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#3:慣れてきた学院生活~新たな出会い
#3-3.やっぱり猫脚が可愛い
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昨日ダンス部でレイアとオーリーに出会い、しこたまダンスで扱かれ、そして今日、マリナはしっかり翌日襲ってきた筋肉痛に苛まれている。
(ゲネルにしっかり解してもらってコレってことは……かなり運動不足だったのね)
マリナは、よろ付く身体をベッドから起こしながら、この筋肉痛が治る頃にはトレーニングを再開しようと心に誓った。
まずはランニングコースを開拓せねば。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
放課後になって、今日は生徒会のお手伝いも無いとのことで図書室へと来ていた。
ここの図書室は有名アカデミー内にあることもあり、近隣諸国の中でも一二を争うほどの蔵書数を誇っている。
しかも、蔵書数が増えるにつれ、増築に増築を重ねた結果、校舎から渡り廊下で繋がっているとは言え、独立した建物のようになった図書室の中はまるで迷路のような作りになってしまったとのこと。
1階から5階まで幾つもの専門フロアに分かれていて、各担当司書が日々増える本に四苦八苦しているとか。
いっそ、独立した「図書塔」と呼ばれているのも納得だ。
そんな本好きにはたまらない図書室でマリナが読んでいる本とは……。
(「魔道具の歴史・近代1」「図解・魔道具」「生活に便利な魔道具」……今日はこの三冊にしよう)
前回読み終えた本に連なる内容であることを確認し、少し嵩張る本を両手に抱えると、この図書室で見つけたお気に入りの場所へ向かう。
本を日焼けから防ぐためか、室内に陽が入る窓は極端に少ない。
だからといって陰鬱な雰囲気はなく、明かり取りの窓としっかりと計算された配置で書棚が並び、ところどころ椅子や書き物机も置かれていたり、機能性と快適さとを兼ね備えた落ち着いた作りとなっている。
その中でも3階北側の一角、大きな柱をぐるりと回った先にある窓際に、座り心地の良い年代物のソファが置かれていた。
一人で座るには少し広めのソファは試しに座ってみたところ抜群に座り心地がよく、もしや誰かが専用に置いてあるのではと思ったほどだ。
そう思ったマリナは、そのソファを見かけてから何度も足を運び誰も座っている様子がないことを何度も確認し、やっと落ち着いて座ることが出来た。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
あ、姫がいる。
今日の本は……ああ、それか。
そうだね、この前あの本を読んでいたなら、続きはそれになるよね。
あとね、あれとあれもオススメだよ。
また姫に気付いてもらえるよう、近くに置いておくね。
それにしても今日の姫は随分を姿勢が悪い。
いつも柔らかいソファに座っていても背筋がピッと伸びているのに。
もしかして……って、寝てる?
そっか、お疲れなんだね。
ああ、姫は瞳を閉じていても可愛いなあ。
少しぐらい近付いてもバレないかな。
いいかな、いいよね。
『トーマ、ここで何してるのかな?』
姫の柔らかそうな白い頬に触れるまであと数センチと言うところで、後ろから声を掛けられる。
ひっっ!!この声は……。
「マっ、マシェr……」
『うっるさいよ、マリナちゃんが起きちゃうでしょ』
慌てて口を両手で塞ぎ、こくこくと何度も頷き返す。
何故ここにいるのか、何故ここにいるのがバレたのか、何故姫のことを知っているのか、聞きたいことは幾つもあれど、声を出すのを止められ言葉を飲み込む。
『こっちきて』
決して小さくも軽くもない自分を簡単に引摺って姫の座るソファのフロアから連れ出された僕は、生徒会の先輩二人に詰め寄られていた。
「2年生徒会のトーマ、君はここで何してるのかな?」
書記のケンドール先輩が、眼鏡の奥の冷たい瞳を細めて見下ろしている。
床に正座する僕に上手い言い訳や誤魔化しなど言えるわけもなく、新学期になってあの場所に現れるようになった姫のことを洗いざらい喋らされた。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
