【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

文字の大きさ
上 下
20 / 163
プロローグ

リズネーゼ王国の滅亡

しおりを挟む
「お、お願い致します。

 どうか、祖国へとお戻りください!!

 勇者様…………!!」

「……………………」

 アホらしい…………。

 こんな連中、無視して行くか。

「あ…………!!?

 待って----------------」

『待つが良い』

 あぁ?

 今度は何だ?

 ギルドの近場の屋根へと飛び移った時だった。

 俺を引き留めようとする悲痛な少女の声と共に、やたらと偉そうな女の声が頭に響いた。

 気になって周りを見渡してみたが、やはり何もいない。

 気のせいか?

『上だ。

 この愚か者…………』

「上…………?」

 頭に響く声の通りに顔を上げると、そこには俺を見下ろす一人の女性がいた。

 背中に羽らしきものがあるが…………。

 これは、もしかしなくても…………?

『我が名は守護の女神アウロラ』

 はい、やっぱり女神様でした。

『その娘の言う通り、王国へと戻れ。

 さもなくば、我が神罰を加える』

「やりたきゃやれば…………?」

 ほんと、女神って、何で自分勝手で、馬鹿ばかりなんだろうな…………。

 ひょっとして、頭の中は小学生並とか…………?


『何…………?』


 何で、そんなに意外そうな顔するかね?

「ほんと、女神って馬鹿ばっかだな…………」

『なるほど…………余程、神罰を己が身で受けたいようだな…………』


「そうは言うが、アウロラとやら…………?

 神罰を落としたとして、困るのはあんたじゃねぇのか…………?」

 俺の言葉を聞き、アウロラとやらが、僅かだが眉がピクリと動いた。

「正確には、あんたとそこにいるゴミ屑ども…………ひいては、そのリズネーゼ王国とやら、だ…………。

 まぁ、大方、あのクソ王国に何かしら深刻な危機が起きていて、滅んでは困るあんたがシャシャリ出て来たって所だろ…………?

 そんでもって、どうしても、その問題を解決するには、この俺の力が必要になった。

 けどな…………。

 俺には、この国の連中がどうなろうが知ったこっちゃない。

 というか、さっさと滅びてくれないかね…………」

『き、貴様…………』

 おいおい、何だよ、その慌てよう?

 それじゃあ、図星ですって言ってるようなもんだろうが…………。

 ちょっと、出鱈目な事を言って、探りを入れたら、「はい! 肯定します」って…………。

 ほんと、呆れるわ。

「どうした?

 やるなら、さっさとやれよ…………。

 ちなみに、もし神罰とやらを落とした瞬間----------------俺はあんたもこの連中も敵とみなして、滅ぼすからな…………」

『貴様…………冗談も大概にして--------』


「…………冗談だと思ってんのか…………?」

 俺は静かな怒りと共に、女神を睨み付ける。

 正直、もう俺はあの国の連中を許す気はなかった。

 というか、今すぐにでも、色々と理不尽な事をされた恨みを晴らしたくて仕方がない。

 ていうか、今すぐ滅ぼすべきか?

『……………………』

 俺が本気だという事が伝わったのか、あれほど威勢の良かった女神が押し黙る。

「何もする気がねぇのか…………?

 なら、そろそろ俺は行くぞ…………?

 でないとうっかり------------」

 俺は女神に背を向けると、ダメ元でリボルバーの銃口を空へと向けて、言い放つ。


「その王国とやらを撃っちまいそうになる…………」

 それも、口角を三日月型に歪め、まるで魔王になったかのように、邪悪に微笑みながら…………。

 そして、そのまま、再び跳び立つと、そいつらは何もする事なく、ただ俺の後ろ姿をジッと眺め続けているだけだった。

 それから、後で知った事だが…………。

 その数週間後-------------

 俺を不当に追い出したリズネーゼ王国とやらは魔族の襲撃により滅んだそうだ。

 まあ、自業自得って奴だわな…………。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

処理中です...