【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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聖戦の始まり

聖戦の記録

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『こちらが聖戦に関する記録が記された碑文になります』

 そう言って土偶に案内された俺は、数十メートルもある巨大な石碑の前に立った。

 と言っても、この玉座の間…………だっけか?

 その室内-------------

 しかも、目と鼻の先と言わんばかりの近さ-------------本の二メートルくらいの所の壁にあったんだが…………。

 つか、この碑文、で書かれてあるぞ?

 もしかして、これはあれか?

 転生やら転移やらとかで、この世界に来た連中が自重しなかったパターンなのか?

「うわぁ~…………」

 マジ引いた。

 当たっていやがる。

 簡単に、この碑文の内容をまとめるとこうだ。


◎異世界に転生!?

 ヤッホーいっ!!!

 自重せずに色々はっちゃけるぞ!!


◎ヤベっ!!?

 うっかり作り過ぎて暴走しちゃった…………。

 誰か助けてえええええええ!!!!!!


◎もう私はお終いだ…………。

 後の事はこの世界の連中-------------特に勇者達に任せよう!!

 さらばだ!!!

 皆が救われる事を願っているよ!!!?



「……………………」


 何これ…………?

 やたら、堅苦しく書かれてあるが…………。

 要するに、責任も負わずに逃げ出した訳なのね?

 んで、困ったこの世界の連中は【勇者】なりに頼って、今に至る…………と-------------


「ふ…………ふざけんなああああああっ!!!!!

 聖戦の原因は俺らの世界の連中の所為かよっ!!!!

 転移者か、転生者か知らんが、最後まで自分の作ったものには責任を持ちやがれええええええ!!!!!」

『主よ。

 落ち着いてください』

「これが落ち着いていられるか!!!

 要するに、この碑文を書いた奴が俺にとんでもねぇ迷惑を被っていやがるんだよ!!!

 会えるもんなら、殴りたくて仕方ねぇんだよ!!!!!!」

 おかげで俺は指名手配な上、鬱陶しい連中に付き纏われて、素性を隠しながら生活しなくちゃならんのだ!!!

『でしたら、お会いする事は可能かもしれないですよ?』

「何っ!?」

 それマジかっ!!!!??

『ここを読んでみてください』

 土偶が小さな腕で、碑文の最後の文面を指していた。

 おい、そこはもう読んで--------------ん?

 何か、まだ、小さく何か書かれてるな…………。

 何々…………?

「一応、私の記憶媒体を他の遺跡に設置しておくので、困った事があったら、そちらの私に尋ねるといいでしょう…………」

 おいおい、他にも遺跡なんてあんのかよ。

『ちなみに、ここを含めて、東西南北に4つ程、遺跡がございます。

 検索の結果、この遺跡には、そう言ったものは設置されておりませんので、残りの三つの内のどれかに、目的のものがあるでしょう』

 それはご親切にどうも…………。

 なら、その他の遺跡に向かうしかないのな…………。

 とりあえず、聖戦の原因はこれで分かった。

 その傍迷惑な奴には、たっぷりと御礼をさせて貰おうじゃねえか。
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