僕は東の国、ダセイア出身の侯爵家の三男だ。
家業自体は「盗賊」なんだけど、それは大昔の話。
まあ、受け継がれる技術というか体術というのがあるにはあるけど、輸送中の強盗を撃退するぐらい。
あ、気配を消すのは上手いと思う。
盗賊の名残はそれぐらい。
今は、培った盗賊時代の流通のノウハウを生かして、ダセイアの一大ギルドの元締めをしている。
取り扱う商品のメインは、ダセイアの森林地帯から伐採した木材で作られた高級家具。
これは、周囲の王家御用達にも認定されるほどの出来栄えだと自負している。
で、侯爵家三男の僕。
意気込んでこのアカデミーに入学したはいいが、何やら繰り上がりで生徒会に入ることになり、もともと生徒会へ入る予定だった人や入りたかった人──ほぼ女子──からの吊し上げを食らい、怖くて生徒会室どころか学院へも行くことが出来なくなっていた。
そんな僕にとって、誰も来ない迷路のようなこの図書室は最適な逃げ場所で、特にこの3階北側の角は人目にも付かず静かで落ち着いた雰囲気で、ついつい家から持ってきていたお気に入りのソファまで置いてしまった。
なんて言ったって、北の大国ウルバーンの第二王子ハロルド殿下を生徒会長としたあのキラキラ生徒会に、茶髪の地味で平凡な自分が一緒にいるだなんて……とても怖くて逃げ出してしまうのは仕方ない。
遠くからでもわかるほどキラキラしいあの集団の近くにいるなんて、畏れ多くて自分には到底無理だ。
その内、何とか授業には出られるようになったはいいけど、いつまでも嫌がる僕を生徒会へ連れ出すことを諦めた先輩方は、いつからか朝机の中に仕事内容が書かれたメモとともに振り分けられた生徒会の仕事が入るようになった。
それをこのお気に入りのソファに座って片付け、誰もいなくなった生徒会室にこっそり提出するという形でなんとか生徒会の仕事を続ける……といった具合で1年生の間は過ごしていた。
危惧していた補習も再試も受けることなく無事2年生へと進級を果たし、進級前の休みの間は登校者もいないからと安心して生徒会室へ行くことも慣れて半月が過ぎた頃。
久しぶりに図書室のお気に入りのソファへと向かうと……。
「姫……?」
誰にも見つからないはずの場所──隠蔽魔法がかけてある──に、僕以外の人物が座っているのを見た。
何を隠そう、僕の趣味は、若い女性が好むような恋愛小説を読むことで、ソファ近くの書棚にはこっそりとコレクションまで仕舞ってあるぐらいだ。
特に、冴えない身分の男がお姫様に身分違いの恋をして、なんだかんだ紆余曲折を経て結ばれる恋に憧れている。
ジャンルで言えば「平凡×美形」だよ、素敵!
僕の気配にゆるりと顔を上げ、こちらを向いた煌めく薄紫の瞳にトスンと心を射抜かれた。
そう、いつだってお姫様はこの世のものとは思えないほど綺麗で美しくて気高くて……。
「……もしかしてこのソファは貴方の?」
お姫様は声まで美しかった。
「ひゃ、ひゃい!!」
……恥ずかしい、思いっきり噛んだ。
「ごめんなさい、あまりにも座り心地が良くて……そうよね、こんな素敵なソファ、誰かのものよね」
そう言って姫は、名残惜しそうにソファを一撫でして読んでいた本を閉じ立ち上がった。
いえいえいえいえ、そのソファも僕なんかより姫のお、お、お尻を支えていたほうが幸せに決まってます。
「ひ、姫が良ければ、どうぞそのまま!」
「……ひめ?」
あ、心の声が出てしまった。
何言ってるんだろう、僕……舞い上がり過ぎだ。
「あの……僕はダセイアの出身で、このソファも僕の実家の家具職人が作ったもので……」
「あら、ダセイアの有名な家具といえばゾクラフ家の」
「そこ僕の家……です」
アカデミーへ来て、初めて自分の家業の話をした。
小さい頃からいろんな家具に触れ、職人たちと会い、家業を誇りにしてきた。
そもそも、アカデミーへ来たのも、丈夫で美しいダセイア産の木を使った素晴らしい家具をもっと他国に知ってもらうため、多くの人に使ってもらうためだった。
なのに、僕はこんなところに引きこもって……。
「ここに座る度いつも思っていたの。なんて座り心地の良い素敵なソファなんだろうって」
「そう言っていただけると職人たちも喜びます」
「ふふっ、わたしの部屋にも欲しいくらいだもの」
真剣な目付きで本を読む姫も素敵だが、控えめに微笑む姫の笑顔はまさしく天使、いや、女神のようで、僕はますます目が離せなくなっていた。
「あ、わたしはマリネッテ。ウルバーンから来ているの。貴方は?」
「僕は……トーミッシュ。良ければトーマと」
「じゃあトーマ先輩……」
姫の言葉に僕はゆるく首を振り、「トーマと呼んでほしい」と告げた。
それでもタイの色で上級生だと知っている姫は、何度か会う内「トーマくん」と呼んでくれるようになった。
僕も「マリナさん」と呼ぶように言われたものの、そんな事できるわけもなく……。
こうして僕は、姫と時々図書室で会っておしゃべりするようになった。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
「……というわけです」
「なるほど」
先輩方に姫との出会いを洗いざらい喋らされ、現在も正座のまま詰め寄られています。
なんで?
僕が生徒会から逃げて仕事をサボっていたときでも、ここまでの威圧感受けたこと無いよ!?
「どうする、ドール?」
「どうしましょうか、取り敢えず隠蔽魔法は強化しておきましょうか」
「わかった、僕行ってくるね」
「お願いします」
そう言って姫の眠るフロアに行ったマシェライド先輩は、僕の掛けていた魔法をさらに上級魔法で上掛けし、ソファの周りだけじゃなくあの一角の存在ごと消すほどの隠蔽魔法を掛け、ついでとばかりに外からの音を遮る遮音魔法、年中適温を保つ空調魔法、埃が積もらないよう清浄魔法も施した。
す、すごい。
「で、君……今更ですけど生徒会の仕事、続ける気ありますか?」
引き続き正座のまま、この場に残ったケンドール先輩の質問を受ける。
「いえ、あの……僕は……」
成績は入試の頃よりアップして3位内をキープしている。
このまま行けば、2年生の間も生徒会として名を残すことは出来るけど。
「ああ、別に辞めたいなら辞めてもらって構いませんよ、今年の一年生は出来が良いので」
「だね、もともと残り二人の2年生も部活で忙しいとかなんとかで来ないしね」
「こうして不用意な芽も摘めることですし」
意外にも、ケンドール先輩も戻ってきたマシェライド先輩も、僕が生徒会を辞めることにあっさり同意した。
そうか、もう1年生の生徒会役員も決まったのか。
自分の時のように揉めずに決まって良かったと一安心しかけて、なんとなくさっきの言葉が引っ掛かる。
「では、辞めるに当たって署名してもらう書類があるので、後日生徒会室へ来ていただけますか。それで貴方の仕事は最後です」
「わかりました」
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
マリナは疲れからか、いつしかソファで気持ちよくうたた寝をしてしまっていた。
今日読んでいた本は、オージェ家でも作られているし最近周りで見かける魔道具について書かれたものだ。
マルセルやゲネルや兄も日常で使っているらしいし、自分も知らずに身に着けていた。
他にも自分の知らない、自然と周りにあって生活に溶け込んでいて気付いていないような便利なものがあるかもしれない。
(お祖父様やお父様は、敢えてわたしに教えて下さらなかったのかしら)
オージェ家に於いての自分の役割ではないだろうが、知っておいて損はないと、いっそ知っておくべきだと思ったのだ。
単に、家業の幅が大きくなりすぎて把握できてないだけかもしれないけれど……。
ふと窓の外を見ると随分薄暗くなっている。
あまり読み進められなかった本を書棚に戻し、マリナはお気に入りの場所を後にした。
去り際、うたた寝ごときでもしっかり寝た感が出るほどの抜群の座り心地のソファをそっと撫で、母と同じ髪色の優しい瞳をした彼を思い出す。
屋敷に戻ることがあれば、せめて自室の分だけでもダセイア産のものに入れ替えようと強く思った。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
数日後、僕はケンドール先輩に図書室で言われた事に従い生徒会室へ来ていた。
これで最後……と、思ってて……えっ!?
