【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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自己進化プログラム

閑話 ゴーレムのヒーロー

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 ミズーリ王国に属する辺境の領地スイーナ-------------

 自然豊かな大地と今も活発に脈動する活火山が多く見られるこの地にて、悪魔は降り立った。

 今も多くの活火山が活動しているが故、ダイヤモンドなどの鉱物資源がよく取れる上、流通し易い。

 それを狙い空の悪魔は降り立った。

 人々を根絶やしに、町に残った貴金属や鉱物を吸収し、機体の一部にしながら、身体の傷を修復していく空の悪魔。

 吸収していくに連れ、その身体の大きさは肥大化していき-------------

 今では、全長三十メートルを超える巨体になっていた。

 再び、空へと飛び立ち、次の町を探し出して襲い始める。

 既に空の悪魔の話は領主の耳にも届いていた為、多くの町には冒険者や騎士達の防衛線が築かれてはいるが…………。

 魔法も剣も通用しない空の悪魔には無駄な行為だった。

 降り立った悪魔の圧倒的な力によって、防衛線は一瞬で瓦解し、町へと見せつけるかのように歩みを進める。

 そして、町へと足を踏み込めると、腰に装備されたミサイルコンテナからミサイルを射出。

 町を赤く染める。


「もう無理だ…………」


 圧倒的な戦闘能力を前に、絶望に顔を染め、死を待つしかない住民達。

 悪魔の右腕のガトリング方が火を吹き、更に町を破壊していく。

 町はさながら地獄絵図。

 人の形をした多くの黒い物体や身体の一部が散乱し、親と逸れた子供が親を呼び泣きじゃくる。

 もうこの町にも、救いはなかった。

 悪魔が泣きながら立ち尽くす子供に向けて、ガトリング砲の照準を定めようとした、その時-------------

 ガトリング砲が吹き飛び、悪魔の巨体が体勢を崩した。

 何が起こったのか、理解が追い付かず立ち尽くす人々。

 そんな折、天から一筋の希望が舞い降りた。

 風邪を切り、鳥のように空を駆け抜ける物体が悪魔を攻撃し始めたのだ。

 凄まじい爆音が悪魔の肉体を傷付け始める。

 空を駆け抜ける物体が、何かを落とす。

 落とされた、その何かは遠目から見ても、人の形をしており、その右腕から伸びた背丈を超える大型の剣で悪魔の右腕を斬り落とした。

 それが悪魔の拳を避けて飛び立つと、町を焼き尽くす火の光が、その姿を鮮明に露わにさせる。

 それはまるで、ゴーレムのような人型の形を人形のようにも見えた。

 腕から生えた大きな剣を構え、悪魔に立ち向かっていく。

 それを助けるかのように、空を駆け抜ける物体が悪魔を弱らせていく。


「頑張れええええっ!!!」

「空の悪魔なんかぶっ飛ばしちまえっ!!!!」

「いけるぞっ!!!!」


 次第に住民達も、そのゴーレムを応援するかのように声を上げて行った。

 度重なる攻撃に足をよろめかした悪魔は最後の悪あがきとばかりに、ミサイルを町へと放つが…………。

 全てゴーレム達の連携により、撃ち落とされ-------------立ち上がろうとした所をゴーレムの剣により、斬り伏せられた。

 悪魔の身体が傾き、大地に倒れて動かなくなる。

 悪魔が倒された事を次第に認識していった住民達は歓喜し、大地を揺るがす程の声援が町を包んだ。

 ゴーレム達はそれを見届けると、何も言わず、空へと飛び立って行く。

 後にゴーレム英雄伝説とした語られる事の事件はすぐ様各国の耳にも届き、その正体を探ろうと諜報機関がより熱を入れ始める。

 そんな事とは露知らず、移動要塞に帰還した湊は疲れ切ったその顔で、こう呟いていた。


「やっと、一息付けるな…………」と-------------
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