【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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世界の破滅編

俺がプラモになる時

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「出来た…………」

 宿舎の一室で、スキルで出したプラモを無我夢中で組み立てていた俺は、その出来栄えに満足そうに頷いた。

 すると、視界のステータス欄に奇妙なエフェクトが走る。

 ん?

 一体、何だ?

《このプラモが、使用機体として登録されました》

《移行、スキルリンクを使用した際、この機体へと自動的に変身します》

 はい?

 つまり何だ?

 新しくプラモを作ると、スキルリンクの機体情報も自動的に更新されていくのか?

 そいつは便利だな!!

 前のは、正直、適当に組み上げたもんだから、そこまで気に入って無かったんだよな…………。

 でも、次からはこいつに変身出来るのか。

 楽しみだな!!

 プラモを手に食い入るように見つめる。

 うん!

 やっぱ、カッコいいわ!!

 特にこのシグマブレード!

 《マグナムモード》と《ソードモード》に収納変形するギミックは最高だよな!?

 前まで使っていた、あの小型シールドの武装をより発展させた兵器。

 収納する小型シールドには、更にビームバルカンやビームソードのオプションも内蔵されているし…………。

 近接・中距離戦の両方に対処出来るほんと良い武装だよ!!

 しかも、バックパックの飛行ユニットは大型の集束型キャノン砲二問と高機動ブースターを取り付けた最新装備。

 このバックパックを装備する事で、機動性が著しく上昇し、よりシグマブレードの刃を素早く当て易くなる。

 次に変身する時が楽しみだ!!!

 ああっ!!!

 ほんと、聖戦とかいう面倒ごとなんか忘れて、こうやって癒されていたいなー。

 なんて…………。

 ん?

 何か、自棄に外が騒がしいな…………。

 俺が今、泊まっているのは宿舎の三階辺りの場所。

 まさか、追手が来たのか?

 と思い至り、プラモの横に置いてあったリボルバーを手に取ると、窓側の陰に隠れて、外へと視線を向ける。

 すると-------------

「に、逃げろおおー!!!」

「ど、ドラゴンが来るぞおおおー!!!」

 え?

 ドラゴン?
 
 窓の外では、住民が何かから逃げるように慌しく動き回っている。

 俺も気になって、恐る恐る窓側から顔を出そうとすると-------------

 俺の顔の前を黒い巨大な物体が物凄いスピードで通り過ぎて行った。

 その黒い物体が通り抜けた風圧で、反対の壁際まで吹き飛ばされる俺。

 どうやら、最悪の状況のようだ。

 というか、ぶっちゃけこの世界、終わってね?

 何か、毎回毎回、危なかっしい事件ばかり起こってるよな?

 これも聖戦って奴の影響か?

 その災厄の正体が掴めていない以上、今襲撃しているであろうドラゴンが、それだと否定出来ない所が辛いわ。

《スキルリンク:プレイヤー・ワン》

 俺は立ち上がると、テーブルの上に置かれたプラモを手に窓から飛び出した。

 そして、それと同時にスキルを発動。

 全身が光に包まれると、俺の肉体は鋼の鎧へと変化し、背中のバックパックに取り付けられた翼が舞い広がる。

『シグマブレード。

 マグナムモード』

 背中のブースターを点火し、飛行ユニットで空を駆け抜けながら、俺は右腕部に取り付けられた小型シールドからビームピストルを展開。

 町の空を覆い尽くすドラゴンの群れを乱れ打つ。

『ソードモード』

 そんで、ピストルを小型シールドへと収納すると、小型シールドの下部に収納された大型の実体剣が展開されると、細かな振動を起こし始める。

『斬る…………』

 俺はそのまま、周りを飛んでいる中でも、一際デカいドラゴンへと突っ込んで行き、その首を跳ね飛ばす。

『人が休んでいる時に、余計な手間をかけんじゃねぇ!!』

「お、おい…………!!

 あれ…………」

 俺の存在に気付いたであろう住民の一人が、俺の方へと指差しているのが視界に映る。

 あぁ?

 何だってんだ?

 今はそれどころじゃねぇんでなっ!!

 面倒ごとは後にしてくれ!!

『そおおおりゃっ!!!

 とりゃああああっ!!!

 そこっ!!!!』

 俺は無我夢中で、ドラゴン群れを打ち抜き、斬り裂き、駆け抜けて行く。

 何か、矢鱈と周りが騒がしい気がするが…………。

 んん?

 あれは-------------

 とりあえず、町へと侵入した最後の一体を片付け終わった時、町から少し離れた所から迫る大きな生体反応を、頭部の高域センサーがキャッチする。

 慌てて、センサーが受信した方角へと身体を向けると、そこには百メートル以上はありそうな大型のドラゴンが巨大過ぎる翼をはためかせ-------------木々を薙ぎ倒しながら、こちらへ向かっている。
 

 まだ、試作段階だが-------------

 今使わないと、かなり町に被害が出るな…………。

『キャノンモード』

 バックパックの飛行ユニットから、キャノン砲が両肩に展開され、エネルギーをチャージし始める。

 集束し始めたエネルギーはキャノン砲の砲口へと、光の粒子として集まりだし…………。

 その狙いを巨大ドラゴンへと向けた。

《エネルギー充填率…………75…………80…………85…………90…………》

 俺がやっている事の危険性を、本能的に察知してか…………。

 ドラゴンが火球を放つ。

「危ないっ!!」

 誰かの叫び声が聞こえた。

 だが、問題はない。

 何故なら、こんな状況など、のだから…………。

 飛行ユニットに取り付けられたこの集束型キャノン砲は周辺からありとあらゆるエネルギーを充填する。

 そうだ。

 当然、それはドラゴンが放った火球も例外ではない。

 俺に直撃した火球は、当たったと同時にエネルギー源として、キャノン砲に吸収される。

《エネルギー充填率100%》

『滅せよ!!

 ヴァリアブル・キャノン!!!』

 放たれた砲弾は一直線に巨大ドラゴンへと向かい、音速を超えて命中し、巨大な爆発に巻き込まれた。

 爆発が止み、後に残ったのは大きなクレーターと丸こげになったドラゴンの死骸のみ。

 俺は頭部のセンサーで、それを視認すると、騒ぎになる前に飛び立った。

 まるで、某特撮ヒーローみたいだな…………。

 なんて、くだらない事を思いながら…………。
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