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第1章・転生しました
1-13いつかは来ると思ってた
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今日は日曜日!
つまり~…日本語解禁の日や!いやぁ、楽やなぁ。楽しいなぁ。
代わりに街へ行けへんけどな。ま、つまらへんから森には行くけどな。
「愛夢!愛夢も一緒に来ぃひんか?」
「…どこ行くのよ」
「勿論、森やで!」
「…行くわ」
いつもは誘っても来る事は無かったんに、今日はどないしたんやろ…
「何よ、一緒にいちゃ悪いわけ?」
「い、いや、そんなことは無いで?」
それからウチは上着とショルダーバッグに筆記用具を入れ、玄関で愛夢を待つ。
「もう行く~」
パタパタと階段を降りる音が聞こえる。降りてきた愛夢は色違いの上着と、フリルなどを付け足した一応お揃いだったショルダーバッグを下げ唯一お揃いやない靴を履き、外へ出る。
「「行ってきまーす!」」
「いってらっしゃい、気をつけてね~」
「「はーい!」」
森は元々整備されとるし、ウチが何度も何度も入ってきたから小道ができとる。
今更やけど、森は家のすぐ後ろ。森にひいった目的は、探索と冒険の為や!
「そういや、愛夢はいつもは来ぃひんのになんで今日は来たんや?」
愛夢はうーんと唸り答えが決まったようでウチの顔を見て答える。
「嫌な予感がしたから、かしらね」
「それ家から出ない方が良かったんとちゃうか?」
「でも神奈それでも森行くでしょ?ヒマだから」
「反論の余地も御座いません…」
何故か愛夢は勝ち誇ったような笑みを浮かべとる。
可愛ええなぁウチの妹は。
ウチがもっと可愛がってやるでー!
頭をわしゃわしゃと撫でる。
「わっ!ちょ、神奈やめろぉ!とかしてきた髪の毛がボサボサになるじゃない!」
「でも森やし、結局はボサボサになるんやないか?」
バシッ
殴られたんやけど。友達に言われたんやけど、ウチ、デリバリー?あ、ちゃうわ、デリカシーかwがないらしいねん。
でも殴ることないと思うんやけど…
わざとらしい?さ、さぁ…気のせいや、ないか?
「で?何しに行くのよ」
とウチを振り返る。
「うーん、これといった目的はないんやなー。強いて言うなら暇つぶし。そして探索と冒険の為や!」
「…はぁ。次はもっと考えてきなさいよね」
呆れた目線が痛い。考えなし?いーやないか、別に。自然は計画通りにならないから面白いんや!と後で言ったら、計画通りにならなかった時に言ってよね、って言い返されたで。
「あと、森に行くのにそんな服で大丈夫なの?」
今の服装は白のワンピースで、動きにくくはないんやけど動きやすくもない。家にはもっと動きやすい服があるんやけど…謎のプライドっていうか意地が!よく分からんけど意地があったんや!
ガサッ
「………」
ウチらは青い顔をしてゆっくりと後ろを振り返る。そこには─
「「うさぎ!」」
真っ白な可愛ええうさぎがおった。なんや~心配するだけ無駄やったな~。
「神奈って、森に来た時はいつもこうなの?」
なんや、その目。なんか変な目でウチを見るな…ウチなんか悪いことしたか!?
「いつもの事やったらここまで驚いたりしないと思うんやけどなぁ…」
ちょっとした反撃を込めた。しかし、愛夢は知らない振りや。ま、反応したらしたで愛夢らしくないんやけどっていうかウチほんまに何もしてないよな?ちょっと不安になってきたで。
「あ、サクラ」
「え?サクラ?」
なんでや。先週はそんなの見なかったで。だいたい、サクラなんてこの世界に存在しなかったはずや!
「見間違いじゃないと思うわよ。ほら」
「ん、どれどれ…」
見た感じ、サクラと何も変わっとらん。ちょっと驚いた事はウチは見たことの無い八重咲きの咲羅やったことやな。
ついでに言っとくと、ウチは別に植物が好きなわけやないで。観察力も言い訳やないし、まぁ、ハッキリ言って…
「まっったくわからん」
「だと思ったわ。きっと今はわからないでしょうから、これは後回しにしましょ」
「せやな」
一旦サクラは忘れて探索を再開しようとした時、
ガサッ
「…またウサギか?」
「なんとなく嫌な予感がするわ」
「愛夢の『嫌な予感』は『なんかある』っちゅうことや!さあ、いっくでー!」
「え、ちょっと!『嫌な予感』は『行かない方がいい』ってことだからー!」
愛夢の手を取り音のする方向に走り出す。
草をかき分けて少しした所に『それ』はおった。
「誰だ、お前?」
「「…オオカミ?」」
否。そこに居たのは美しい長い銀の髪をもつ美少年やった。目はつり目気味で紅い。ちょっと貴族みたいな格好をした、ただの美少年や。
ただ一つ、狼のような耳と尻尾を除いて。
「オオカミじゃない」
「でしたら…コスプレ?」
「スピカ…この世界にそんなの無いよ」
家族以外はこの国の言葉ですからね。大変です。
「コスプレってなんだ?」
「な、な、なんでもないです!気にしないでください!」
リリスが頑張ってる。可愛い…って呑気に言ってる場合じゃあないですね。
「僕は〝獣人〟だ。それも、人間との混血種のな」
─あ。
ダメだ。きっとこのひとは…関わらない方がいい。だって、この人は…攻略対象だから。
いつかは来ると思ってました。だって私はこれでも…完全にストーリーを進もうとしていなくても、紛れもないヒロインだから。
ごめんリリス。忠告聞かなくて。お姉ちゃんは今、すっごく後悔してます。
つまり~…日本語解禁の日や!いやぁ、楽やなぁ。楽しいなぁ。
代わりに街へ行けへんけどな。ま、つまらへんから森には行くけどな。
「愛夢!愛夢も一緒に来ぃひんか?」
「…どこ行くのよ」
「勿論、森やで!」
「…行くわ」
いつもは誘っても来る事は無かったんに、今日はどないしたんやろ…
「何よ、一緒にいちゃ悪いわけ?」
「い、いや、そんなことは無いで?」
それからウチは上着とショルダーバッグに筆記用具を入れ、玄関で愛夢を待つ。
「もう行く~」
パタパタと階段を降りる音が聞こえる。降りてきた愛夢は色違いの上着と、フリルなどを付け足した一応お揃いだったショルダーバッグを下げ唯一お揃いやない靴を履き、外へ出る。
「「行ってきまーす!」」
「いってらっしゃい、気をつけてね~」
「「はーい!」」
森は元々整備されとるし、ウチが何度も何度も入ってきたから小道ができとる。
今更やけど、森は家のすぐ後ろ。森にひいった目的は、探索と冒険の為や!
