【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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聖剣の秘密

女神を排除?

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「ほんと、しつこい奴だったな…………」

 俺はクソ女神-------------オリヴィエとか言ったか? を排除して、地上に降りる。

 幸い、あのクソ幼女が、飛行魔法を付与した特殊な魔導具を持っていたので、それを拝借して、要塞を出たのだが-------------

「…………思ったよりも、魔力を食うな…………」

 地上に到着するなり、謎の脱力感に襲われた。

 あまり意識していなかったが、ステータス画面のMPゲージが一気に赤くなっている。

 今まで、減った事など一度も無かったので、かなりの魔力量を俺は有していると思い込んでいたが、考えを改める必要があるな…………。

 念の為、アルダートから貰っておいたMPポーションを飲んで、脱力感が無くなってから歩き出す。

 確か、落ちたのは、ここら辺だったか?

「っ!? 何者だっ!!?」

 おっ、ラッキー…………騎士っぽい奴がいるな…………。

 なら、その騎士の近くで運ばれている、その黒いのが-------------

「そいつを置いて行けば見逃すぞ…………?」

 俺は挑発的な笑みを浮かべて、騎士達に問い掛ける。

「誰がっ!!!」

 黒いのの近くにいた騎士の一人が剣を引き抜き、向かって来る。

「…………忠告は聞くもんだろ…………?」

 俺は剣を余裕でかわしつつ、その騎士の横を通り過ぎるなり、右腕に装着した《シグマ・ブレード》で、脳天から叩き斬る。

 左右に斬り裂かれた騎士の身体が地面に崩れ落ち、横たわる。

 それだけで、俺のレベルを悟った騎士達が恐怖に顔を歪め、女神を守るようにして、剣を構える。

 何で、そんな奴を庇おうとするのかね?

 と思ったが、そういえば、この女神には、何もされてはいない。

 しいてあげるなら、あのオリヴィエとかいうクソ女神を殺すのを邪魔したくらいだ。

 確か、名前は……………………やべ、思い出せん。

「……………ん………?」

「やあああっ!!!」

 考え事をしていると、何やらやんわりとした衝撃が左脚の辺りを走る。

 視線を落とすと、そこの黒焦げの女神ぐらいの容姿-------------大体、七歳くらいか?

 そんなくらいの涙目の少年が、そこら辺の木の棒片手に、俺に立ち向かっていた。

「やあっ!!

 やああっ!!!」

 何だ、このガキは?

 生まれたての小鹿みたいに、震えまくっているくせして、勇猛果敢に立ち向かって来やがって----------------

 殺すぞ-------------

 俺は射殺さんばかりの殺気を、その少年一人に向ける。

 だが、少年は怯むどころか、殺気に押し潰れそうになりながらも、何とか、意識を保ち、木の棒を杖代わりにして立ち上がって来る。

「……………………」

 恐怖に打ち震えながらも、その瞳には、『絶対に諦めない!』という強い意志のようなものが宿っているように感じた俺は、いつの間にか、自分の拳が小刻みに震えている事に気付いた。

 俺が震えている?

 こんな、ちっぽけなガキに俺が怯えているってのか?

 いや、そんな感じはしない。

 なら、俺はどうしちまったんだ?

 感じた事のない感覚に、戸惑いを覚えていると、一歩一歩、勇気を持って、足を進め、木の棒を振り上げる少年。

「ぼ…………ぼ、ぼく…………が…………。

 べ、ベルミナ様を…………救うんだ!!!!」

 そう叫び、木の棒を俺の腹部へと命中させた少年は、そのまま倒れるようにして、ポスンと俺の腕の中へと収まる。

「……………………」

 俺は腕の中で、気を失う少年の姿をしばし、無言のまま、見つめていると-------------少年の指の隙間から、赤い滴が滴り落ちる。

 気になって、ゆっくりと手を開かせると、掌は真っ赤に染まり、掴んでいた木の棒にも、べっとりと染み込んでいた。

 こんなになるまで、握っていたなんて…………。

 思わず、その光景に目を見開いたが、すぐに、その頬を柔らかくする俺。

 あぁ、何となくだけど、分かったわ。

 どうして、俺がこんなにも、震えているのか。

 そうか、そういう事か。

「ふっ…………」

 笑いが止まらないとはこの事か!!!

 いや、実に愉快だわ!!!

 本当に愉快過ぎるわ!!!

 しばらく、狂ったように笑い続けた俺は、少年を抱え上げ、腰を抜かしている雑魚騎士達の所へと歩を進めた。

 そして、俺の殺気を感じて、まだ、意識を保っている数名に向けて言い放つ。

「お前ら、何処の国の連中だ…………?」
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