【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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脅威

閑話 再会

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~剣聖サイド~


「ぐわああああああああああ!!!!!!」

「ちっ…………」

 剣聖である私、エミリア・ハートは彼が聖女ルリと共に姿を消してから数日-------------

 聖戦の情報を得る為、一度、祖国に帰国しようとしている最中に襲われた。

 相手は、あの聖戦の悪魔。

 人の姿をしたゴーレムだ。

 空の悪魔同様に、見た事もない武装で、私達を圧倒し、数十人以上いた手練れの騎士達の半数を既に屠っていた。

 その用した時間は、役五分-------------

 もう笑えるくらいの戦闘能力だ。

 まず間違いなく、ここにいる全員-------------殺される。

 この常識外れの化け物の手によって、情け容赦なく、徹底的に、だ。

 私も何度か、奴と剣を交え、既に戦える状態じゃない。

 剣は砕け散り、何本か、肋骨を持って行かれた。

 その負傷による激痛によって、辛うじて意識を繋いでいるが、もう指一本すら動かせない。

 そんな私を守ろうと、騎士達が奴に立ち向かって行く。

 私を守ろうと次々と命を散らして行く騎士達。

 そんな彼らの姿を見る事しか出来ない自分。

 なんと、惨めな事か。

 もっと、私に力があれば、こんな無様な姿を晒す事もなかった。

 もっと、力があれば、騎士達も、ムザムザと命を散らす事もなかった。

 もっと、力があれば、皆を救えた筈だ。

 そうだよね?

 ルリ。

 私は散りゆく騎士達の姿を目の当たりにしながら、静かにソッと目を閉じた。

 結局、私は何も出来なかった。

 大切な親友を殺しておいて、もう一度、会いたかった。

 なんて、思う自分が酷く憎たらしい。

 きっと、これは親友を殺した私に対する罰なのだ。

 だから、こうして、今、私はこの異形の化け物によって、命を狩られようとしている。

 最後に残っていた騎士が、奴に屠られる。

 そして、まだ息のある私に気付いた奴は、徐々に私との距離を詰め、その剣を振り被る。

「ごめんね…………」

 その言葉を最後に、私の意識は-------------









 途切れなかった。




「間に合った」

 ゆっくりと目を見開くと、私の目の前に鋼の鎧を纏った私と同じくらいの歳の少女が、奴の攻撃を受け止め、弾き返していた。

「全く、あなたったら、いつも怪我ばかりしているのね」

「…………あっ…………」

 その少女が、ゆっくりと私は優しげな光に包まれ、傷が癒えていた。

 この光を、私は知っている。

 生死を分ける戦場で、幾度となく、私達を癒してくれたこの暖かな光を-------------そして、その光をもたらしてくれた、その少女の事を私はよく知っている。

「遅くなってごめんなさい。

 さぁ、反撃と行きましょう?」

 そう言って、その少女-------------私の親友、聖女ルリがにっこりと微笑んだ。

「分かっているわよ!」

「ふふっ、流石は剣聖ですね。

 あなたの獲物はこちらにですよ」

 私は頬を伝う涙を拭き、その手を取り、彼女の隣に立つなり、彼女は鋼の鎧から剣の柄のようなものを引き抜き、私に手渡して来た。

「!?

 これは----------------」

 その柄状の物体を私はよく知っている。

 それは、彼が使っていたあの光の刀身を生み出す魔道具だ。

「それに魔力を流せば、刀身が顕現します」

 再び、攻撃を仕掛けて来た奴の攻撃を鋼の鎧で防ぎながら、ルリが説明をして来る。

 言われた通りに、それを受け取り、魔力を流すと彼が使っていたように、柄の先端から光の刀身が出現する。

 これなら、奴に傷をつける事も-------------

「やあああああああ!!!!!」

 刀身を顕現させると同時に、奴に斬り掛かり、その腕を斬り裂いた。

 やれる。

 まだ、私は奴と戦える!?

 光の剣を構え、私の後方に追随するようにして、ルリが待機する。

 さぁ、ここから反撃返しだ!!!
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