89 / 97
第89話助けて貰ったのは私の方
しおりを挟む
因みに激しい運動と長時間のパートは禁止で鎮痛剤をもらいバストバンドをして生活、二週間ごとに定期診断をして問題なければ、早ければ四週、遅くても六週目で解放といった流れである。
「それに、私がいたらいろいろと不便でしょう?」
「何んだよ? その弱みを握った様な表情をされると無駄に緊張してしまうだろうが。言いたいことがあるのならさっさと言えよ」
「新しくできた彼女を呼べないのは不便かなと思っただけだよ」
「なっ!? ………どこで知ったか教えてもらいたいところだがどうせ元旦那経由だろう。俺の病気も気長に治るのを待ってくれるみたいだし一緒に治療をしていこうとまで言わせてしまっては断るに断れなくてな………もう良いだろこの話はっ!!出て行くのならばさっさと出ていけっ!! ほらっ!」
そして私は高城によって半ば強引に追い出される。
恐らく、いや間違いなく私がまだ住みたいと言えば部屋の一角をまだまだ間借させてくれたであろう。
それこそ下手をすれば数年間は余裕で行けそうな気がするからこそ私はこのぬるま湯から早く抜け出そうと思い至ってというのもある。
そして何だか清々しい様な一つ肩の荷が降りた様な、そんな気分で思わず肺いっぱいに空気を入れて深呼吸をして、その空気を吐き出した所で私のスマホから着信音が鳴る。
スマホを手に取ってみると高城からメッセージが来ており『お前のおかげで女性をもう一度信頼してみようと思えた。お前自身は自分の事を高城にとってはただの厄介な住人だったと思っているかも知れないが、前に進むきっかけであった事は間違いがない。今までありがとう。そしてこれからも宜しく。何かあったら遠慮なく連絡しろよ』と書かれていた。
「ばか。助けて貰ったのは私の方なのに………ホント、お人好しなんだから」
もしかしたら本当に高城が前へ進むきっかけをこの私如きが作れたのかも知れないし、単なるお世辞で高城の優しい嘘なのかも知れない。
それでも、目の前景色は昨日までと違いほんの少しだけ鮮やかに映った。
そして私はその足でスーパーへと向かう。
皆私の事を心配してくれていた様で『大丈夫?』のオンパレードである。
一応ご迷惑をかけた事を謝罪すると謝る必要は無いと声を揃えて言ってくれ、そして逆に私へ謝罪してくるので私からも謝る必要は無いと返す。
因みに店長は土下座する勢いで謝ろうとしていたため、店長の土下座を阻止させるのが大変でもあった。
そして皆と別れて店長とコレからバストバンドが取れるまでのシフト調整の話をするのだが、明らかに私に忖度しているのが丸分かりである。
「それに、私がいたらいろいろと不便でしょう?」
「何んだよ? その弱みを握った様な表情をされると無駄に緊張してしまうだろうが。言いたいことがあるのならさっさと言えよ」
「新しくできた彼女を呼べないのは不便かなと思っただけだよ」
「なっ!? ………どこで知ったか教えてもらいたいところだがどうせ元旦那経由だろう。俺の病気も気長に治るのを待ってくれるみたいだし一緒に治療をしていこうとまで言わせてしまっては断るに断れなくてな………もう良いだろこの話はっ!!出て行くのならばさっさと出ていけっ!! ほらっ!」
そして私は高城によって半ば強引に追い出される。
恐らく、いや間違いなく私がまだ住みたいと言えば部屋の一角をまだまだ間借させてくれたであろう。
それこそ下手をすれば数年間は余裕で行けそうな気がするからこそ私はこのぬるま湯から早く抜け出そうと思い至ってというのもある。
そして何だか清々しい様な一つ肩の荷が降りた様な、そんな気分で思わず肺いっぱいに空気を入れて深呼吸をして、その空気を吐き出した所で私のスマホから着信音が鳴る。
スマホを手に取ってみると高城からメッセージが来ており『お前のおかげで女性をもう一度信頼してみようと思えた。お前自身は自分の事を高城にとってはただの厄介な住人だったと思っているかも知れないが、前に進むきっかけであった事は間違いがない。今までありがとう。そしてこれからも宜しく。何かあったら遠慮なく連絡しろよ』と書かれていた。
「ばか。助けて貰ったのは私の方なのに………ホント、お人好しなんだから」
もしかしたら本当に高城が前へ進むきっかけをこの私如きが作れたのかも知れないし、単なるお世辞で高城の優しい嘘なのかも知れない。
それでも、目の前景色は昨日までと違いほんの少しだけ鮮やかに映った。
そして私はその足でスーパーへと向かう。
皆私の事を心配してくれていた様で『大丈夫?』のオンパレードである。
一応ご迷惑をかけた事を謝罪すると謝る必要は無いと声を揃えて言ってくれ、そして逆に私へ謝罪してくるので私からも謝る必要は無いと返す。
因みに店長は土下座する勢いで謝ろうとしていたため、店長の土下座を阻止させるのが大変でもあった。
そして皆と別れて店長とコレからバストバンドが取れるまでのシフト調整の話をするのだが、明らかに私に忖度しているのが丸分かりである。
10
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
ごめんなさいね・・・リストラされた夫の代わりにパートで働く私だけど若い男に誘惑されて
マッキーの世界
大衆娯楽
56歳の夫がリストラされて仕事を失ったため、お給料が貰えず、家計が苦しくなってしまった。
そこで、私はパートに出るため求人サイトで仕事を探した。
時給950円の漬物工場での仕事を見つけたので、午前9時から夕方16時まで働くことにした。
「じゃ、あなた、パートに行ってくるわね」
「ああ」
夫に朝食を作り、
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ピアノの家のふたりの姉妹
九重智
ライト文芸
【ふたりの親愛はピアノの連弾のように奏でられた。いざもう一人の弾き手を失うと、幸福の音色も、物足りない、隙間だらけのわびしさばかり残ってしまう。】
ピアノの響く家には、ふたりの姉妹がいた。仲睦ましい姉妹は互いに深い親愛を抱えていたが、姉の雪子の変化により、ふたりの関係は徐々に変わっていく。
(縦書き読み推奨です)
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました
宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。
ーーそれではお幸せに。
以前書いていたお話です。
投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと…
十話完結で既に書き終えてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる