【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

文字の大きさ
上 下
47 / 163
世界の破滅編

報奨金を寄付します

しおりを挟む
 ドラゴンの襲撃があった翌日、多少の被害はあったが、町は必要以上に賑わっていた。


「おいおい、お前ら見たか!?

 あの《機神様》の有志をよ!!!」

「馬鹿かオメェっ!!!

 その話何度目だよ!!!?

 そんなのこの町の連中なら皆、知ってるっての!!?」

「そうだそうだ!!!

 この町に破滅を救った英雄様の話を知らない奴なんかいないっての!!??」

「良いだろう!!?

 何度話してもよ!!!

 どっちにしろめでてえ話だろ!?

 町も救われて、俺たちゃその勇姿を目の当たりにしたんだからよ!!!」

「違えねえ…………!!!」


「……………………」

 もう昨日の夜から、こんな感じた。

 お祭り騒ぎって奴?

 一応、被害を受けてんだから、復興とか、そっちの方も気にしろよ。

 そう辟易しながら、俺は先日の騎士達のいる隊舎に向かっていた。

 宿舎の人の話によると、朝一番に訪れては、宿舎のスタッフに俺宛の伝言を伝えたのだそうだ。

 何やら、俺に話す事があるらしい。

 一体、何なんだ?

 そう首を捻るも、思い当たる節があるとすれば、例の報奨金とやらがらみか?

 何となく、そんな気がするな…………。

 そう踏んでいたのだが-------------


------------------------------------------


 騎士隊舎へ到着して数分後-------------

「報奨金がない…………ですか…………?」

「誠に申し訳ない…………」

 ほんとに、申し訳無さそうに頭を下げるのは、あの時、チャラ男を逮捕した騎士だ。

 その騎士達の話によると、あのチャラ男盗賊団の報奨金は随分前から、ネコババされていたらしい。

 犯人はなんと、この騎士の部下だった男。

 何でも、金遣いが非常に荒く、粗暴な奴だったらしく----------先月、横領やら恐喝などの罪状で牢に打ち込まれて、問題を起こしていたそうな…………。

 そんで、他にも何かしらやらかしていると踏んだ騎士様は、色々と探っていたようだ。

 そんで、昨日、私があのチャラ男達を逮捕した後、報奨金の準備をしようと指示を出した所-------------金庫に納めてあった金貨や銀貨の数が合わず、すぐに調べたら、その部下が勝手に入り込んで、ネコババしていた事が判明したそうだ。

 何やってんだか…………。

 一応、渡せられる報奨金は受け取ったが、全体の四分の一くらいだ。

 これだけでも、かなりの大金だが…………。

 この騎士は真面目過ぎるのか。

 また後日、何とかかき集めて、報奨金を渡すなどと申し出て来た。

 余程、その部下のやった行動に負い目を感じているのか、家や財産をを売り払ってでもとか、かなり重い発言まで含まれている。

「そうですか…………」

 正直、ここを長居する気はない。

 ここまで、昨日の件で騒がれている以上、逃げる意味でも、精神衛生面でも、さっさとこの町を離れたいのだ。

 でも、放っておいたら、この騎士も騎士で何をやらかすか、分かったもんじゃないし…………。

 そこで、ある閃きが浮かぶ。

 俺は頂いた報奨金の半分を騎士の前へと差し出した。

「え、あの…………これは…………?」

 突然の事に騎士が戸惑いの表情を浮かべるが-------------

「そのお金と未払いのお金をこの町に寄付します。

 家を売るくらいなら、この町の為に頑張って働いてくださいね」

 俺は反論を許さないと言った態度で、立ち上がると隊舎の一室を出て行こうとする。

「し、しかし…………」

「もう一度、言いますよ。

 この町の為に役立ててください。

 ただでさえ、ドラゴン騒ぎで大変ですしね。

 家や財産を売り払うくらいなら、騎士らしくこの町の為に働いたらどうなんです?」

 尚も食い下がろうとする騎士の言葉を遮って、押し黙らせると、今度こそ部屋を後にする。

 そんなに後悔しているんなら、今度はしっかりと部下を育てるんだな…………。

 まぁ、これくらいあれば、しばらくは問題はねぇだろうし…………。

 別に、良かったんだが…………。

 なんて、心の中で愚痴りながらも、内心はちょっぴり残念だと思う俺であった。

 ほんと、この世界に来てからロクな目にあってねぇよな…………。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...