【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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聖剣の秘密

ほとんどない感じ

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「それじゃあ、本当に何も覚えていないんだな…………?」

「…………はい…………」

 俺の向かいのテーブルの席で、悲しげに俯く聖女。

 あのポンコツ駄メイドこと、アルダートをお仕置きした後、念の為、聖女がどこまで記憶を失っているのか、尋ねてみたのだ。

 もちろん、嘘を吐いている可能性は否めないが、聖女様の反応からして、それは無いであろうと確信した。

 そのきっかけとなったのは、ほんの数分前の出来事-------------

 とりあえず、ポットから出たばかりで、腹が減っているであろうと、色々と尋ねながら、食事を取っていた時の事。

 一向に、目の前に出された料理に手をつけようとしない聖女を不審に思い、それとなく聞いてみると、彼女は恐る恐る、ありえない事を口にした。

「あの…………これは、どうやって、使うものなんですか?」

 その時、彼女が指差したのは、テーブルの上に配置されたスプーンやフォークなどの道具だった。

 どうやら、彼女はスプーンやフォークをどのように使うか、分からず、俺の食べる様子を観察していたらしい。

 何言ってるんだ、こいつ?

 そう呆れた目線を向けたのだが、思いの外、彼女は出鱈目な使い方をし出して、慌てて止める羽目になった。

 そして、それの使い方を教えて行く内に、感心したように食い入る聖女を見て思った。

 あぁ、これマジだ。

 話を聞き終えて、分かった事だが-------------

 聖女様は、自分が聖女だった事はおろか、道具の使い方も、服の着方すらも忘れているようだ。

 どんだけ忘れてるんだよ、と思ったが、システムが不調だったとはいえ、あんな悲惨な死に方をすれば、それもあり得る気がして来た。

 俺の脳裏に、あの日、身体中から血を流して、死んでいた聖女の姿が鮮明に思い返される。

 人を生贄にするくらいなんだから、そんな事もあるだろうと、俺は諦め、シスターズの一人を聖女のお世話係として付けた。

 シスターズと共に、食堂を退出する聖女。

 その直後、要塞に鳴り響く緊急アラート。

 今度は何だ? と思っていると、あの憎たらしい駄メイドが俺に通信を繋いで来た。

『大変です、主!!!』

 絶対、面倒事だと思い、ため息を吐きながら、諦めて目の前のモニターへと視線を向けた。

『聖女様の反応が、要塞内から消失しました!!!』

「……………………」

 なっ…………?

 やっぱり、こうなるだろ?
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