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第1章・転生しました

1-15 夢の中

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あの後、ウチらはレオ(結局名前は聞いとらんで)にまた来る(無理矢理)約束して、家に帰った。
母さんにキノコを見せたんやけど…食用キノコによく似た毒キノコやったらしくて…ショックや!
気分転換として、そこそこ広い庭を走り回ったで。
え?なんや元気やないかって?
いやいや、結構ショックやったで?

さらにその後父さんにナイフのことで怒られ、母さんには部屋が汚いから掃除しろと部屋に押し込まれたんや。
でも、掃除ってやる気無いやろ?
でも、掃除せんと母さんの拳骨が待っとるやろ?
あー、面倒やなぁ…

「まぁ、掃除せんかったウチが悪いし、怒られる前に掃除しよ…」

ちょっとでも気分が上がるように前世で好きやったアニメのオープニングを歌いながら掃除をしていたんや。
因みになんやけど、家の中でウチは1番南で、大きな窓も南側に付いとって、ちょーあったかいんや!
何が言いたいかっちゅーと…
そんな部屋にいたら眠くなるやろ!
ああっ、目の前にはベッドが…!体が勝手にベッドの方にぃ~。
不可抗力や!…えぇ、ダメか。(。・ˇ_ˇ・。)ムゥ…。よし、ベッドがダメならベッドにもたれ掛かって寝るで!
え、寝るのがダメなんやって?
知っとるか?眠気は人類の最大の敵やで(てきとー)
って事で、おやすみ~。




ん、何や、此処は。
真っ白な空間。足元を見ても床らしきものは見当たらへん。
何処かで見たことある景色やな。
あ、そうや。此処は。

「神奈、遅かったね」

「…創造神サマ、やな?」

真っ白な空間にポツンと1つ浮かぶテーブルと椅子。その椅子に座っているのは、前世でウチが死んだ時にあった女神サマ。創造神サマやった。
創造神サマはコクリと頷く。

「でも、なんでウチはまたこの空間に来たんや?まさか、寝てる間に死んだとかじゃないやろ?」

「もちろん死んでない。私が意識だけを呼び寄せた。だから、今の身体はこの空間に存在していない」

あぁ、なるほどなるほど。だから前回来た時にはあった筈の浮遊感みたいなのがないんやな。

「なら、なんでウチは此処に呼ばれたんや。死んでないなら、また転生、とかは無いやろ?」

「ない。ただ、呼んだだけ」

…(  ´・∀・)ヘッ?

「話相手がいなくて暇だったらたまたま寝ていた神奈を呼んだ。あと、忠告」

忠告?なんやろ。
悪役令嬢が転生者でゲームよりさらにヤヴァァイ人になっとる、とかか…?

「神奈のいる世界は、ゲームになってるって言ったね」

「そやそや。今日はゲームの攻略対象キャラクターに会ったんやで」

レオナルドな。やっぱり2次元の時と違うからなぁ。あんまり、かっこええ!とかならへんのや。

「それ。それについて、話に来た」

「それ、って…出来事イベントの事か?」

女神サマはコクリと頷く。

「この世界をモデルにしたゲームとはいえ、ゲームは世界の一部。だから、登場人物キャラクターはもちろん、出来事イベントも似たようなことが起きる」

へぇ…じゃあ、どう足掻いても悪役令嬢さんには会うっぽいなぁ。

「あくまでも、、だから、その通りに起きるかはわからない。言いたかったことは終わり」

「あ、えっと、ありがとうございます?」

この女神サマは淡々と喋ってスパッと終わらせるよな…。

「今度は、本当の世界で逢おう」

ウチの視界がぐにゃりと歪み、やがて意識は薄れていった。



目を開けるとそこは、見慣れた自分の部屋─ではなく、街の図書館の近くやった。
なんで、こんな所におるんやろ。

「ーーーーーーーーーー!」

「何や、あれ、ドラゴン?」

ウチの目の前には真っ黒なドラゴンが。
それなりに近くにおるウチはドラゴンの咆哮で鼓膜が破れるかと思たで。
あ、誰かおるな。状況の説明をして貰おかな。
そんな軽ーい気持ちで近寄ったんやけど…
人は7人。特徴のある髪色が見えた。
サラサラの金髪、ストロベリーブロンドのボブ、ミント色のツインテール、後ろで括った銀髪、艶のある黒髪、少し短めの青髪、長めのレイヤーカットの赤髪、セミロングの緑髪。
そして、少し離れたところに8人目、お団子に結った白金の髪。

「すみません、今、どういう─」

「ーーー!」

また、ドラゴンの咆哮や。
さっきからなんなんや!いきなり此処に居て、見た事あるんやけど会った事ない人もおるし、なんか禍々しいドラゴンもおるし…

「ーーーーーー!」

此処に来てから3度目の咆哮。
ドラゴンが動き出した。一歩足を前に出す度に地響きがする。ドラゴンが向かう先には…ウチらがおる。
ウチらがおるとは言ってもウチは眼中に無いっぽいな。
…じゃあ、誰や。

ドラゴンの目に映ったのは、金髪の少女。
顔はハッキリとは見えへん。
でも、解る。この子はウチにとって、なくてはならない大切な存在なんや。
ドラゴンは金髪の少女に火を吐こうとしている。
少女は恐怖で動けないみたいや。他の人達も動かない。
なんで。
なんで。
腰に剣をさしているやないか。
なんで動かへんのや。
ドラゴンの口に炎が見える。
─ヤバい

「×××!」

ウチは何かを叫んだ。きっと、少女の名前やろう。
それからウチは少女に向かって走り出した。少女を奪われると思ったのか、ウチが少女を抱き抱えるとすぐに炎を吐いてきた。少し掠ったが、問題は無いで。
ドラゴンを見れば、目の中にはもう少女は写ってへん。映ったのは…ウチや。
気付かないうちに、ドラゴンはすぐそこに来てたんやな。
振り返ると、絶望に満ちた、大好きな大好きなウチとよぉにとる顔。きっとウチも、こんな顔しとるんやろな。
そしてドラゴンは大きな口を開けて…ウチを…

呑まれる。
そう直感した、その時。
一瞬だけ、ドラゴンの後ろに真っ黒なローブを着て、口を三日月のように歪めた人物が見えた。

そしてウチの目の前には真っ黒な空間と白く光る歯の世界に呑み込まれていった。




─ゴンッ

「っつ~…!」

いつの間にか寝ていたみたいやな。
え?自分から寝たやないかっ!って?
さー、どーだったかなぁ、忘れてしもたわ。
なんか汗びっしょりやし、頭は痛いし、嫌な夢でも見とったんやろか。
いや、頭痛いのは頭ぶつけたからやな。
寝る前はベッドにもたれ掛かっとった。今は本を枕に床で転がってる。起きた時〝ゴンッ〟っていっとったし、多分バランスが崩れて倒れた時にこの本に頭ぶつけたんやろ。

にしても、どないな夢やったっけなあ。
忘れてしもたわ。
ま、考えてても始まらへんし、眠気も覚めたからな、掃除しよ、掃除。
この本も片付けないとな。えっと、題名は…〝勇者とドラゴン〟。…ダサっ。
確か、勇者が街に出たドラゴンを退治しようとしたんやけど、街の人を守ったらドラゴンに食べられたんやなかったかな。
食べられた後は一寸法師みたいな感じで討伐完了!やで。
さ、こんなつまらんこと言っとらんで、掃除や掃除。おやつ抜きは困るからな。
えっと、頭文字はゆ、やからこっちの棚やな。
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