【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった？〜

聖剣の秘密

閑話 時既に遅し

～ミズーリ王国、城門前～

「全軍隊列を組め！！」

　湊がシエラ遺跡で、聖戦に関する話をミハエルに聞き終えた頃-------------

　世界は急速に変化し始めていた。

　多くの騎士達が城門の前へと立ち塞がり、突然、襲って来た敵へと剣を向ける。

『コロス…………コロス…………』

　黒く淀んだそいつは、泥のような身体で、ドロドロに溶けて徘徊し、立ち向かう騎士達を容赦の欠片もなく、蹂躙する。

　一歩一歩、前に進みながら、自らの身体から出る泥に騎士達の死体を喰らい続け、その城門を吹き飛ばす。

　何が起きたのか、理解出来ず、呆けていたものから、頭や腹を貫かれて行く。

「こ、こんなのに…………勝てる訳が…………」

　この場を指揮していた騎士団長の一人が、首を跳ねられる。

　城門前にいた騎士の全てを屠り、悠々と王城へと侵入したそいつが入ると、瞬く間に、城の中は悲鳴と狂気に塗り潰されて行く。

　数分で悲鳴は止み、城から出たそいつは、その身体に全身を塗り潰すような大量の血を浴び、喜んでいた。

　口角は三日月に歪み、周りを見渡し、何処に人がいるのかを探って行く。

『ツギハ…………コッチダ…………』

　そいつが叫び声を上げると、背中から機械状の翼が突き出した。

　そして、浮かび上がると、顔を向けたその方角へと飛び去って行く。

　新たな血と悲鳴をその身に存分と浴びたいが為に-------------