111 / 163
聖剣の秘密
女神を排除?
しおりを挟む
「ほんと、しつこい奴だったな…………」
俺はクソ女神-------------オリヴィエとか言ったか? を排除して、地上に降りる。
幸い、あのクソ幼女が、飛行魔法を付与した特殊な魔導具を持っていたので、それを拝借して、要塞を出たのだが-------------
「…………思ったよりも、魔力を食うな…………」
地上に到着するなり、謎の脱力感に襲われた。
あまり意識していなかったが、ステータス画面のMPゲージが一気に赤くなっている。
今まで、減った事など一度も無かったので、かなりの魔力量を俺は有していると思い込んでいたが、考えを改める必要があるな…………。
念の為、アルダートから貰っておいたMPポーションを飲んで、脱力感が無くなってから歩き出す。
確か、落ちたのは、ここら辺だったか?
「っ!? 何者だっ!!?」
おっ、ラッキー…………騎士っぽい奴がいるな…………。
なら、その騎士の近くで運ばれている、その黒いのが-------------
「そいつを置いて行けば見逃すぞ…………?」
俺は挑発的な笑みを浮かべて、騎士達に問い掛ける。
「誰がっ!!!」
黒いのの近くにいた騎士の一人が剣を引き抜き、向かって来る。
「…………忠告は聞くもんだろ…………?」
俺は剣を余裕で躱しつつ、その騎士の横を通り過ぎるなり、右腕に装着した《シグマ・ブレード》で、脳天から叩き斬る。
左右に斬り裂かれた騎士の身体が地面に崩れ落ち、横たわる。
それだけで、俺のレベルを悟った騎士達が恐怖に顔を歪め、女神を守るようにして、剣を構える。
何で、そんな奴を庇おうとするのかね?
と思ったが、そういえば、この女神には、何もされてはいない。
しいてあげるなら、あのオリヴィエとかいうクソ女神を殺すのを邪魔したくらいだ。
確か、名前は……………………やべ、思い出せん。
「……………ん………?」
「やあああっ!!!」
考え事をしていると、何やらやんわりとした衝撃が左脚の辺りを走る。
視線を落とすと、そこの黒焦げの女神ぐらいの容姿-------------大体、七歳くらいか?
そんなくらいの涙目の少年が、そこら辺の木の棒片手に、俺に立ち向かっていた。
「やあっ!!
やああっ!!!」
何だ、このガキは?
生まれたての小鹿みたいに、震えまくっているくせして、勇猛果敢に立ち向かって来やがって----------------
殺すぞ-------------
俺は射殺さんばかりの殺気を、その少年一人に向ける。
だが、少年は怯むどころか、殺気に押し潰れそうになりながらも、何とか、意識を保ち、木の棒を杖代わりにして立ち上がって来る。
「……………………」
恐怖に打ち震えながらも、その瞳には、『絶対に諦めない!』という強い意志のようなものが宿っているように感じた俺は、いつの間にか、自分の拳が小刻みに震えている事に気付いた。
俺が震えている?
こんな、ちっぽけなガキに俺が怯えているってのか?
いや、そんな感じはしない。
なら、俺はどうしちまったんだ?
感じた事のない感覚に、戸惑いを覚えていると、一歩一歩、勇気を持って、足を進め、木の棒を振り上げる少年。
「ぼ…………ぼ、ぼく…………が…………。
べ、ベルミナ様を…………救うんだ!!!!」
そう叫び、木の棒を俺の腹部へと命中させた少年は、そのまま倒れるようにして、ポスンと俺の腕の中へと収まる。
「……………………」
俺は腕の中で、気を失う少年の姿をしばし、無言のまま、見つめていると-------------少年の指の隙間から、赤い滴が滴り落ちる。
気になって、ゆっくりと手を開かせると、掌は真っ赤に染まり、掴んでいた木の棒にも、べっとりと染み込んでいた。
こんなになるまで、握っていたなんて…………。
思わず、その光景に目を見開いたが、すぐに、その頬を柔らかくする俺。
あぁ、何となくだけど、分かったわ。
どうして、俺がこんなにも、震えているのか。
そうか、そういう事か。
「ふっ…………」
笑いが止まらないとはこの事か!!!
いや、実に愉快だわ!!!
本当に愉快過ぎるわ!!!