「そういや、愛夢はいつもは来ぃひんのになんで今日は来たんや?」
愛夢はうーんと唸り答えが決まったようでウチの顔を見て答える。
「嫌な予感がしたから、かしらね」
「それ家から出ない方が良かったんとちゃうか?」
「でも神奈それでも森行くでしょ?ヒマだから」
「反論の余地も御座いません…」
何故か愛夢は勝ち誇ったような笑みを浮かべとる。
可愛ええなぁウチの妹は。
ウチがもっと可愛がってやるでー!
頭をわしゃわしゃと撫でる。
「わっ!ちょ、神奈やめろぉ!とかしてきた髪の毛がボサボサになるじゃない!」
「でも森やし、結局はボサボサになるんやないか?」
バシッ
殴られたんやけど。友達に言われたんやけど、ウチ、デリバリー?あ、ちゃうわ、デリカシーかwがないらしいねん。
でも殴ることないと思うんやけど…
わざとらしい?さ、さぁ…気のせいや、ないか?
「で?何しに行くのよ」
とウチを振り返る。
「うーん、これといった目的はないんやなー。強いて言うなら暇つぶし。そして探索と冒険の為や!」
「…はぁ。次はもっと考えてきなさいよね」
呆れた目線が痛い。考えなし?いーやないか、別に。自然は計画通りにならないから面白いんや!と後で言ったら、計画通りにならなかった時に言ってよね、って言い返されたで。
「あと、森に行くのにそんな服で大丈夫なの?」
今の服装は白のワンピースで、動きにくくはないんやけど動きやすくもない。家にはもっと動きやすい服があるんやけど…謎のプライドっていうか意地が!よく分からんけど意地があったんや!
ガサッ
「………」
ウチらは青い顔をしてゆっくりと後ろを振り返る。そこには─
「「うさぎ!」」
真っ白な可愛ええうさぎがおった。なんや~心配するだけ無駄やったな~。
「神奈って、森に来た時はいつもこうなの?」
なんや、その目。なんか変な目でウチを見るな…ウチなんか悪いことしたか!?
「いつもの事やったらここまで驚いたりしないと思うんやけどなぁ…」
ちょっとした反撃を込めた。しかし、愛夢は知らない振りや。ま、反応したらしたで愛夢らしくないんやけどっていうかウチほんまに何もしてないよな?ちょっと不安になってきたで。
「あ、サクラ」
「え?サクラ?」
なんでや。先週はそんなの見なかったで。だいたい、サクラなんてこの世界に存在しなかったはずや!
「見間違いじゃないと思うわよ。ほら」
「ん、どれどれ…」
見た感じ、サクラと何も変わっとらん。ちょっと驚いた事はウチは見たことの無い八重咲きの咲羅やったことやな。
ついでに言っとくと、ウチは別に植物が好きなわけやないで。観察力も言い訳やないし、まぁ、ハッキリ言って…
「まっったくわからん」
「だと思ったわ。きっと今はわからないでしょうから、これは後回しにしましょ」
「せやな」
一旦サクラは忘れて探索を再開しようとした時、
ガサッ
「…またウサギか?」
「なんとなく嫌な予感がするわ」
「愛夢の『嫌な予感』は『なんかある』っちゅうことや!さあ、いっくでー!」
「え、ちょっと!『嫌な予感』は『行かない方がいい』ってことだからー!」
愛夢の手を取り音のする方向に走り出す。
草をかき分けて少しした所に『それ』はおった。
「誰だ、お前?」
「「…オオカミ?」」
否。そこに居たのは美しい長い銀の髪をもつ美少年やった。目はつり目気味で紅い。ちょっと貴族みたいな格好をした、ただの美少年や。
ただ一つ、狼のような耳と尻尾を除いて。
「オオカミじゃない」
「でしたら…コスプレ?」
「スピカ…この世界にそんなの無いよ」
家族以外はこの国の言葉ですからね。大変です。
「コスプレってなんだ?」
「な、な、なんでもないです!気にしないでください!」
リリスが頑張ってる。可愛い…って呑気に言ってる場合じゃあないですね。
「僕は〝獣人〟だ。それも、人間との混血種のな」
─あ。
ダメだ。きっとこのひとは…関わらない方がいい。だって、この人は…攻略対象だから。
いつかは来ると思ってました。だって私はこれでも…完全にストーリーを進もうとしていなくても、紛れもないヒロインだから。
ごめんリリス。忠告聞かなくて。お姉ちゃんは今、すっごく後悔してます。
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