【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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脅威

閑話 苛立ち

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「…………ない…………。

 遺跡がない!!」

 ハート皇国内にある湖。

 シエラ湖。

 数ヶ月前に、ミハエルと戦艦が眠っていた遺跡の直上に、彼はいた。

 目的である遺跡を我が身に取り込もうと、水中へと飛び込み、潜水して行き-------------遺跡が跡形もなく破壊されているのを確認した。

 その光景を目の当たりにして、怒りのあまり水中から飛び出し、周囲を破壊し始める。

 周囲に飛び散る光は森を吹き飛ばし、そこに住む生物すら焼き尽くして行く。

「何故だ!?

 何故、遺跡がないのだ!?」

 それは、遺跡の危険性を十二分に知る湊が、ミハエルに指示し、爆破させたのだが-------------

 彼がそれを知る術はない。

「ならば、次だ!?

 次の遺跡を取り込んでくれる!?」

 大地が抉れ、湖が消滅する程、破壊の限りを尽くした彼は手を止め、声を荒げながらも、冷静に、次の行動を選択し、空を駆け抜けて行った。

 そして、また遺跡が破壊されている事に気付いて、再び大地を削り、暴れ始めた。

 そこで、漸く彼も気付いた。

 何者かは知らないが、遺跡の事を知り、破壊しているものがいる。

 だとすれば、その者は今、何をしているのだ?

 答えは一つ-------------

 遺跡の破壊を目論んでいる。

 だったら、今、そいつは残りの遺跡へと向かっている筈。

 邪魔はさせない。


「邪魔をされてなるものかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


 彼は世界全体に轟く程の狂気じみた咆哮を上げ、残りの遺跡に向けて飛び立った。

 決戦の時は、もうすぐ側まで近寄っていた。


 

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