しばらく、狂ったように笑い続けた俺は、少年を抱え上げ、腰を抜かしている雑魚騎士達の所へと歩を進めた。
そして、俺の殺気を感じて、まだ、意識を保っている数名に向けて言い放つ。
「お前ら、何処の国の連中だ…………?」
俺はクソ女神-------------オリヴィエとか言ったか? を排除して、地上に降りる。
幸い、あのクソ幼女が、飛行魔法を付与した特殊な魔導具を持っていたので、それを拝借して、要塞を出たのだが-------------
「…………思ったよりも、魔力を食うな…………」
地上に到着するなり、謎の脱力感に襲われた。
あまり意識していなかったが、ステータス画面のMPゲージが一気に赤くなっている。
今まで、減った事など一度も無かったので、かなりの魔力量を俺は有していると思い込んでいたが、考えを改める必要があるな…………。
念の為、アルダートから貰っておいたMPポーションを飲んで、脱力感が無くなってから歩き出す。
確か、落ちたのは、ここら辺だったか?
「っ!? 何者だっ!!?」
おっ、ラッキー…………騎士っぽい奴がいるな…………。
なら、その騎士の近くで運ばれている、その黒いのが-------------
「そいつを置いて行けば見逃すぞ…………?」
俺は挑発的な笑みを浮かべて、騎士達に問い掛ける。
「誰がっ!!!」
黒いのの近くにいた騎士の一人が剣を引き抜き、向かって来る。
「…………忠告は聞くもんだろ…………?」
俺は剣を余裕で躱しつつ、その騎士の横を通り過ぎるなり、右腕に装着した《シグマ・ブレード》で、脳天から叩き斬る。
左右に斬り裂かれた騎士の身体が地面に崩れ落ち、横たわる。
それだけで、俺のレベルを悟った騎士達が恐怖に顔を歪め、女神を守るようにして、剣を構える。
何で、そんな奴を庇おうとするのかね?
と思ったが、そういえば、この女神には、何もされてはいない。
しいてあげるなら、あのオリヴィエとかいうクソ女神を殺すのを邪魔したくらいだ。
確か、名前は……………………やべ、思い出せん。
「……………ん………?」
「やあああっ!!!」
考え事をしていると、何やらやんわりとした衝撃が左脚の辺りを走る。
視線を落とすと、そこの黒焦げの女神ぐらいの容姿-------------大体、七歳くらいか?
そんなくらいの涙目の少年が、そこら辺の木の棒片手に、俺に立ち向かっていた。
「やあっ!!
やああっ!!!」
何だ、このガキは?
生まれたての小鹿みたいに、震えまくっているくせして、勇猛果敢に立ち向かって来やがって----------------
殺すぞ-------------
俺は射殺さんばかりの殺気を、その少年一人に向ける。
だが、少年は怯むどころか、殺気に押し潰れそうになりながらも、何とか、意識を保ち、木の棒を杖代わりにして立ち上がって来る。
「……………………」
恐怖に打ち震えながらも、その瞳には、『絶対に諦めない!』という強い意志のようなものが宿っているように感じた俺は、いつの間にか、自分の拳が小刻みに震えている事に気付いた。
俺が震えている?
こんな、ちっぽけなガキに俺が怯えているってのか?
いや、そんな感じはしない。
なら、俺はどうしちまったんだ?
感じた事のない感覚に、戸惑いを覚えていると、一歩一歩、勇気を持って、足を進め、木の棒を振り上げる少年。
「ぼ…………ぼ、ぼく…………が…………。
べ、ベルミナ様を…………救うんだ!!!!」
そう叫び、木の棒を俺の腹部へと命中させた少年は、そのまま倒れるようにして、ポスンと俺の腕の中へと収まる。
「……………………」
俺は腕の中で、気を失う少年の姿をしばし、無言のまま、見つめていると-------------少年の指の隙間から、赤い滴が滴り落ちる。
気になって、ゆっくりと手を開かせると、掌は真っ赤に染まり、掴んでいた木の棒にも、べっとりと染み込んでいた。
こんなになるまで、握っていたなんて…………。
思わず、その光景に目を見開いたが、すぐに、その頬を柔らかくする俺。
あぁ、何となくだけど、分かったわ。
どうして、俺がこんなにも、震えているのか。
そうか、そういう事か。
「ふっ…………」
笑いが止まらないとはこの事か!!!
いや、実に愉快だわ!!!
本当に愉快過ぎるわ!!!
しばらく、狂ったように笑い続けた俺は、少年を抱え上げ、腰を抜かしている雑魚騎士達の所へと歩を進めた。
そして、俺の殺気を感じて、まだ、意識を保っている数名に向けて言い放つ。
「お前ら、何処の国の連中だ…………?」
0
お気に入りに追加
872
あなたにおすすめの小説

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる