私がヒロインって事は性格が悪いということですか?

白星院

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第1章・転生しました

1-1 自称.神サマ

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(…なんや、ここ。真っ暗やないか。)

どこを見ても黒い。霧の中に入っているようなそうでないような、水の中にいるような、そうでないような。なんとも言えない感覚だった。

(あ、そうか。ここか、死後の世界っちゅうもんは。しっかし、真っ白とか三途の川とかやと思ってたんやけどなぁ…)

此処は何も無かった。
三途の川も閻魔の豪邸も、何も。

(あ!そうや。此処が〝地獄〟か!なるほどなぁ…しっかし、地獄直行とは、閻魔さんも苦労しとるんやな。)

神奈がそう思った矢先、世界は急に輝きだした。〝眩しい〟と思った次の瞬間には、
世界は真っ白だった。

(え?あれで終わりやないんか!?ウチはすずが殺すきっかけを作ったんやから地獄行きやろ?狭間はあるとしても天国はないやろ?)

神奈は混乱していた。先程とは全く違う世界。

1つポツンと椅子とテーブル。庭とかにあるようなもの。

(なんや、あいつ。ウチだけやなかったんか…良かったわ…)

その椅子に座っていたのは、金髪美少女だった。
 
(金髪蒼眼のロリ…可愛ええ♡…キモい?んなこと知るか)

その時、彼女はこちらに気づき、手招きをする。
神奈はそこに

(あ、歩けたんやな…)

彼女のいる所まで歩いていくと、椅子が用意される。

「座って。」

神奈は指示通りに椅子に座る。

(え、待ってめっちゃ可愛ええ。近くで見ると何十倍もかわええ。てか声が綺麗やわ~、くれ!)

「単刀直入に言う。神奈は死んだ。」

「知っとりますけど。」

…少しの沈黙。

「此処は死後の世界なんかじゃない。」

「あ、そうなんですか、ウチはてっきり地獄かと思っとりました。」

「この世界の説明をする前に私の紹介。」

彼女が言うには、彼女の存在はあるようでないもの。生きているようで生きていないもの。そんな複雑な存在らしい。
そして世界を創造することが出来るとか。

「つまり創造神ってことでいいんですか?」

「ん…まぁ、そんな感じ。」

「おーい!創造の子ー!さっきのあの子が我儘言うのー!」

勢いよく来たのは金髪碧眼のお姉さん。

(スタイルいいなぁ、羨ましいなw)

「あ、こんちゃー。私、運命を管理してまーす!」

「は、はぁ…」

(やっぱ神サマか、そんなこったろうと思たわ)

「で、私の創った世界の1つに転生して貰いたい。」

ちょっとはっちゃけた感じのお姉さんを完全にスルーして創造神は話を続ける。
ちょっと感心やわ。

「え、スルーされた…」

「はぁ、わかりましたけど、どんな世界なんですか?」

ウチも完全スルーや。ウチは関係ないもんな?

「神奈達の言う、中世ヨーロッパみたいな世界。あ、神奈の世界にこの世界のゲームがあった。」

「そうなんですか。」

その時、創造神のほっぺたをツンツンツンツンしながら運命神?が、

「もー、話聞いてよー!ラムだったか愛夢とかいう子が〝お姉ちゃんと一緒じゃなきゃやだー!〟って言うの。どうしよう?」

ガタッと音がする。音がするほうを見ると神奈が椅子を倒して立っていた。

「い、今、愛夢って言いはりました?」

「ええ、言ったよ。あ、もしかしてそのお姉ちゃん?」

運命神は特に驚いた様子もなく、さらに言えば、待ってましたと言わんばかりにこちらを見つめる。

「はい、はい、そうや!ウチが愛夢の姉や!一緒の世界に転生とか出来るんか!?出来るんなら、ウチも愛夢と一緒がええ!」

我ながら、物凄い速さだったと思うで。
もう会えないと思っとった妹に会えるかもしれへんのや!
誰だってそうなるやろ。

「じゃあ決まり!そうだ。運が良かったら…」

「はい、そこまで。勝手に入ってこないで。」

二人だけの世界(なんか違うけど)に入っていたのを現実?に引き戻した創造神にシュンと項垂れる運命神。しかし創造神は気にしない。

「説明は以上。聴きたいことがあったら〝創造の力をお借りして〟って言って。」

「はい、わかりました。あ、最後にひとつ。記憶はあるんですか?」

これに答えたのは創造神ではなく運命神だった。

「勿論あるよぉ~♪」

そうしてまた世界が輝きだした。

次に目を覚ました時は、きっと、新しい世界が広がってる。
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