「あれ、トーマくん?どうしたの?」
「ひ、姫……どうして生徒会に」
書類に署名をしに生徒会室へやってくると、何故か姫が生徒会室でお茶を飲んでいた。
向かいのソファに座っているのはケンドール先輩とマシェライド先輩。
「わたし生徒会に入ることになって、今日はお手伝いに……」
「マリナ、お茶のおかわりはいかがです?」
「このお菓子も美味しいから食べてね」
目の前で繰り広げられる光景は幻か?
マシェライド先輩が姫にお菓子を勧めていて、ケンドール先輩はポットを手にこちらに来た。
そして徐に書類を渡される。
「そこの空欄に署名したら終わりです。もう来なくて結構ですよ」
「え、でも……」
「辞めたいんでしょう?」
去年、任命されてからずっと荷が重いと辞めたかった。
何なら、今さっき生徒会室のドアを開けるまで辞めたいと思っていた。
受け取った書類にサインをすればそれが叶う。
でも、姫が!
思えば、図書室で会った時も、二人の様子は何か可怪しかった。
3年生である先輩方が、姫という唯一人の新入生を構っているのも変な話だ。
ここに繋がりがあったとは……。
「…………辞めません」
「聞こえませんよ」
「辞めません。生徒会を続けます。続けたいです」
きっぱりと言い切りもらった書類を丸めた僕を、ケンドール先輩とマシェライド先輩が値踏みするように見つめる。
負けじと僕もしっかりと視線を受け留め、見返すこと暫く。
「……貴方もお茶、飲みますか?」
「はい、ありがとうございます」
ふっと息を吐いたケンドール先輩が、ポットを手に給湯室へと向かった。
「こっち座りなよ」
緊張感が解けてへたり込みそうになった僕を、マシェライド先輩が呼ぶ。
先輩は向かいのソファから姫の隣へ移動して、僕に元の席に座るよう促した。
「もしかして、2年生のあまり来ない役員ってトーマくん?」
「えっと、まあ……そう……かな」
ははっと笑ってごまかす。
大丈夫、うん、これからはちゃんと来る。
「マリナちゃんとトーマは知り合いだったんだね」
「そうなんです、図書室でとても座り心地の良いソファを貸していただいていて」
「へえええぇーーー……」
この前会って知ってるはずなのに、今初めて聞きましたと言わんばかりのマシェライド先輩の態度……気付いてみればなんともわかりやすい。
「それは、良いですね。私もそんなソファに座ってみたいものです」
給湯室から戻ってきたケンドール先輩の手には、沸騰したての湯が入っているであろうポット。
なんだろう、醸し出される空気が……重い。
そのポット、僕に投げたりしないよね?
「じゃあドールくんも図書室に……って、わたしが勝手にトーマくんのソファを勧めるのはダメですね」
「ど、ど、どうぞ、ご自由に……」
僕ごときが姫のなさることに異を唱えることなど出来ましょうか!
