【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

文字の大きさ
上 下
55 / 163
世界の破滅編

重過ぎる愛

しおりを挟む
『ああっ!!?

 なんて激しいのかしらっ!!!

 とてもゾクゾク致しますわ♡』


 俺も別の意味で、ゾクゾクしてるよ…………。

 マジでキモいよこの女神!!

 ほんとに女神か!?


 ツクヨミと戦闘を開始してから、数十分-------------


 何とか、建物の外へと出して、現在は町の上空でツクヨミと斬り合っていた。


 シグマ・ブレードとビームソードの二段攻撃、飛行ユニットの高機動性を駆使して、ツクヨミを翻弄し、何度も致命傷を与えている。

 与えているが-------------

 何故か、致命傷を受けて、恍惚の笑みを浮かべるツクヨミ。

 正直、キモくて仕方がない。

 ドMかよっ!!!

 そう愚痴りたいとさえ、思える。

 問題は致命傷を与えた後に、ツクヨミの傷がまるで最初から無かったように瞬時に再生される事だ。

『やはり、あのゴミの力は使えますね♡

 早めに食しておいて正解でした♡

 おかげで、こんなにもあなたの愛を感じる事が出来ます♡♡』

 マジでそれやめて…………。

 うっわ、鳥肌が立つよ!

 まあ、今はプラモの姿だから立たないけど…………。

 てか、食す?

 ゴミって-------------

 嫌な予感がする。

『そうですわ♡

 あなたを追い出したあのリズネーゼ王国を守護していた女神-------------あなたでいう脅迫女神とやらをわたくしは好みに喰らいましたの♡

 そして、《完全再生能力》をこの身に宿しましたわ♡』

 うっわ、マジでこわ…………。

 つか、何でこの女神はそのあだ名を知ってんだ?

 心が読めんのか!?

 エスパーかなんかなの!?

『エスパーとは何かは分かりませんが…………♡

 わたくしは闇夜を司る女神ですので、人の影口のような負の思念を感じ取る事が出来ますのよ♡

 特にあなたの思念はとても美味しゅう御座いますわ♡』

 そうですか…………。

 随分、色々と教えてくれるんですね。

 ほんと、厄介な奴に目をつけられたわ。

『愛の為せる技ですわ♡』

 うっさい!!

 黙ってろっ!!!

 ほんと、どうしたもんかな?

 要約すると、こいつはあのリズネーゼ王国の女神-------------もとい、あの脅迫女神を食って、《完全再生能力》とやらを手に入れた上、負の思念とやらを感じ取り、俺の心を読んで来る。

 しかも、心が読める癖に、例え致命傷を受けても、好んで切られようとするイカれたドM女神-------------

 おもくそ、戦意が削がれるわ!!

 ほんと、ロクでもない奴ばかりだな…………!?

 って、愚痴ってる場合じゃないな…………。

 とりあえず、俺が今使える武装は銃形態と大剣形態に可変可能な多目的小型シールドの《シグマ・ブレード》と-------------

 背中の飛行ユニットに付属する集束型キャノン砲が二問に、両腰にビームソードが二つ-------------

 これ、完全に詰んでね?


『さあっ!!

 諦めてわたくしと愛を語らいましょう!!?』

 絶対嫌だ!!!

 ん?

 いや、待てよ。

 もしかしたら…………。

 俺はシグマ・ブレードの実体剣を収納すると腰から新たなビームソードを引き抜き、両サイドから二振りのビームソードで斬り掛かる。

『何度、やっても同じ…………えっ!?』

 あれほど、余裕綽綽よゆうしゃくしゃくだった女神の顔が驚愕へと歪む。

 思った通りだ。

 やはり、その完全再生能力とやらは、何かしらのエネルギーを消費して発動しているみたいだな…………。

 だったら、そのエネルギーをこっちが

『そこだっ!!』

『くっ!! 一体、何が-------------』

 戸惑うツクヨミの目が大きく見開かれる。

 おっ…………気付いたみたいだな…………?

 だが、もう遅いっ!!!

《キャノンモード》

 俺の背中で淡い光を放っていたキャノン砲が飛行ユニットから俺の両肩へと展開される。

 そう、実は俺はツクヨミに攻撃を当てた瞬間、キャノン砲のチャージを既に開始していたのだ。

 このキャノン砲から放たれるビーム砲は基本、外部からのエネルギーチャージを必須としている。

 だから、何らかのエネルギーを消費して、その再生能力を発動していると踏んだ俺はそのエネルギーをキャノン砲のチャージエネルギーとして吸収して奪ったのだ。

 その為、本来、ツクヨミの傷を癒す筈だったエネルギーが著しく無くなり、傷が塞がるスピードが遅くなった訳だ。

 だが、それでもその再生能力が無くなった訳じゃない。

 当然、エネルギーが回復すれば、また傷が再生する訳で-------------

 操作せない為にはどうするか…………。

 んなもん、決まってる。

 エネルギーが回復する前に、片付けるだけだ。

『フォトン・ブラスター!!!』

『いやあああああああ!!!!!!』

 ツクヨミへと放たれた一直線の閃光が彼女を飲み込んだ。

 かなり濃度の高いエネルギーを吸収した所為か、キャノン砲は撃ち終えたと同時に爆散しちまったが…………。

 かなりの深傷を負っていたあの女神には、かなりしんどいだろう。

 自分の都合だけで、町の連中を消したんだ。

 それ相応の償いをして貰わんとな…………。

 って…………ええっ!!?

『ま、まだよっ!!!

 わたくしは、わたくしは幸せになるの!!!!

 ならなければいけないのよっ!!?』

 うっわ、あのクソったれ…………まだ、生きてやがる。

『とっとと死んでおけ…………』

『ぐわああああっ!!!』

 俺は両手のビームソードを投げ付け、女神の両眼に命中すると、飛行ユニットのブースターを点火。

 一気に距離を詰め-------------

《ソードモード》

 シグマ・ブレードの実体剣で、その首を刈り取った。

『そ、そんな…………』

 《マグナムモード》

『あの世で自分のしでかした事を悔いて来い…………』

 んで、念には念を入れて、落下中のツクヨミの頭部をビームピストルで銃撃しておいた。

 すると、その頭部から闇のような黒いものが広がり、町を包み込んだかと思うと-------------

 いつの間にか、町は活気に包まれ、元の平穏な街へと戻っていた。

 ま、結果オーライって奴だな…………。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...