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01-孤高の白雪編
違和感
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「いたぞ!!!」
「そっちに向かった!!!」
「囲め!!!」
これは、どういう事だ…………?
「「「「「……………………」」」」」
次の異界戦争が始まって早々、何で、こうもまた、シークレット王国の騎士と接敵する事になる?
しかも、今度は、多くの仲間を引き連れて-------------
「……………………」
シークレット王国の騎士達は、俺を取り囲みながら、徐々に距離を詰めて来る。
俺は、それを感じながらも、正直、億劫になるくらい騎士の連中に腹を立てていた。
もう殺しても良いかな…………?
なんて、物騒な事を思ってしまうくらいには---------
「……………………」
「かかれ!!!!!!」
「「「やああああああああっ!!!!!!」」」
うるさいわ!!!!
「「「ぐわああああああああーーー!!!!!」」」
とりあえず、氷の礫を俺の周囲全体に生成して、解き放ちつつ、何時もの如く、端末の画面に表示された『棄権』をタップしようとして、その手が止まった。
「……………………」
ネズミが、まだ、いるようだ。
俺は、右後方にある岩塊へと視線を向けると、その岩陰からニ人の少女が顔を出した。
その顔が視界に映るなり、俺は思わず、溢れ出しそうな殺気を必死に抑え込む。
「はぁ~い♪ お久しぶりぃ~♪」
一人は先日、お世話になったメリア・カーナ。
もう一人は、この世で、俺が最も顔を見たくない奴だった。
「あなたが、《白雪》---------?」
「……………………」
「メリアの言う通り、本当に、無口なのね? まぁ、そんな些細な事はどうでも良いの…………」
少女はそういうなり、一気に距離を詰め、あるものを奪おうとして来る。
狙いが何なのか、予想していた俺は、それを即座に懐にしまいながら、蹴り技を繰り出し、少女との距離を取る。
「ふぅ~ん…………私の狙いを読んだのね?」
いやいや、あからさま過ぎるよね?
どう考えったって、これを奪う事が、あんたの目的だよね?
少女が狙っていたのは、俺の端末-------------
どうやら、こいつら、俺の端末を奪って、棄権させないつもりのようだ。
その証拠に-------------
「貰い!!!! って、何よこれ!!?」
背後から、俺の懐に手を突っ込んで、端末を奪った(氷で作った偽物)を見て、声を上げるメリア。
まだまだ、甘いよお主-------------
そんで、その隙に、本物の端末で、棄権をタップする俺。
「……………………」
しかし、何故か、棄権の表示をタップしても、いつまで経っても、異世界から転送される気配はない。
可笑しいと思い、何度も、何度も、棄権の表示をタップする。
しかし、何も起きない。
「どうやら、間に合ったようね」
どういう事だ?
そんな俺の心情を察してか、聞きたくめない事をペラペラと少女は語り出した。
「悪いけど、今回、運営の方に依頼して、あんたの端末の機能の一部を停止させて貰ったわ。何度、タップしても無駄よ」
は?
端末の機能を停止だと?
つまり、俺はこのゲーム中、もう棄権するのは無理って事か?
つか、運営の奴ら、何してくれてんだよ!?
「あんたが悪いのよ? 毎度毎度、面倒になったら、棄権ばかりして……………………探すこっちの苦労も考えろってのよ…………」
俺が目をスッと細めて、憎々しげに、少女を睨むと、少女も憎々しげに睨み付けながら、悪態を吐いて来た。
そっちの事情なんか知らんわ!!!
つか、汚ねぇぞ!!??
というか、運営も運営だ!!!
何で、こんな奴の言う通りに動いてんだよ!?
寧ろ、悪態吐きたいのは俺の方だ!!!!
「まぁ、時間は掛かったけど、これで、あんたのいつもの手は封じた。メリア。さっさと終わらすよ」
「はぁ~い♪♪」
「ちっ…………」
二人は構えると、一気に距離を詰めて、腰の剣を引き抜き、振り下ろして来た。
反射的に、それを氷の槍を作って受け止めるなり、苛立たしげに舌打ちをしながら、二人の剣を弾いて、氷槍を変幻自在に振るう。
互いに剣と槍が交錯し、ぶつかり合い、受け流し合い、攻防一線の戦いが繰り広げられる。
側から見れば、両者の戦いは拮抗しているように見えるだろう。
だが、やはり、押され始めているのは俺の方だった。
「くっ…………!!!」
不味い…………《雪女》のリミットが近い。
手がかじかんで-------------
「貰った!!!」
本の一瞬、手元が緩んだ事を見逃さずミリアの剣が、俺の槍を弾き飛ばした。
そして、武器を持たない無防備な俺に、再び、その刃が振り下ろされ-------------
「……………………え?」
-------------無かった。
ミリアの身体は、上下左右にずれ落ち、鈍い音を立てて、転がり……………………光の粒子になって、消滅した。
後に残ったのは、いつの間にか、一振りの氷の刀を手にしている俺がいるだけで…………。
「そっちに向かった!!!」
「囲め!!!」
これは、どういう事だ…………?