「いいんですよ。そこはマリナの大切な場所でしょう?私は遠慮しておきますよ」
ケンドール先輩の銀縁眼鏡の奥の瞳がキラリと光った……ような気がした。
大丈夫です、僕はそれなりに空気の読める男です。
「あ、あの!宜しければ、この生徒会室のソファセットを、ダセイア産の最新の家具と入れ替えさせていただいても?」
「しかし、生徒会の予算でダセイア産はちょっと……」
「いえ、我が家が責任を持って納入させていただきますので、ご安心を」
「それなら……お願いしますね」
くううぅっ……ケンドール先輩に圧されてしまったが、悔いはない。
何より、姫に図書室だけでなく、ここでも我が家の家具で寛いでいただけるなど、なんて幸せなんだろう。
その後、生徒会での仕事もきっちりと終え寮に戻った僕は、久しぶりに実家に手紙を書いた。
生徒会室用のソファセットと……女性用の可愛らしいソファセットを依頼するために。
その後、依頼した家具とともに届いた手紙には、ウルバーンのオージェ家と言うところから大量の注文が入ったと喜びの一文が書き添えられていた。
(ゲネルにしっかり解してもらってコレってことは……かなり運動不足だったのね)
マリナは、よろ付く身体をベッドから起こしながら、この筋肉痛が治る頃にはトレーニングを再開しようと心に誓った。
まずはランニングコースを開拓せねば。
・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・
放課後になって、今日は生徒会のお手伝いも無いとのことで図書室へと来ていた。
ここの図書室は有名アカデミー内にあることもあり、近隣諸国の中でも一二を争うほどの蔵書数を誇っている。
しかも、蔵書数が増えるにつれ、増築に増築を重ねた結果、校舎から渡り廊下で繋がっているとは言え、独立した建物のようになった図書室の中はまるで迷路のような作りになってしまったとのこと。
1階から5階まで幾つもの専門フロアに分かれていて、各担当司書が日々増える本に四苦八苦しているとか。
いっそ、独立した「図書塔」と呼ばれているのも納得だ。
そんな本好きにはたまらない図書室でマリナが読んでいる本とは……。
(「魔道具の歴史・近代1」「図解・魔道具」「生活に便利な魔道具」……今日はこの三冊にしよう)
前回読み終えた本に連なる内容であることを確認し、少し嵩張る本を両手に抱えると、この図書室で見つけたお気に入りの場所へ向かう。
本を日焼けから防ぐためか、室内に陽が入る窓は極端に少ない。
だからといって陰鬱な雰囲気はなく、明かり取りの窓としっかりと計算された配置で書棚が並び、ところどころ椅子や書き物机も置かれていたり、機能性と快適さとを兼ね備えた落ち着いた作りとなっている。
その中でも3階北側の一角、大きな柱をぐるりと回った先にある窓際に、座り心地の良い年代物のソファが置かれていた。
一人で座るには少し広めのソファは試しに座ってみたところ抜群に座り心地がよく、もしや誰かが専用に置いてあるのではと思ったほどだ。
そう思ったマリナは、そのソファを見かけてから何度も足を運び誰も座っている様子がないことを何度も確認し、やっと落ち着いて座ることが出来た。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
あ、姫がいる。
今日の本は……ああ、それか。
そうだね、この前あの本を読んでいたなら、続きはそれになるよね。
あとね、あれとあれもオススメだよ。
また姫に気付いてもらえるよう、近くに置いておくね。
それにしても今日の姫は随分を姿勢が悪い。
いつも柔らかいソファに座っていても背筋がピッと伸びているのに。
もしかして……って、寝てる?
そっか、お疲れなんだね。
ああ、姫は瞳を閉じていても可愛いなあ。
少しぐらい近付いてもバレないかな。
いいかな、いいよね。
『トーマ、ここで何してるのかな?』
姫の柔らかそうな白い頬に触れるまであと数センチと言うところで、後ろから声を掛けられる。
ひっっ!!この声は……。
「マっ、マシェr……」
『うっるさいよ、マリナちゃんが起きちゃうでしょ』
慌てて口を両手で塞ぎ、こくこくと何度も頷き返す。
何故ここにいるのか、何故ここにいるのがバレたのか、何故姫のことを知っているのか、聞きたいことは幾つもあれど、声を出すのを止められ言葉を飲み込む。
『こっちきて』
決して小さくも軽くもない自分を簡単に引摺って姫の座るソファのフロアから連れ出された僕は、生徒会の先輩二人に詰め寄られていた。
「2年生徒会のトーマ、君はここで何してるのかな?」
書記のケンドール先輩が、眼鏡の奥の冷たい瞳を細めて見下ろしている。
床に正座する僕に上手い言い訳や誤魔化しなど言えるわけもなく、新学期になってあの場所に現れるようになった姫のことを洗いざらい喋らされた。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
僕は東の国、ダセイア出身の侯爵家の三男だ。
家業自体は「盗賊」なんだけど、それは大昔の話。
