を言いながらも、何だかんだで、お優しいんですね」

「そんな訳あるか…………」

 俺はガキ王子を格納庫から少し離れた通路へと連れて行くと、声を潜めながら返答する。

 しかし、ガキ王子は不思議そうに、小首を傾げて、俺に問う。

「なら、どうして、エレノア様にをお話にならないんですか?」

「……………………」

 何で、それを知ってんだ。

「ミハエル様からお聞きしました」

 俺の目が点になると、ガキ王子は俺の心を察してか、素直に答えた。

 あの野郎!!?

 何、喋ってやがんだ!?

「とりあえず、忘れろ…………」

「分かっておりますよ」

 ニコリとガキ王子が了承して来る。

 それにしても、このガキ王子様は、色々と達観しているというか。

 自棄に大人びてやがんな…………。

「その代わり、私に色々とご教授頂きたい事がありまして…………」

 おまけに、結構、やり手だ。

 仕方ない。

 今、バラされる訳にもいかないし、今回はこのガキ王子に付き合ってやるか。

 まだ、数日、経っても、辛うじて歩けるだけで、まだ身体がボロボロだしな…………。

「んで、何を知りたいんだ…………?」

「それはですね」

 用意周到な事に、ガキ王子は手元にあった一冊の書物を手渡して来る。

「ん?

 これは…………」

 それを受け取るなり、俺は驚きのあまり、目を丸くした。

 その書物の表紙には、《闇勇者の悲劇》と書いてあった。

「お前…………」

 再び、ガキ王子の方へと視線を移すと、ガキ王子が意味深に微笑んでいる。

 そのガキ王子の考えを察して、思わず頬が緩む。

 こいつはこいつで、王子なりに、知りたいって訳か。

 ふふっ、面白い。

 だったら、存分に語ってやろうじゃないか。

 この聖戦のきっかけとなった。

 闇勇者の物語を-------------

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