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01-孤高の白雪編

情報源

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『俺と戦えええええええ!!!!!!』

「うるさっ…………!!!」

 あの迷惑極まる馬を駆けらせながら、しつこく叫び続ける騎士様。

 それを鬱陶しげな眼差しで、学園の敷地で佇む俺。

 そんな俺の周りで、帰宅途中の学園の生徒達が、ヒソヒソと話している声がした。

 その内容は-------------

「あの人、シークレット王国の騎士よね? 何で、此処にいるの?」

「何でも、あの《白雪スノーホワイト》が、この町の何処かにいるらしいよ?」

「えっ!? あの《白雪》が!? 本当だったら、凄い事だよね!?」

「そうだよねぇ~♪ 私、会えたら、サイン貰っちゃおうかな?」

「うん♪ そうだね♪」



「……………………」


 好き放題、言いやがって-------------

 ちなみに、世間での《白雪スノーホワイト》の評価というか、印象は-------------何処から共なく現れては消える謎の女性プレイヤーとして、広く知られている。

 噂じゃ、何やら、隠れファン的な団体があるとか、ないとか…………。

 評価されるのは嬉しいが、こうも騒がれると鬱陶しくて仕方がない。

 だが、何故、あの騎士様は、俺の居場所をピンポイントで特定しているんだ?


「……………………」


 まさか…………だよな?

 ある可能性が脳裏を過ぎり、早足で歩み出す俺。

 それから、数分もしない内に、ある場所へと到着した。

 学園から少し離れた古ぼけた甘味処。

 地元の人でも、知る人ぞ知る名店なのだが…………。

 その店の暖簾を抜けると、いつもの如く、カウンターで、仕込みの作業をしている強面の大男と目があった。


「いらっしゃい。今日は随分と早いねぇ~」


 矢鱈と気怠げで、おっとりとした感じで、そう挨拶して来た、この大男の様子を見て、俺は確信した。

 こいつが、情報源だと…………。


「また、俺を売ったな…………?」


 額に青筋を立てながら、そう聞き返すと、「正解」と言わんばかりに、両手で、大きな丸を描く大男。


「ごめんねぇ~」

「……………………」


 とりあえず、鉄拳制裁だ。

 だが、振り上げた拳を片手で、最も簡単に受け止める大男の姿を見て、余計にイライラする。


「そんなカリカリしてないでぇ~。はい。新作ぅ~」


 その上で、甘いもので買収ですか…………。

 変わらない。

 から、一ミリも変わっていない。


「んで? どういうつもりだ?」

 
 俺は不機嫌そうに、舌打ちしながら、その拳を下ろした。

 んで、癪なので、差し出された甘味を受け取らず、顔を背けて、話しを続ける。


「どうもこうもないよぉ~? ただ、君と戦いたいと依頼されたから、場所だけ教えただけぇ~。もちろん、正体とか、なんかは教えてないよぉ~」

「そこん所は心配してねぇよ。あんた、そういう事に関してはしっかりしてるからな…………」

「ありがとうぉ~」

「……………………」


 そういうおっとりとした女口調-------------ほんと、キモいからやめてくれや…………。

 -------------


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