【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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闇の息吹

ゼロ・スフィア計画

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「くそったれ…………」

 寝起きは最悪だった。

 先日、無理して、格納庫へと向かおうとして、傷口が開いた結果-------------また、病室のベットへと逆戻りしていた。

 しかも、ミハエルの奴に、バカだの、アホなのと色々と説教されて、もう嫌になる。

 だがまぁ、良い話は聞かせて貰った。

 《ゼロ・スフィア計画》

 それが今、俺とミハエルとで、行っている聖戦に対抗する計画だ。

 俺のプラモ《エグゼス》と《デルタ・アーム》の戦闘技術と性能を併せ持つ、新たな機体の開発。

 まず、その原型となるプラモを組み立て、スキルでリアルロボット化。

 後は、《デルタ・アーム》の元になった戦闘機を開発したミハエルが、その機体を改良して、より進化させるという単純な作業なのだが-------------

 これがバカにならない性能を出す事が、数日の実験の検証結果で判明した。

 何度も、試行錯誤を繰り返して、時には、機体のパーツを取り替えたり、ミハエルの意見を取り入れて、機体の形状を変えてみたり-------------

 何度も何度も失敗を重ねた結果、要約、完成に漕ぎ着けた。

 かなりの突貫作業の為、テストが必要だが、それでも、希望の芽か出て来た。

 だが、ミハエルの話によると、肝心要の動力源が不具合を起こしており、起動には至っていないとの話だ。

 《エグゼス》は先の戦闘で大破。

 もう修復は出来ない程、破壊されてしまった。

 今、俺の手元に残っているのは、量産に成功したばかりの《デルタ・アーム》のみ。

 しばらくはこれで対応するしかない。

 でも、彼が現れた場合、《デルタ・アーム》では歯が立たない。

 それどころか、一瞬で撃墜されるだろう。

 ほんと、どうしよう…………。

「失礼するわね」

 ん?

 俺がなけなしの頭で、悩みに悩んでいると、仲良し剣聖様とメイド聖女様が病室へと入って来た。

 何やら、真剣な眼差しで、俺の目をジッと見つめて来る。

「何だ…………?」

 俺は先程、ミハエルの奴に手渡された端末を切り、剣聖様達の方へと再び、視線を向けた。

 すると、意を決したように、剣聖が口を開く。

「あなたに教えて欲しい事があるの」

 彼女はそう言うと、あるものを俺に手渡して来る。

 これは…………設計図、か?

 それを受け取るなり、俺は広げると、そこには、とある兵器らしき物の図が描かれていた。

 この絵は、そう…………まるで、聖女にやった、あの《パワード・スーツ》に似ているような-------------って、まさか…………。

「私、あの兵器を自分で作ってみようと思っているの」

「無理だな…………」

 俺は彼女の答えを即座に切り捨てた。

 つか、何だよこれ?

 ほとんど、欠点だらけだぞ?

 これじゃあ、まともに動く訳ねぇよ。

「つか、これは何の真似だ…………?

 返答次第では、容赦----------------」

「お待ちください」

 俺の言葉を遮り、聖女が横から入って来た。

 今度は聖女の方へと視線を向ける。

 聖女は優しく微笑むと、語り出した。

 剣聖様の覚悟と決意を-------------
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