まあ、受け継がれる技術というか体術というのがあるにはあるけど、輸送中の強盗を撃退するぐらい。
あ、気配を消すのは上手いと思う。
盗賊の名残はそれぐらい。
今は、培った盗賊時代の流通のノウハウを生かして、ダセイアの一大ギルドの元締めをしている。
取り扱う商品のメインは、ダセイアの森林地帯から伐採した木材で作られた高級家具。
これは、周囲の王家御用達にも認定されるほどの出来栄えだと自負している。
で、侯爵家三男の僕。
意気込んでこのアカデミーに入学したはいいが、何やら繰り上がりで生徒会に入ることになり、もともと生徒会へ入る予定だった人や入りたかった人──ほぼ女子──からの吊し上げを食らい、怖くて生徒会室どころか学院へも行くことが出来なくなっていた。
そんな僕にとって、誰も来ない迷路のようなこの図書室は最適な逃げ場所で、特にこの3階北側の角は人目にも付かず静かで落ち着いた雰囲気で、ついつい家から持ってきていたお気に入りのソファまで置いてしまった。
なんて言ったって、北の大国ウルバーンの第二王子ハロルド殿下を生徒会長としたあのキラキラ生徒会に、茶髪の地味で平凡な自分が一緒にいるだなんて……とても怖くて逃げ出してしまうのは仕方ない。
遠くからでもわかるほどキラキラしいあの集団の近くにいるなんて、畏れ多くて自分には到底無理だ。
その内、何とか授業には出られるようになったはいいけど、いつまでも嫌がる僕を生徒会へ連れ出すことを諦めた先輩方は、いつからか朝机の中に仕事内容が書かれたメモとともに振り分けられた生徒会の仕事が入るようになった。
それをこのお気に入りのソファに座って片付け、誰もいなくなった生徒会室にこっそり提出するという形でなんとか生徒会の仕事を続ける……といった具合で1年生の間は過ごしていた。
危惧していた補習も再試も受けることなく無事2年生へと進級を果たし、進級前の休みの間は登校者もいないからと安心して生徒会室へ行くことも慣れて半月が過ぎた頃。
久しぶりに図書室のお気に入りのソファへと向かうと……。
「姫……?」
誰にも見つからないはずの場所──隠蔽魔法がかけてある──に、僕以外の人物が座っているのを見た。
何を隠そう、僕の趣味は、若い女性が好むような恋愛小説を読むことで、ソファ近くの書棚にはこっそりとコレクションまで仕舞ってあるぐらいだ。
特に、冴えない身分の男がお姫様に身分違いの恋をして、なんだかんだ紆余曲折を経て結ばれる恋に憧れている。
ジャンルで言えば「平凡×美形」だよ、素敵!
僕の気配にゆるりと顔を上げ、こちらを向いた煌めく薄紫の瞳にトスンと心を射抜かれた。
そう、いつだってお姫様はこの世のものとは思えないほど綺麗で美しくて気高くて……。
「……もしかしてこのソファは貴方の?」
お姫様は声まで美しかった。
「ひゃ、ひゃい!!」
……恥ずかしい、思いっきり噛んだ。
「ごめんなさい、あまりにも座り心地が良くて……そうよね、こんな素敵なソファ、誰かのものよね」
そう言って姫は、名残惜しそうにソファを一撫でして読んでいた本を閉じ立ち上がった。
いえいえいえいえ、そのソファも僕なんかより姫のお、お、お尻を支えていたほうが幸せに決まってます。
「ひ、姫が良ければ、どうぞそのまま!」
「……ひめ?」
あ、心の声が出てしまった。
何言ってるんだろう、僕……舞い上がり過ぎだ。
「あの……僕はダセイアの出身で、このソファも僕の実家の家具職人が作ったもので……」
「あら、ダセイアの有名な家具といえばゾクラフ家の」
「そこ僕の家……です」
アカデミーへ来て、初めて自分の家業の話をした。
小さい頃からいろんな家具に触れ、職人たちと会い、家業を誇りにしてきた。
そもそも、アカデミーへ来たのも、丈夫で美しいダセイア産の木を使った素晴らしい家具をもっと他国に知ってもらうため、多くの人に使ってもらうためだった。
なのに、僕はこんなところに引きこもって……。
「ここに座る度いつも思っていたの。なんて座り心地の良い素敵なソファなんだろうって」
「そう言っていただけると職人たちも喜びます」
「ふふっ、わたしの部屋にも欲しいくらいだもの」
真剣な目付きで本を読む姫も素敵だが、控えめに微笑む姫の笑顔はまさしく天使、いや、女神のようで、僕はますます目が離せなくなっていた。
「あ、わたしはマリネッテ。ウルバーンから来ているの。貴方は?」
「僕は……トーミッシュ。良ければトーマと」
「じゃあトーマ先輩……」
姫の言葉に僕はゆるく首を振り、「トーマと呼んでほしい」と告げた。
それでもタイの色で上級生だと知っている姫は、何度か会う内「トーマくん」と呼んでくれるようになった。
僕も「マリナさん」と呼ぶように言われたものの、そんな事できるわけもなく……。
こうして僕は、姫と時々図書室で会っておしゃべりするようになった。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
「……というわけです」
「なるほど」
先輩方に姫との出会いを洗いざらい喋らされ、現在も正座のまま詰め寄られています。
なんで?
僕が生徒会から逃げて仕事をサボっていたときでも、ここまでの威圧感受けたこと無いよ!?
「どうする、ドール?」
「どうしましょうか、取り敢えず隠蔽魔法は強化しておきましょうか」
「わかった、僕行ってくるね」
「お願いします」
そう言って姫の眠るフロアに行ったマシェライド先輩は、僕の掛けていた魔法をさらに上級魔法で上掛けし、ソファの周りだけじゃなくあの一角の存在ごと消すほどの隠蔽魔法を掛け、ついでとばかりに外からの音を遮る遮音魔法、年中適温を保つ空調魔法、埃が積もらないよう清浄魔法も施した。
す、すごい。
「で、君……今更ですけど生徒会の仕事、続ける気ありますか?」
引き続き正座のまま、この場に残ったケンドール先輩の質問を受ける。
「いえ、あの……僕は……」
成績は入試の頃よりアップして3位内をキープしている。
このまま行けば、2年生の間も生徒会として名を残すことは出来るけど。
「ああ、別に辞めたいなら辞めてもらって構いませんよ、今年の一年生は出来が良いので」
「だね、もともと残り二人の2年生も部活で忙しいとかなんとかで来ないしね」
「こうして不用意な芽も摘めることですし」
意外にも、ケンドール先輩も戻ってきたマシェライド先輩も、僕が生徒会を辞めることにあっさり同意した。
そうか、もう1年生の生徒会役員も決まったのか。
自分の時のように揉めずに決まって良かったと一安心しかけて、なんとなくさっきの言葉が引っ掛かる。
「では、辞めるに当たって署名してもらう書類があるので、後日生徒会室へ来ていただけますか。それで貴方の仕事は最後です」
「わかりました」
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
マリナは疲れからか、いつしかソファで気持ちよくうたた寝をしてしまっていた。
今日読んでいた本は、オージェ家でも作られているし最近周りで見かける魔道具について書かれたものだ。
マルセルやゲネルや兄も日常で使っているらしいし、自分も知らずに身に着けていた。
他にも自分の知らない、自然と周りにあって生活に溶け込んでいて気付いていないような便利なものがあるかもしれない。
(お祖父様やお父様は、敢えてわたしに教えて下さらなかったのかしら)
オージェ家に於いての自分の役割ではないだろうが、知っておいて損はないと、いっそ知っておくべきだと思ったのだ。
単に、家業の幅が大きくなりすぎて把握できてないだけかもしれないけれど……。
ふと窓の外を見ると随分薄暗くなっている。
あまり読み進められなかった本を書棚に戻し、マリナはお気に入りの場所を後にした。
去り際、うたた寝ごときでもしっかり寝た感が出るほどの抜群の座り心地のソファをそっと撫で、母と同じ髪色の優しい瞳をした彼を思い出す。
屋敷に戻ることがあれば、せめて自室の分だけでもダセイア産のものに入れ替えようと強く思った。
◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆
数日後、僕はケンドール先輩に図書室で言われた事に従い生徒会室へ来ていた。
これで最後……と、思ってて……えっ!?
