【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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脅威

魔王軍との遭遇

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「…………なぁ、剣聖様や…………何で、魔王軍なんてもんが、こんな所にいるんですかね…………?」

 俺は胡乱な目で、近くにいた剣聖へと視線を向けた。

「……………………」

 どう受け取ったのかは知らんが、剣聖様は暗い顔で俯き、何も答えなかった。

 その代わりに、ヘレスディアとかいう魔族が答えてくれた。

「何故、魔族がいるのかって…………?

 それはね。

 今、人類と魔族は、聖戦を止める為に協力しているからよ」

 魔族と人類が協力?

 んな、馬鹿な事を信じろと…………?

「信じられんな…………」

「まぁ、信じられないのも仕方がないわね。

 私達、魔族と人類は遥か大昔から、戦って来た訳だし。

 例え、異世界から召喚されたあなたであっても、それは例外ではない」

 ふ~ん…………例外ではないですか。

 どうやら、少なからず、こちらの情報を入手しているっぽいな。

 中々、隙の無さそうな魔族だ。

「んで、そんな魔族様が俺に、何か御用ですかね?

 俺は俺で、やる事が多過ぎなんで、さっさとそこの聖女を回収して帰りたいんですが…………」

「う~ん…………それは、ちょっと困るかな?」

《スキルリンク:プレイヤーワン》

 ヘレスディアの姿が矢鱈と色っぽく見えて来たので、プラモ状態になり、その顔の目の前で実体剣を止める。

『魅了しようとしても無駄だ…………。

 そういった類は、俺には効かないんでな…………』

「…………どうやら、そのようね…………」

 ヘレスディアが降参したように、両の手を挙げて、冷や汗を流した。

 相手に戦意がないのを確認した後、ゆっくりと実体剣を収めて、元の姿に戻る。

「じゃあ、そういう事で…………。

 行くぞ、聖女様」

「かしこまりました」

「ちょっと、待ってくださらないかしら…………」

 聖女が俺の側に来たのを確認して、転移装置を発動させようとした時、両の手を挙げたまま、ヘレスディアが声を掛けて来る。

「もう少し、お話をさせて貰えないかしら…………?」

「……………………」

 胡散臭!?

 とヘレスディアを一瞥し、何を言わず、俺は無言で転移装置のボタンを押そうとする。

 まぁ、聖女が若干、戸惑いながらも、俺の側へと寄って来る。

「待ちなさいと言っているでしょう!?」

「知らん。

 魔族と話すだけでも、時間の無駄だ」

 そう言い残して、俺は右腕の転移装置のボタンを押す-------------筈だった。

「待って…………」

 剣聖が俺の腕を掴んで、引き止める。

「…………何のつもりだ…………?」

 俺は剣聖に殺気を放ちながら、睨み付けた。

 剣聖は一瞬、身体を震わせ、怯んでいたが-------------

 すぐに立て直し、大きく息を吸って、意を決して、言葉を紡ぐ。

「あなたが私達を信用出来ないのは分かる。

 でも、私達もそれほど、猶予は残されてはいないの。

 どんな些細な事でも良い。

 あなたの知り得ている《聖戦》の情報を教えて貰えないかしら?」

 真剣な口調で、真っ直ぐ語る剣聖。

 だがな、俺の答えは決まっている。

「やなこった…………」

 はっきりと拒絶の言葉を述べ、剣聖の手を振り解き、今度こそ、俺は要塞へ転移した。



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