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世界の破滅編
閑話 ディーマンの消失
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~魔族サイド~
「何…………?」
湊が現在、滞在している町-------------
そこから、数千キロ離れた古城にて、とある配下からの報告を受けて、眉間に皺を寄せる一体の魔族がいた。
その魔族の名はヘレスディア。
美と催淫の魔族と恐れられる四天王の一人にして、ディーマンと肩を並べる実力を持つとされるサキュバスである。
いつもの如く、人類への侵攻作戦の為の作戦を考えていた時、不意に現れたディーマンの配下である使い魔が転移して現れ、あまりにも信じられない事を口にした。
「ディーマンの生体反応が消えた、だと…………?」
ヘレスディアは訝しげに、手元の書類からその使い魔の方へと視線を向けた。
「それは間違いないのか…………?」
「間違いございません…………」
再度、未だに顔を伏せる使い魔に問い掛けるが、同じ報告が返って来るだけだった。
あのディーマンが人間如きに破れたというのか?
そんな事はありえない。
あいつは、かつて異界から召喚された勇者を私と共に幾人も葬って来た魔族の英雄だ。
その実力は誰もが認め、この私ですら届かない境地に達している。
なのに、ディーマンの生体反応が消失しただと…………?
ヘレスディアは使い魔の報告を聞き終えた後、顎に手を当て、過去の記憶を思い起こしながら、深々と考え込む。
確か、あいつがいるのは『ミラーグ』とかいう人間の町だった筈だ。
計画では、盗賊共に若い女共を誘拐させ、とある儀式に利用する算段だった筈-------------
最近の報告では、計画は順調に進んでいると聞いてはいたが…………。
まさか、何か問題が起きたのか?
「他に、報告はないか…………?」
「いえ、報告は以上になります」
「ふむ…………そうか…………。
ご苦労であった。
下がれ…………」
「はっ!」
報告を終えた使い魔が執務室から消え去り、もう一度考え込むヘレスディア。
しかし、何度、思考を凝らしても、結論が出る筈もなく-------------一時、この件を保留する事にした。
今は人類側へと打って出る大事な時期。
ロクに情報もない中で、下手に動くと魔族側の士気が落ちる可能性もある。
ただでさえ、ディーマンは魔族にとって英雄なのだ。
慕う者は数多くいる。
先程の使い魔も、顔には出していなかったが、血が滲み出る程、拳を強く握り締めていた。
今は人類へと侵攻する事だけを考えよう。
それからでも遅くはない。
そう自分に言い聞かせるが、心中穏やかではいられなかった。
だから、私は自身の配下を呼び寄せ、ある事を指示しておく。
今は、これで満足しておこう。
だが、この決断が魔族側にとって、大きな打撃を受けるきっかけになる事をヘレスディアはまだ知らなかった。
「何…………?」
湊が現在、滞在している町-------------
そこから、数千キロ離れた古城にて、とある配下からの報告を受けて、眉間に皺を寄せる一体の魔族がいた。
その魔族の名はヘレスディア。
美と催淫の魔族と恐れられる四天王の一人にして、ディーマンと肩を並べる実力を持つとされるサキュバスである。
いつもの如く、人類への侵攻作戦の為の作戦を考えていた時、不意に現れたディーマンの配下である使い魔が転移して現れ、あまりにも信じられない事を口にした。
「ディーマンの生体反応が消えた、だと…………?」
ヘレスディアは訝しげに、手元の書類からその使い魔の方へと視線を向けた。
「それは間違いないのか…………?」
「間違いございません…………」
再度、未だに顔を伏せる使い魔に問い掛けるが、同じ報告が返って来るだけだった。
あのディーマンが人間如きに破れたというのか?
そんな事はありえない。
あいつは、かつて異界から召喚された勇者を私と共に幾人も葬って来た魔族の英雄だ。
その実力は誰もが認め、この私ですら届かない境地に達している。
なのに、ディーマンの生体反応が消失しただと…………?
ヘレスディアは使い魔の報告を聞き終えた後、顎に手を当て、過去の記憶を思い起こしながら、深々と考え込む。
確か、あいつがいるのは『ミラーグ』とかいう人間の町だった筈だ。
計画では、盗賊共に若い女共を誘拐させ、とある儀式に利用する算段だった筈-------------
最近の報告では、計画は順調に進んでいると聞いてはいたが…………。
まさか、何か問題が起きたのか?
「他に、報告はないか…………?」
「いえ、報告は以上になります」
「ふむ…………そうか…………。
ご苦労であった。
下がれ…………」
「はっ!」
報告を終えた使い魔が執務室から消え去り、もう一度考え込むヘレスディア。
しかし、何度、思考を凝らしても、結論が出る筈もなく-------------一時、この件を保留する事にした。
今は人類側へと打って出る大事な時期。
ロクに情報もない中で、下手に動くと魔族側の士気が落ちる可能性もある。
ただでさえ、ディーマンは魔族にとって英雄なのだ。
慕う者は数多くいる。
先程の使い魔も、顔には出していなかったが、血が滲み出る程、拳を強く握り締めていた。
今は人類へと侵攻する事だけを考えよう。
それからでも遅くはない。
そう自分に言い聞かせるが、心中穏やかではいられなかった。
だから、私は自身の配下を呼び寄せ、ある事を指示しておく。
今は、これで満足しておこう。
だが、この決断が魔族側にとって、大きな打撃を受けるきっかけになる事をヘレスディアはまだ知らなかった。
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