「あれ、トーマくん?どうしたの?」
「ひ、姫……どうして生徒会に」
書類に署名をしに生徒会室へやってくると、何故か姫が生徒会室でお茶を飲んでいた。
向かいのソファに座っているのはケンドール先輩とマシェライド先輩。
「わたし生徒会に入ることになって、今日はお手伝いに……」
「マリナ、お茶のおかわりはいかがです?」
「このお菓子も美味しいから食べてね」
目の前で繰り広げられる光景は幻か?
マシェライド先輩が姫にお菓子を勧めていて、ケンドール先輩はポットを手にこちらに来た。
そして徐に書類を渡される。
「そこの空欄に署名したら終わりです。もう来なくて結構ですよ」
「え、でも……」
「辞めたいんでしょう?」
去年、任命されてからずっと荷が重いと辞めたかった。
何なら、今さっき生徒会室のドアを開けるまで辞めたいと思っていた。
受け取った書類にサインをすればそれが叶う。
でも、姫が!
思えば、図書室で会った時も、二人の様子は何か可怪しかった。
3年生である先輩方が、姫という唯一人の新入生を構っているのも変な話だ。
ここに繋がりがあったとは……。
「…………辞めません」
「聞こえませんよ」
「辞めません。生徒会を続けます。続けたいです」
きっぱりと言い切りもらった書類を丸めた僕を、ケンドール先輩とマシェライド先輩が値踏みするように見つめる。
負けじと僕もしっかりと視線を受け留め、見返すこと暫く。
「……貴方もお茶、飲みますか?」
「はい、ありがとうございます」
ふっと息を吐いたケンドール先輩が、ポットを手に給湯室へと向かった。
「こっち座りなよ」
緊張感が解けてへたり込みそうになった僕を、マシェライド先輩が呼ぶ。
先輩は向かいのソファから姫の隣へ移動して、僕に元の席に座るよう促した。
「もしかして、2年生のあまり来ない役員ってトーマくん?」
「えっと、まあ……そう……かな」
ははっと笑ってごまかす。
大丈夫、うん、これからはちゃんと来る。
「マリナちゃんとトーマは知り合いだったんだね」
「そうなんです、図書室でとても座り心地の良いソファを貸していただいていて」
「へえええぇーーー……」
この前会って知ってるはずなのに、今初めて聞きましたと言わんばかりのマシェライド先輩の態度……気付いてみればなんともわかりやすい。
「それは、良いですね。私もそんなソファに座ってみたいものです」
給湯室から戻ってきたケンドール先輩の手には、沸騰したての湯が入っているであろうポット。
なんだろう、醸し出される空気が……重い。
そのポット、僕に投げたりしないよね?
「じゃあドールくんも図書室に……って、わたしが勝手にトーマくんのソファを勧めるのはダメですね」
「ど、ど、どうぞ、ご自由に……」
僕ごときが姫のなさることに異を唱えることなど出来ましょうか!
「いいんですよ。そこはマリナの大切な場所でしょう?私は遠慮しておきますよ」
ケンドール先輩の銀縁眼鏡の奥の瞳がキラリと光った……ような気がした。
大丈夫です、僕はそれなりに空気の読める男です。
「あ、あの!宜しければ、この生徒会室のソファセットを、ダセイア産の最新の家具と入れ替えさせていただいても?」
「しかし、生徒会の予算でダセイア産はちょっと……」
「いえ、我が家が責任を持って納入させていただきますので、ご安心を」
「それなら……お願いしますね」
くううぅっ……ケンドール先輩に圧されてしまったが、悔いはない。
何より、姫に図書室だけでなく、ここでも我が家の家具で寛いでいただけるなど、なんて幸せなんだろう。
その後、生徒会での仕事もきっちりと終え寮に戻った僕は、久しぶりに実家に手紙を書いた。
生徒会室用のソファセットと……女性用の可愛らしいソファセットを依頼するために。
その後、依頼した家具とともに届いた手紙には、ウルバーンのオージェ家と言うところから大量の注文が入ったと喜びの一文が書き添えられていた。
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