【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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世界の破滅編

バレちゃった?

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「ごめん…………ちょっと、来てくれる…………?」

 勇者達と共に夕食を食べ終え、片付けを手伝っている最中だった。

「は、はい…………?」

「良いから来て…………?」

 突如として、剣聖に声をかけられ、何故か、森の中へと連れ出されてしまった。

 俺は疑問に思いつつも、魔法使いや聖女にお断りを入れて、剣聖に付いて行く。

 すると、何故か、森の中へと俺を連れて行った。

 一体、何だってんだ?

 訳が分からず、首を傾げていると-------------

 突然、剣聖の剣が俺の首筋に当てられた。

「な、何を…………!?」

「それが分からないあなたではないでしょう…………?」

 剣聖の目が獲物を狙うタカのように鋭く細められる。

 え? 何? 

 一体、何なんだよ!?

「そ、それは…………一体、どういう------------」

「そんな安っぽい演技はやめなさい…………」

 剣聖に冷たく突き放すように言われた冷淡な言葉。

 続けて、剣聖はある予想外な一言を言い放つ。

「私はね…………。

 あなたのさっきの証言が嘘だと分かっているよ…………?

 いえ、分かってしまったと言うべきかしら…………?」

「えっ!?」

 嘘って、何!?

 分かってしまったって!?

 あっ…………もしかして…………。

 漫画やゲームでも、ありがちなスキルの名が俺の脳裏を過ぎる。

「もしかして、《看破》のスキル、ですか…………?」

 スキル名《看破》-------------

 まぁ、簡単に言えば嘘発見器だ。

 相手が嘘を付いている場合、それを見破る事が出来る便利な能力だ。

 俺が知ってる漫画やゲームでは、結構ありふれた能力の一つだったが…………。

 まさか、この世界にも存在しているなんてな…………。

 これは迂闊だったかな?

「そうだと言ったら…………?」

 それを肯定するように、勝ち誇ったような笑みを見せる剣聖。

 良い顔するじゃねぇか…………。

 このクソったれ!!?

 でも、鎌を掛けている可能性も捨てきれない。

 ここは冷静に、冷静に対処するんだ。

「あの…………確かに、少し盛りましたけど…………。

 殆ど嘘は言っていないんですが…………」

「それも嘘ね…………?

 大方、何処まで私が嘘を見抜けるのか、探りを入れようとしているんでしょ…………?」

 あっという間に、道を塞がれる俺。

 流石に、勘が良いな…………。

 でも、今ので少なからず、彼女のスキルに関して情報は得られた。

 彼女の看破能力は恐らく、百発百中-------------

 瞬時に吐いた嘘は簡単に見抜けるが、それ以上の事は見抜けない。
 
 その証拠に、彼女の瞳が、何かを探るように俺を見据えている。

「い、一体、何の事ですか…………!?」

「演技は無駄って言った筈よ…………?」

「そ、そんな事言ったってえ~…………!!」

 涙目になって抗議しても、彼女の表情は変わらない。

 これは確定かな…………?

「いい加減本性を現したら…………?」

 痺れを切らしたように、剣聖が俺を睨み付けて来る。

 本性、ね…………。

 やっぱり、看破と言っても、俺のがバレた訳ではないのか…………。

 はい、確定-------------

 彼女の看破の能力は《言葉の嘘を見抜くだけ》-------------《俺の正体までは見抜けない》とみた。

「あれ…………?

 バレちゃった…………?」

 俺は怯える芝居は辞めて、両の手を挙げた。

「バレてないと思ったんだけどなあー…………?」

 愛想笑いを浮かべると、剣聖の顔がみるみる険しいものに変わっていく。

「あなたは、一体何者なの…………?」

 おいおい、剣聖様。

 あんた馬鹿だろ!?

 それ、俺の正体が分かりませんって言ってるようなもんだ。

 完全に確定した。

 剣聖の看破は《人の言葉の嘘を見抜くだけ》の限定的な力だ。

 交渉には打ってつけの能力だが、使う相手がこれじゃあな…………。

「何者だと思う…………?」

「真面目に答えて…………」

 剣聖が柄を握り締める感覚が、剣から伝わる。

 恐らく、危険だと判断したら、彼女は躊躇する事なくその剣で俺の首を跳ねようとするだろう。

 まぁ、無難に答えるか。

「そんな怖い顔をしなくても大丈夫よ。

 ちょっと調べたい事があって、世界を旅してる変わった旅人ってだけ…………。

 別にあなた達に何かしようと近付いた訳じゃないわよ?

 こっちにも事情があって、あなた達に素性を知られたくなかっただけ…………」

 別に嘘を付いている訳ではない。

 聖戦の事について調べる為に、旅をしている事も本当だし…………。

 勇者達に素性を知られたくないのも本当だ。

 好んで近付きたくもない。

「その…………調べたい事って何…………?」

 あれ?

 それ聞いちゃう?

 まぁ、ロクな情報もないし、別に言ってもバレないか?

「…………聖戦についてよ…………」

 答えるか、しばし悩んだが…………。

 答える事にした。

 すると、剣聖の目が見開かれる。

「最近、ちょっとしたルートで知り得てね。

 気になったから、調べる事にしたのよ?

 ねぇ、知ってる?

 最近、この近くの町がドラゴンの群れに襲われたって話なんだけど…………」

 俺は悪戯っぽい笑みを浮かべて、剣聖に言い放つ。

「実はあのゴーレムみたいな奴が町を守ったって話があるのよ…………?」

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