「「「「「……………………」」」」」
次の異界戦争が始まって早々、何で、こうもまた、シークレット王国の騎士と接敵する事になる?
しかも、今度は、多くの仲間を引き連れて-------------
「……………………」
シークレット王国の騎士達は、俺を取り囲みながら、徐々に距離を詰めて来る。
俺は、それを感じながらも、正直、億劫になるくらい騎士の連中に腹を立てていた。
もう殺しても良いかな…………?
なんて、物騒な事を思ってしまうくらいには---------
「……………………」
「かかれ!!!!!!」
「「「やああああああああっ!!!!!!」」」
うるさいわ!!!!
「「「ぐわああああああああーーー!!!!!」」」
とりあえず、氷の礫を俺の周囲全体に生成して、解き放ちつつ、何時もの如く、端末の画面に表示された『棄権』をタップしようとして、その手が止まった。
「……………………」
ネズミが、まだ、いるようだ。
俺は、右後方にある岩塊へと視線を向けると、その岩陰からニ人の少女が顔を出した。
その顔が視界に映るなり、俺は思わず、溢れ出しそうな殺気を必死に抑え込む。
「はぁ~い♪ お久しぶりぃ~♪」
一人は先日、お世話になったメリア・カーナ。
もう一人は、この世で、俺が最も顔を見たくない奴だった。
「あなたが、《白雪》---------?」
「……………………」
「メリアの言う通り、本当に、無口なのね? まぁ、そんな些細な事はどうでも良いの…………」
少女はそういうなり、一気に距離を詰め、あるものを奪おうとして来る。
狙いが何なのか、予想していた俺は、それを即座に懐にしまいながら、蹴り技を繰り出し、少女との距離を取る。
「ふぅ~ん…………私の狙いを読んだのね?」
いやいや、あからさま過ぎるよね?
どう考えったって、これを奪う事が、あんたの目的だよね?
少女が狙っていたのは、俺の端末-------------
どうやら、こいつら、俺の端末を奪って、棄権させないつもりのようだ。
その証拠に-------------
「貰い!!!! って、何よこれ!!?」
背後から、俺の懐に手を突っ込んで、端末を奪った(氷で作った偽物)を見て、声を上げるメリア。
まだまだ、甘いよお主-------------
そんで、その隙に、本物の端末で、棄権をタップする俺。
「……………………」
しかし、何故か、棄権の表示をタップしても、いつまで経っても、異世界から転送される気配はない。
可笑しいと思い、何度も、何度も、棄権の表示をタップする。
しかし、何も起きない。
「どうやら、間に合ったようね」
どういう事だ?
そんな俺の心情を察してか、聞きたくめない事をペラペラと少女は語り出した。
「悪いけど、今回、運営の方に依頼して、あんたの端末の機能の一部を停止させて貰ったわ。何度、タップしても無駄よ」
は?
端末の機能を停止だと?
つまり、俺はこのゲーム中、もう棄権するのは無理って事か?
つか、運営の奴ら、何してくれてんだよ!?
「あんたが悪いのよ? 毎度毎度、面倒になったら、棄権ばかりして……………………探すこっちの苦労も考えろってのよ…………」
俺が目をスッと細めて、憎々しげに、少女を睨むと、少女も憎々しげに睨み付けながら、悪態を吐いて来た。
そっちの事情なんか知らんわ!!!
つか、汚ねぇぞ!!??
というか、運営も運営だ!!!
何で、こんな奴の言う通りに動いてんだよ!?
寧ろ、悪態吐きたいのは俺の方だ!!!!
「まぁ、時間は掛かったけど、これで、あんたのいつもの手は封じた。メリア。さっさと終わらすよ」
「はぁ~い♪♪」
「ちっ…………」
二人は構えると、一気に距離を詰めて、腰の剣を引き抜き、振り下ろして来た。
反射的に、それを氷の槍を作って受け止めるなり、苛立たしげに舌打ちをしながら、二人の剣を弾いて、氷槍を変幻自在に振るう。
互いに剣と槍が交錯し、ぶつかり合い、受け流し合い、攻防一線の戦いが繰り広げられる。
側から見れば、両者の戦いは拮抗しているように見えるだろう。
だが、やはり、押され始めているのは俺の方だった。
「くっ…………!!!」
不味い…………《雪女》のリミットが近い。
手がかじかんで-------------
「貰った!!!」
本の一瞬、手元が緩んだ事を見逃さずミリアの剣が、俺の槍を弾き飛ばした。
そして、武器を持たない無防備な俺に、再び、その刃が振り下ろされ-------------
「……………………え?」
-------------無かった。
ミリアの身体は、上下左右にずれ落ち、鈍い音を立てて、転がり……………………光の粒子になって、消滅した。
後に残ったのは、いつの間にか、一振りの氷の刀を手にしている俺がいるだけで…………。
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