【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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水の遺跡

あの馬鹿

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 おいおい、ふざけんなやっ!?

 光が止み、視界がクリアになると、湖にポッカリと穴が空き、水の底が地上へと露出していた。

 何とか、飛行形態に変形して、ギリギリでかわせたが、一歩間違えれば、俺もお陀仏だった。

『この駄メイド!!

 俺を殺す気か!?』

『申し訳ありません。

 つい出来心で-------------』

 反省の欠片ない端的な返答が耳に届く。

『つか、通信出来たんかい!?』

『はい。

 うっかり忘れておりましたが、要塞の通信機能が復旧致しましたので、今後は要塞からわたくし共が順次バックアップ致します』

『……………………』

 言いたい事は色々とあるが、今はそれどころじゃない。

『とりあえず、敵の数を教えろ』

『了解致しました。

 先程の攻撃で、敵の大多数を撃破致しましたので、残りはそれ程いませんが、右に三十、後方に二十四といった所ですね』

 いやいや、それでも、結構いるよね?

 でもまあ、せっかく水中から出られたんだ。

 この穴が周りの水に塞がれる前に、片を付けてやる!!!

 俺は旋回して、敵の方へと進路を向け、ビームバルカンで攻撃する。

 水中じゃない以上、ビームの威力は元に戻っている。

 だったら、使わない手はない。

 数機をビームバルカンの餌食にして、人型へと戻り、残った敵をデルタシールドとビームソードで薙ぎ払う。

 うん。

 大分、やり易くなった。

 なら、次は-------------

 右右下下上、そして○っと…………!!

 湊は調子に乗り出した。

 だから、気が付かなかった。

 あの重装甲型の背後を通り過ぎる半透明なものの姿を-------------

『次はどっちだ…………?』

『左前方に三機です』

『了解…………』

 ヤッベ、ビーム系が使えるようになったら、めっちゃやり易くなったわ。

 楽勝過ぎて、欠伸が出る。

 ほら、こんなに簡単に重装甲な奴らの身体を叩き斬って-------------

『は…………?』

 重装甲型の残り、最後の一機を叩き斬ろうとした時だった。

 俺の右腕が何故か、ビームソードを持ったまま、宙を舞っていた。

『左です!!』

 珍しく慌てた様子のアルダートの声が通信から届けられる。

 左?!

 咄嗟に左腕のデルタシールドで、その斬撃を受け止めた。

『っ!? こいつは…………!?』

 デルタシールドと何者かの斬撃により、火花が散ると、一瞬だけその姿が目に入る。

 まるで、絵本に出て来る海賊船の船長のようなシルエットで、右手にハルバート、左腕自体が銃器になっているようだ。

 しかも、このロボットの姿が見えない。

『透明化か…………』

 俺はデルタシールドを強く押して、後方へと飛んだ。

 そんで、後ろに飛ぶ瞬間、残りのビームソードを重装甲型に投げ付け、撃破する。

 どうやら、タイムリミットのようで、周りから大量の水が津波のように押し寄せ、湖に空いた穴を塞ぐ。

 再び、水中に戻ると、さっきの海賊の姿を見失う。

 まあ、そもそも、シルエットが見えただけで、姿そのものを見た訳ではない。

 俺のセンサーの感度を最大にしても、動体センサー、熱源センサー共に反応がない。

 透明化もあり、ステルス機能もあるのか。

 こんなに厄介な奴がいるとは-------------

 そういや、何で、あの駄メイドの奴、さっきの奴の攻撃が分かったんだ?
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