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20 自由な世界は、闇に満ちています
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部屋で満天国の言葉を気持ちよく勉強している伊吹は、珈琲を持ってこようと思い、部屋を出る。
「お帰りは何時でしょうか?」
「お友達と遊ぶけど、午前様にはならないつもりよ」
そんなやり取りが聞こえた。
今は時刻八時を回っている。
(デイトか?)
「お気を付けていってらっしゃいませ」
前崎の声。
伊吹は戻り、急いで男装の姿となると廊下へ。
「今度は伊吹お嬢様」
やや呆れ気味だ。
「ちょっと出掛けてくる」
ニコリと微笑み、出掛けて行った。
「まぁ、男装でしたら、危なくないでしょう」
やれやれと首を振りながら、部屋に入った。
※ ※ ※
姉の跡を気付かれないように付いていく。
繁華街を通り抜けると下町へ出る。
下町のひっそりと佇むカフェー。
少し困惑しながらも、近づいて来るにつれて、
少年少女が伊吹を見て、睨みを利かせていた。
「どこへ用さ」
その少女が睨みを利かせて、聞いてきた。
不良少女だ。大胆にも首にバラの入れ墨をしていた。
名前を出して怪しまれないだろうか。
不良少女だ。賢いか賢くないかの紙一重。
「...さっきの女性が知り合いでして......」
「ふーん...、名前は?」
どっちの名前を...。
「ひよりさんです」
一か八か......。
伊吹の上から下までじろじろ見てから、
「ここがどんなところか、分かってる?」
と言ってくると、
「喫茶店でしょ?」
と、素直に答えた。
すると、
「あなた、そんなところで何をしてんの?」
【赤いルージュ劇場】の緑里だ。
伊吹は目を剥いた。
「わたしのお友達だからいいわよね」
「...緑里さんのお友達ですか......」
バラの入れ墨をした少女は溜め息を吐く。
「ええ、この人、大した事ないから」
(確かに対した事はないよな...。士官学校で威張り散らすだけのただの少尉だ)
「しけた顔しないでよ」
と、悶々としていたら、ピシャリと言われた。
(なんとなく、この人にはかなわないな...)
肩を竦めて、跡を付いていく。
部屋に入ると、独特の匂い。
海軍の制服を着ている将校は、素を隠すためか、仮面舞踏会へ行くような眼鏡を掛けているのがちらほら。
「どうゆう集まりなんだ?」
伊吹はこっそりと緑里に聞く。
「......聞いて驚かないでよ」
「ああ」
「自由主義者の集まりよ」
伊吹は目を剥いて、その場から逃げたくなった。
「ここは、自由の場所。何を語ったて嫌な顔をする者はいないの」
「危ないじゃないか」
下手をしたら当局に嗅ぎ付けられ、監獄行きの拷問だ。
「だから、海軍将校だってここにいるの。わたしたちを守るために」
「意味が分からん...」
(海軍の反逆者か?)
さすがに口にする事は出来ない。
(お姉様はその片棒を担いでいるのか?)
伊吹は青ざめた。
「まだお酒が飲めないから、コーヒーでも飲む?」
緑里はニコリとした。
「コーヒーよりもお酒が飲みたい心境だ」
「ならぶどう酒は?」
「お酒だろう。にがーいコーヒーに、チョコレイトだ」
「チョコレイトなんてないわよ。まったく」
お金持ちなんだから、と、緑里はぼやいて、ボーイのところへ行った。
ある一人の男が舞台に立つ。
野心に満ちた表情は、これから何かを起こすようなオーラを出していた。
「お帰りは何時でしょうか?」
「お友達と遊ぶけど、午前様にはならないつもりよ」
そんなやり取りが聞こえた。
今は時刻八時を回っている。
(デイトか?)
「お気を付けていってらっしゃいませ」
前崎の声。
伊吹は戻り、急いで男装の姿となると廊下へ。
「今度は伊吹お嬢様」
やや呆れ気味だ。
「ちょっと出掛けてくる」
ニコリと微笑み、出掛けて行った。
「まぁ、男装でしたら、危なくないでしょう」
やれやれと首を振りながら、部屋に入った。
※ ※ ※
姉の跡を気付かれないように付いていく。
繁華街を通り抜けると下町へ出る。
下町のひっそりと佇むカフェー。
少し困惑しながらも、近づいて来るにつれて、
少年少女が伊吹を見て、睨みを利かせていた。
「どこへ用さ」
その少女が睨みを利かせて、聞いてきた。
不良少女だ。大胆にも首にバラの入れ墨をしていた。
名前を出して怪しまれないだろうか。
不良少女だ。賢いか賢くないかの紙一重。
「...さっきの女性が知り合いでして......」
「ふーん...、名前は?」
どっちの名前を...。
「ひよりさんです」
一か八か......。
伊吹の上から下までじろじろ見てから、
「ここがどんなところか、分かってる?」
と言ってくると、
「喫茶店でしょ?」
と、素直に答えた。
すると、
「あなた、そんなところで何をしてんの?」
【赤いルージュ劇場】の緑里だ。
伊吹は目を剥いた。
「わたしのお友達だからいいわよね」
「...緑里さんのお友達ですか......」
バラの入れ墨をした少女は溜め息を吐く。
「ええ、この人、大した事ないから」
(確かに対した事はないよな...。士官学校で威張り散らすだけのただの少尉だ)
「しけた顔しないでよ」
と、悶々としていたら、ピシャリと言われた。
(なんとなく、この人にはかなわないな...)
肩を竦めて、跡を付いていく。
部屋に入ると、独特の匂い。
海軍の制服を着ている将校は、素を隠すためか、仮面舞踏会へ行くような眼鏡を掛けているのがちらほら。
「どうゆう集まりなんだ?」
伊吹はこっそりと緑里に聞く。
「......聞いて驚かないでよ」
「ああ」
「自由主義者の集まりよ」
伊吹は目を剥いて、その場から逃げたくなった。
「ここは、自由の場所。何を語ったて嫌な顔をする者はいないの」
「危ないじゃないか」
下手をしたら当局に嗅ぎ付けられ、監獄行きの拷問だ。
「だから、海軍将校だってここにいるの。わたしたちを守るために」
「意味が分からん...」
(海軍の反逆者か?)
さすがに口にする事は出来ない。
(お姉様はその片棒を担いでいるのか?)
伊吹は青ざめた。
「まだお酒が飲めないから、コーヒーでも飲む?」
緑里はニコリとした。
「コーヒーよりもお酒が飲みたい心境だ」
「ならぶどう酒は?」
「お酒だろう。にがーいコーヒーに、チョコレイトだ」
「チョコレイトなんてないわよ。まったく」
お金持ちなんだから、と、緑里はぼやいて、ボーイのところへ行った。
ある一人の男が舞台に立つ。
野心に満ちた表情は、これから何かを起こすようなオーラを出していた。
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